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3年間でダイサイズが1/6に!!

SCEI、プレイステーション2を1チップ化!

2003年04月21日 20時08分更新

文● 編集部 栗山博行

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(株)ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCEI)は21日、同社の次世代コンピューターエンターテイメントシステムに向けた投資に関する発表会において、90nm(ナノメートル=1mmの100万分の1)のDRAM混載プロセスを使い、コンピューターエンターテイメントシステム『プレイステーション2』(PS2)の主要チップを1チップ化すると発表した。

ソニー・コンピュータエンタテインメント代表取締役社長兼CEO/ソニー(株)取締役副社長 久多良木健氏
ソニー・コンピュータエンタテインメント代表取締役社長兼CEO/ソニー(株)取締役副社長 久多良木健氏

新チップは、PS2に搭載される128bit CPU“エモーションエンジン(EE)”とDRAMを内蔵した描画エンジン“グラフィックス・シンセサイザ(GS)”を統合した製品。1チップ化により、ダイサイズが86mm2、総トランジスター数が5350万個、消費電力が8Wとなった。5層のメタル配線で設計され、混載メモリー容量は4MB、メモリーセルサイズは0.19μm2、動作周波数は294.912MHz。536ピンのEBGAパッケージで提供される。2000年3月4日に発売したPS2の初期バージョンでは、2つのチップを合計したダイサイズは519mm2、消費電力は37Wであり、ほぼ3年間で1/6の小型化が図られたことになる。

製造プロセスの変更および、マスクのシュリンクによる、EEとGSのダイサイズの推移
製造プロセスの変更および、マスクのシュリンクによる、EEとGSのダイサイズの推移

この半導体の生産は、今春からSCEIと(株)東芝が協業する(株)大分ティーエスセミコンダクタの半導体生産拠点“OTSS(大分県大分市)”で行なわれ、秋からはSCEIの半導体生産拠点“SCE Fab(長崎県諌早市)”にも導入する。

SCEI代表取締役社長兼CEO/ソニー(株)取締役副社長 久多良木健氏は、「'99年以来、SCE FabとOTSSの両工場に約3000億円の設備投資を行なってきたが、PS2の販売台数が5000万台を超え、投資額の半分、約1500億円については前期までに回収が完了した。このLSIの集積によるコスト削減により、今期中に残りの1500億円の回収も見込んでいる」とし、今後は中国市場など本格展開が始まっていない市場にもPS2が浸透することで、3000億円を超えるキャッシュフローが生じると予測した。

2チップ構成時のPS2 1チップ化したPS2
初期のPS2と1チップ化したPS2のシステム比較。製造プロセスの変更および、マスクのシュリンクにより生じた製造キャパシティーを使い、メモリーやDVD、音源などの周辺チップもSCE Fab、OTSSの両工場で製造するという。緑色がSCE Fab、黄色がOTTSの製造チップ

また会場では、PS2のシステム構成図も示された。それによると、製造プロセスの変更および、マスクのシュリンクにより生じた、SCE Fab、OTSS両工場の製造キャパシティーを、メモリーやDVD、音源などの周辺チップに振り向け、製造コストを引き下げる努力をしていることが示された。

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