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これがモバイルノートの王者「ThinkPad X31」だ!!――日本IBMに聞くX31の全貌!!

2003年03月20日 00時00分更新

文● 月刊アスキー 中西祥智

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X30から筐体が変わった理由は?

[編集部] Pentium Mを搭載するX31ではなく、X30の段階で筐体が従来のX20シリーズから変わったのには、何か理由があるんですか?  
[伊山さん] スペック第一では動いていないということです。新しいCPUが出たからこれを載せよう、というのではなく、もっと製品として全体を見ていますので。X20シリーズは5世代続いたんですよね。ですから、時期的にも次世代に生まれ変わるタイミングだと判断しました。s30のカバーしていた長いバッテリ駆動時間という機能も含ませたかったですし。
[齋藤さん] ほかのシリーズが順次新しいデザインになっていますので、それと同じようなタイミングで新しいデザインを、ということもありました。
[牧村氏] ただし、X30を開発する際にPentium Mが来る、サーマルのデザイン(放熱設計)が変わるということは分かっていたので、それも見越して、X30の段階でPentium Mが載っても大丈夫なフォームファクタにデザインしています。
[編集部] X20シリーズより筐体にスリットが増えたのはそのためですか?
[牧村氏] X20シリーズはLV(低電圧版)のCPUのフォームファクタでやっていて、最後にノーマルボルテージのCPUを載せるにはギリギリのところでした。ですから、たとえばX20でPentium Mを載せようと思っても、おそらく無理でしょうね
冷却機構
手前がX30の、奥がX31の冷却機構。X31では冷却機構が大型化、ファンも大型化したが、材質の一部を銅からアルミに変えたために軽量化が可能になった

大きくなった冷却機構

[編集部] すごく面白そうなモノをお持ちですね(笑)。それは何ですか?
[前田氏] これはX30と31の冷却機構です。X30よりX31は、最初から大きく場所をとって設計したんですね。これでPentium Mもしっかり冷やすと同時に、軽量化も図っています。しかも、X31の冷却機構のほうがX30のそれよりも20g軽いんです。
[編集部] 材質が違うんですか?
[前田氏] ええ。銅を多用してX30は冷却していたんですが、テストを繰り返した結果、アルミでも余裕があることが分かったので、一部アルミにして軽量化を図りました。その分、大きなファンを載せることができました。冷却のパフォーマンスがよく、かつ軽い。X31のほうがX30より少々重くなるパーツが多いのですが、ここで20g軽くしているので、全体ではX30とほぼ変わらない重さにすることができました。
[片山氏] CPUからヒートパイプを通して、外側のファンで冷やすという発想をされているところもありますが、IBMではブロックで冷やしています。こちらのほうが、バランスがいいと社内では評価していますね。
[編集部] これ、名前は付いていないんですか?  “なんとかクーリング機構”みたいな?
[前田氏] 名前ですか(笑)?  う~ん。
[編集部] せっかくそういうのがあるなら、ウリにされたらいいと思うんですが。

コーヒーとコーラをこぼして……。

[編集部] s30のキーボードは、上から液体がこぼれてきたときに漏れないように、底面にフィルムが貼ってありました。X30シリーズのキーボードにはフィルムがないですよね?
[伊山さん] 仕組みが違うだけですね。
[前田氏] 防水シートがあるもの、金属プレートが見えているものなど、仕組みはいろいろありますが、ThinkPad用のキーボードはすべて、防水タイプのものを使っています。
[編集部] 機能としては同じだと?
[前田氏] そうですね。防水タイプのキーボードで、かつ筐体に水が流れ出す穴が付いています。水が外に安全に出ていくよう、経路も作っています。
[編集部] 雨樋みたいになっている?
[前田氏] そのとおりです。
[片山氏] 変なところ、水が入ると危険なところに染みとおらないようにしています。
[前田氏] これも実際にコーヒーとコーラを流して……。
[編集部] やってみるんですか?
[前田氏] もちろん、毎回やります。X30よりX31のほうが難しかったんです。誘い水を作らなければなりませんでしたし。
[編集部] 誘い水?
[前田氏] プラスチックの細い棒を立てると、そっちのほうに水が流れていくんですよね。それで、安全なほうへ水を。
3種類のTrackPoint
3種類のTrackPoint。左から順に、デフォルトのTrackPoint、柔らかい材質の「ソフトドーム」、頂部が凹んだ「ソフトリム」

X31とX30、筐体の違いは?

[編集部] X31になって、X30から筐体に変更は?
[片山氏] USBポートが右から左に移動しました。冷却機構が大きくなりましたので。
[編集部] ほかは……。あら、TrackPointが違いますね。
[伊山さん] 1月末のRシリーズの新製品から、変わったというより種類が増えました。従来の硬いタイプに加えて2種類添付しています。初めにお買いになったときに、3つついてくるんですよ。
[編集部] ナニ! 知らなかった……。
[伊山さん] 「ソフトドーム」と「ソフトリム」をユーザビリティに配慮して追加しました。お好みに応じて使い分けていただければいいと思います。
[編集部] IBMさんらしからぬ(? )着せ替えコンセプトのような(笑)。
[伊山さん] ですから、企業イメージに合わせて目立たないようにやってます(笑)。
[編集部] 以前お話をうかがったときに、TrackPointのカラーバリエーションというお話をしたら、デザインポイントなので色は変えないというお答えだったんですが、形を変えるのはアリだったんですね。
[牧村氏] ユーザビリティに配慮してのことです。色もそうですね。変えるよりも変えないほうが、お客様には分かりやすいですから。
[伊山さん] 2タイプとも従来のTrackPointよりやわらかいので、長時間Webブラウジングするなどといった使い方には向いていると思います。

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