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“IDF Japan 2003”開催――次々世代デスクトップ向けCPU“Tejas”をデモ

2003年04月11日 11時09分更新

文● 塩田紳二

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9日から11日まで、浦安の東京ベイヒルトンホテルで、“IDF Japan 2003”が開催されている。これは、米インテル社が今年2月に米国で開催した“Intel Developer Forum Spring 2003”の日本版。基本的には米国で行なわれたコンファレンスがベースだが、その数が減っているほか、キーノートスピーチなどでは、米国のIDF以後に行なわれた多少のアップデートが含まれる。

また、米国の開催が4日間もあるのに対して日本は3日、キーノートスピーチは、10、11日の2回のみとなっている。

PXA262』『PXA800F』
フラッシュメモリーとそれを集積したXscaleチップ『PXA262』『PXA800F』。右下は、フラッシュメモリーのダイを8チップ分積み重ねたもの

今回来日したインテル幹部は、パット・ゲルシンガー(上席副社長兼CTO)、アナンド・チャンドラシーカ(副社長、モバイルプラットフォーム事業本部長)、ウィリアム・スー(副社長、デスクトップ事業本部長)、ダリン・ビラーベック(副社長、ワイヤレス・コミュニケーションズ&コンピューティング事業本部長兼フラッシュ製品事業本部長)、マイク・フィスター(上席副社長、エンタープライズ・プラットフォーム事業本部長)など。

10日は、パット・ゲルシンガーのスピーチで始まり、モバイル、ワイヤレス、デスクトップの各部門のトップが今後の動向を語る。 11日は、エンタープライズやコミュニケーションと、研究開発の話になる予定。

“Dothan”のウエハー
“Dothan”のウエハー。今年末までに登場予定ということなので、かなりの段階まで設計は進んでいると思われる

基調講演では、すでに出荷されたPentium Mの後継プロセッサー“Dothan”のウエハーが公開され、その概要が示された(ただし、スライドは、米国で開催されたIDFのものと同じ)。これによれば、Dothanは、90nmプロセスで作られ、パフォーマンスが向上するとのこと。基調講演に先立って行なわれたQ&Aセッションでは、「855GMEという後継のチップセットを使えば、FSBが上がる」といった発言があり、単純にキャッシュが増え、クロック周波数が上がるだけではないようだ。また、この855GMEには、“BIA(Backlight Image Adaptation)”という技術が導入され、液晶部分の消費電力を下げることができるようになるという。これは、統合グラフィックスチップと連動するもので、フレームバッファーをスキャンして、コントラストを変化させることで、見た目を変えないようにしながら、バックライトの明るさを変化させ消費電力を下げる技術。デモでは、ディスプレーの電力消費が半分になるところを見せた。詳細は不明だが、おそらく、画像に合わせてバックライトの光量を変化させていると思われる。通常の液晶ディスプレーは、背面にあるバックライトの光を液晶が遮って画面上の輝度を変化させている。このとき、画面全体の輝度の平均値が低い(暗い)なら、画像の階調を上げ(液晶パネルの透過率を上げ)、バックライトを暗くすることで、同等の表示が行なえる。このとき、バックライトの輝度が落ちているために消費電力が下がるわけである。

現在のノートパソコンでは、CPU、液晶パネル(特にバックライト)、ハードディスクが電力消費の3大要因であり、すでにCPUは、かなり消費電力を削減してきた。また、ハードディスクは、モーターを止めるという手があるが、液晶パネルのバックライト切ってしまうと画面が見えなくなってしまう。しかし、このBIAでは、画面を見えるようにしたまま消費電力を下げることができ、実利用時間の延長にかなり貢献すると思われる。

次々世代CPUである“Tejas”を使った2004年のコンセプト・プラットフォーム“Powersville”。“PCI Express”を採用し、CPUの発熱量が抑えられるため、コンパクトな筐体が実現できる

また、デスクトップ関係では、現在のPentium 4である“Northwood”の後継となる“Prescott”の話や、さらにその後継となる“Tejas”マシンのデモなどが行なわれた。Prescottについては、米国のIDFと情報は変わらないが、Tejasについては、「低消費電力」といった表現があり、このために日本国内で流通しているような小さな筐体のマシンが作りやすくなるとのこと。

NEWCARD
PCカードの後継ともいえる“NEWCARD(コード名)”。PCI Expressを使い、ノートPCや小型デスクトップマシンの拡張用として使う

さて、IDFは、年2回開催されるのだが、今年秋のIDFは、日本では開催されなくなった。国内にもPCベンダーは少なくないが、たとえば、OEMであったり、マザーボードを外部から調達しているなど、かつてに比べれば、米インテルから見て、重要な地域ではなくなってきているからだろう。

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