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ベリタスソフトウェアがLinux市場に本格参入─「エンタープライズLinux導入をさらに加速します」

2003年03月16日 18時42分更新

文● 編集部 阿蘇直樹

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ベリタスソフトウェア(株)(以下、ベリタス)は14日、米VERITAS Softwareが米国内で販売していたLinux向けソフトウェア製品群を日本国内でも販売すると発表し、都内で記者発表会を行なった。

ベリタスは、米VERITAS Softwareが開発しているストレージ管理ソフトウェアの販売やサポート、コンサルティングを行なう企業。バックアップソフトを基礎に、ボリューム管理ソフトやクラスタ構築ソフト、SAN管理ソフト、遠隔地にあるストレージとのクラスタ構築ソフトなどを提供している。これまで同社が販売してきたストレージ管理ソフトウェアは、Windows、Solaris、HP-UXなどに対応している。今回の発表は、新たに『Red Hat Linux Advanced Server 2.1』に対応した製品ラインナップを追加するというものだ。

今回日本市場へ投入されることになった製品と、それぞれの出荷時期は以下のようになる。

  • ファイルシステム/ボリューム管理ソフト『VERITAS Foundation Suite』……2003年4月11日出荷開始予定
  • クラスタ構築ソフト『VERITAS Cluster Server』……2003年第2四半期出荷開始予定
  • バックアップソフト『VERITAS NetBackup』……2003年第2四半期出荷開始予定

当初提供されるのはすべて英語版となる。

4月11日より出荷予定の『VERITAS Foundation Suite』は、ジャーナリングファイルシステム『VERITAS File System』と、ボリューム管理ソフト『VERITAS Volume Manager』を統合した、ファイルシステム/ボリューム管理ソフト。オプションでデータのスナップショットをとる機能“FlashSnap オプション”も用意される。『VERITAS File System』を利用することで、既存のext3やReiserFSと比べ、最大で5倍のスループットを実現できるという。また、専用のコンソール『VERITAS Enterprise Administrator』を利用し、GUIからストレージを管理できる。

管理コンソール画面
専用の管理コンソール『VERITAS Enterprise Administrator』

3製品ともベリタスソフトウェアのパートナーを通じて販売される。現在のところ、価格が公表されているのは『VERITAS Foundation Suite』のみで、1CPUあたり24万8000円からとなる。また、“FlashSnap”オプションは1CPUあたり12万4000円から。

記者発表会ではまず、ベリタスソフトウェア代表取締役社長の木村裕之氏が「我々のストレージ管理ソフトがLinuxのエンタープライズ利用を加速すると信じている」と挨拶した。

ベリタスソフトウェア代表取締役社長の木村裕之氏
ベリタスソフトウェア(株)代表取締役社長の木村裕之氏

木村氏は「我々の製品がWindows、UNIX、Linuxなどさまざまなプラットフォームに対応していることは、ユーザーにとってメリットとなる。安全で効率的なインフラをすべての産業に提供する」と語った。

引き続き、米VERITAS SoftwareのLinux戦略担当ディレクタであるRanajit Nevadia氏が、Linux市場動向や同社のLinux戦略について説明した。

米VERITAS SoftwareのLinux戦略担当ディレクタであるRanajit Nevadia氏米VERITAS Software Linux戦略担当ディレクタのRanajit Nevadia氏

Nevadia氏はまず、Linux市場について「欧米だけでなく、アジアや中東、アフリカなど、全世界的に拡大している。来年にはUNIXを追い越すと言われている」ことを紹介。「Linuxはかつては趣味やエッジサーバの部分で利用されることが多かったが、今はデータベースやアプリケーションサーバにも利用されている。将来はストレージネットワークに組み込まれるようになるだろう」と市場動向について説明した。

一方、「現在のデータセンターは、さまざまなプラットフォームやアプリケーション、ストレージが混在しており、複雑さがどんどん増している。我々のコンセプトはストレージの管理やデータ保護、サーバ資源の割り当てなどを仮想化し、プラットフォームの違いを吸収する製品を提供すること」と語った。

また、Linuxコミュニティについては「メモリのアロケーションやネットワーク周りなどで成果をコミュニティに還元している。コミュニティとの協力によってエンタープライズLinuxのイノベーションを推進する」と語った。

記者発表会終了後、Nevadia氏に日本のLinuxコミュニティに対する見解を伺ったところ「日本は世界的に力を持つ企業を中心に、OSDLへの参加など活発な活動をしている。エンタープライズLinuxの推進に大きく貢献しているのではないかと考えている」との回答を得られた。また、ベリタスソフトウェア(株)マーケティング本部長のJerome Noll氏は「Linuxがエンタープライズに対応し、ビジネス向きになることで、現在コミュニティの中にいる開発者の方々にもビジネスチャンスが生まれる。日本市場では顧客主導でビジネスを推進して市場の拡大につとめる」と答えた。

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