このページの本文へ

前へ 1 2 3 4 5 6 次へ

SL-C700

SL-C700

2003年05月24日 00時00分更新

文● 及川 晴生

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

メディアそのものを
スワップ領域にする

 メディアの中にファイルを作成してスワップ領域とする方法よりも本格的なのが、PC上のLinuxと同じくメディアをフォーマットしてスワップ領域を作成してしまう方法だ。作業の流れは、Linux用のfdiskによってメディアをフォーマットし、Linuxネイティブのファイルシステムによるスワップ領域を作成するというもの。今回はSDを対象にした。

(1)必要なツールをそろえる

SL用のパッケージになったfdiskを入手する(入手先は下のURL)。

http://www.zauruszone.farplanet.net/feed/

 パーティションを操作するfdiskは、C700には用意されていない。そこで、Linuxザウルスで使われているインストール用パッケージ形式「ipk」で配布されているfdiskが存在しているので入手しよう。上記URLに行けば、原稿執筆段階では「fdisk_2.11g-4_2_arm.ipk」という名前でfdiskが配布されている。

(2)ターミナルからfdiskを起動

対象とするデバイスを指定してfdiskを起動する。

fdisk /dev/mmcda1

 fdiskを起動すると、コマンドを求められる画面に切り替わる。MS-DOSのfdiskとは違い、コマンドが多数あるのだが、今回使用するのはディスク内の情報を確認する「p」、パーティションを削除する「d」、パーティションを作成する「n」の3つである。また、「m」コマンドを使えば、コマンドの簡単な説明が出てくる。テキストベースで表示されているfdiskのインターフェイスにこれらの文字を打ち込み、エンターキーを押せばコマンドが実行される。

(3)既存のパーティションを削除する

「d」で4つのパーティションを削除する。

Command (m for help): d

 上記のように「d」コマンドを使うと、削除するパーティションの番号を聞かれるので、順々に削除していく。

(4)パーティションを作成する

「n」で領域の容量を指定し、パーティションを作成

Command (m for help): n

 「n」コマンドでは、まず始めにパーティションの種類を指定し、そのあとに開始位置、終了位置を指定するという作業内容になる。終了位置はシリンダー単位で問われるが、「+xxM」といった形でファイルサイズでも指定可能だ。パーティションの種類を「p primary partition」にして「Partition number」を1に、領域の開始位置を「1」に、終了位置をシリンダの終端にして、ディスク全域を指定する。作業が終了したら、「w」コマンドで領域情報を書き込んで終了する。「w」を実行するまでは、実際に書き込まれないので注意していただきたい。

(5)作成したパーティションにスワップ領域を作成する

mkswap /dev/mmcda1

 「n」コマンドでは、まず始めにパーティションの種類を指定し、そのあとに開始位置、終了位置を指定するという作業内容になる。終了位置はシリンダー単位で問われるが、「+xxM」といった形でファイルサイズでも指定可能だ。パーティションの種類を「p primary partition」にして「Partition number」を1に、領域の開始位置を「1」に、終了位置をシリンダの終端にして、ディスク全域を指定する。作業が終了したら、「w」コマンドで領域情報を書き込んで終了する。「w」を実行するまでは、実際に書き込まれないので注意していただきたい。

(6)以降はファイルによるスワップ領域作成と同手順

 スワップ領域の作成に関しては以上だ。ちなみに、こうしたカスタマイズによってシステムが不安定になり、リセットを実行するなどしても元に戻らない場合は、究極の選択として「完全消去」が使える。これはC700のハードウェアを初期状態に戻すもので、電源交換スイッチのオフ・オンを行ったあと、OKボタンを押しながら電源ボタンを押すと出現するメニューを選択すると実行される。当然のことながらユーザーの設定や作成したデータは消去されるので、バックアップが取れる状態であれば、バックアップしてから作業を行いたい。


 確かにスワップ領域を作るのは危険な行為だ。たとえC700本体に物理的なダメージを与えなくても、読み書きが頻発するスワップ領域を、書き換え可能回数10万回のSDに作ること自体、危険な行為だ。それでも敢えて本稿でカスタマイズ方法を紹介するのは、SL-C700がLinuxを搭載し、ユーザーが自由に遊ぶことのできる懐の深いマシンだからである。単にPDAとして使うだけではなく、いじくり回す知的なオモチャとしてSL-C700を捉えてみるのも一興だろう。これを機にLinux入門を果たしてみるのも楽しいはずだ。

株式会社アックスとは?

 Linuxザウルスの登場以前から、PDAなどへ搭載するLinuxの開発を行っている企業。2000年にはすでに、当時人気の高かった「パワーザウルス MI-C1」に同社が開発したzxLinuxをインストールして動作させていた。また、同社の携帯Linuxマシン向けGUI環境「式神」は、Qtopiaとは違いX Window Systemを使っているため、よりPC上のLinuxと近いユーザー環境を実現することができる。同社は今後、シャープと共同で式神をザウルスに搭載していく。

同社Webサイト:http://www.axe-inc.co.jp/

前へ 1 2 3 4 5 6 次へ

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン