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2002年12月14日、手のひらサイズながら640×480ドットのシステム液晶を搭載したPDA「ザウルス SL-C700」がついに発売された。11月12日の発表以来、予約数は初期出荷予定分を超え、発売日にはちょっとした品切れ騒動まで起きたほど人気の製品だ。ここでは製品を実際に使って、SL-C700の魅力からカスタマイズ方法といった実践的な情報までをじっくりとお伝えする!
PDAの使い方が変わる!?
超小型VGA液晶を搭載
SL-C700に対応するオプション品
写真A SL-C700に対応する数々の周辺機器。シャープのWebページには、さらにたくさんの周辺機器を網羅した対応製品一覧が掲載されている。 |
- シャープ オプションバッテリ「リチウムイオン充電池 EA-BL06」
- シャープ バッテリ充電器「CE-BC21」
- ハギワラシスコム SDメモリカード
- 日立製作所 PINセキュアマルチメディアカード
- ――
- コレガ CFタイプネットワークカード「Ether CF-TD」
- メルコ CFタイプ無線LANカード「WLI-CF-S11G」
(注:本製品については、現在シャープが動作確認検証中) - アイ・オー・データ機器 CFタイプビデオカード「CFXGA」
- 日本アイ・ビー・エム「IBM microdrive」
- シャープ ザウルス用ボイスレコーダーキット「CE-VK1」
- シャープ デジタルカメラカード「CE-AG06」
なお、これらは編集部で実際に動作を確認した周辺機器ですが、すべての周辺機器をメーカーおよび編集部が動作保証するものではありません。メーカーが対応確認済みの周辺機器については、同社Webサイトでご確認ください。
ノートPCでもPDAでも、これまでは液晶の広さ(表示領域)と携帯性はトレードオフの関係にあり、広い領域を表示できるディスプレイを搭載すると携帯性が犠牲になるというのが常だった……と、過去形で書いたのはシャープから登場した新しいLinuxザウルス「SL-C700」がこれを覆してくれたからだ。
このザウルスは3.7型という小ささで640×480ドット(6万5536色)のVGA表示を可能にする「システム液晶」を搭載、120×83×18.6(W×D×H)mmというコンパクトなボディから考えると驚異的な高解像度を実現している。
システム液晶の中核技術となっているのは、小さなパネルでも高解像度表示を可能にする「連続粒界結晶シリコン(Continuous Grain Silicon)」というもの。これは液晶ドライバICや液晶制御回路、電源回路、入出力インターフェイス回路などといった周辺回路を液晶と同一のガラス基盤上に成形できる技術だ。これにより、液晶ディスプレイ部分の小型化や軽量化も推し進められている。ちなみに2002年10月に発表されて大きな話題になった、ガラス基盤上に形成されたZ80も、連続粒界結晶シリコンによるものだ。
シャープ「ザウルス SL-C700」レビュー。写真をクリックすると当該記事に移動します。 |
SL-C700の液晶を実際に見てまず驚くのは、何と言っても表示の精細さだ。パネルの大きさと比べてかなり小さな文字でも、細部まで崩れることなく再現されている。とにかく線が細やかで、画数の多い文字を10ポイントで表示させても、線と線がくっついてしまうといったことはない。
この表示領域はさまざまなところで威力を発揮する。例えば付属するワープロソフト「HancomMobileWord」では、横50文字×25行の文字を表示できる(フォント:Lcfont、サイズ:12)。特に25行の文字を表示できることで見渡せる範囲が広くなり、前後の文章を確認するたびにスクロールさせなければならないといったことはなく、文章を効率的に入力できる。また、ワープロと同様、なくてはならない表計算ソフト「HancomMobileSheet」でも、セルの高さ・幅は標準の状態のまま、ズームを切り替えることにより最大17列×27行の表示が可能だ。一般的な帳票であれば、ほぼ困ることはないだろう。またこれだけ縮小表示した状態にしても、1つ1つの文字がしっかり認識できるところがスゴい。
メールやWebブラウザといった、インターネット関連のアプリケーションでもシステム液晶の恩恵を実感できる。特に付属するWebブラウザ「NetFront v3.0」でWebサイトを見たとき、十分文字を識別できる「フォントサイズ:中」でも約20行ほど表示可能なため、スクロールさせずに見られる範囲が非常に広い。これなら外出先でWebサイトを見る必要があるときでも、そのためだけにノートPCを持ち歩く必要はなくなるだろう。
文字と同時にインパクトが大きいのが画像を表示させたとき。画面の解像度は約217dpiにもなるため、写真を表示すると印刷物のように細部まではっきりと認識できる。例えば失敗できない1枚を撮影するときは、デジタルカメラの背面の液晶ではなくSL-C700でチェックする、といった使い方が考えられる。