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CTCが米イージェネラとLinuxサーバーで代理店契約──「他社より2年進んだ仮想化技術を提供する」

2003年02月25日 22時17分更新

文● 編集部 阿蘇直樹

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伊藤忠テクノサイエンス(株)(以下、CTC)は25日、米イージェネラ(Egenera)社が開発、販売しているLinuxサーバー『BladeFrame』の国内代理店契約を締結、同日付けで発売すると発表し、都内で記者説明会を開催した。

正面 背面
『BladeFrame』を正面から見たところ『BladeFrame』の背面。各ブレードはバックプレーンに接続されるため、電源ケーブルが出ているだけだ

『BladeFrame』は、専用のラックと、1Uサイズのサーバーブレード“pBlade”、pBladeを管理するサーバー“cBlade”、各pBladeを接続するスイッチ“sBlade”で構成されるシステム。サーバーブレード間で動的に計算リソースやネットワークを切り替えて利用できるため、1台のBladeFrameシステムに、データベースやアプリケーションサーバー、ウェブサーバーなどの機能を統合し、負荷に応じてリソースを割り当てることが可能だ。

BladeFrameの概要
データベース、アプリケーションサーバー、ウェブサーバーなどを1台の『BladeFrame』にまとめ、必要に応じて各サーバーにリソースを割り当てられる

計算リソースとして利用されるpBladeには、CPUにXeon-2.0GHzを最大4基、メモリーを最大12GB搭載できる。1ラックに最大24台搭載でき、ラックのバックプレーンに接続される。各pBladeはストレージを内蔵せず、すべてSAN(Storage Area Network)上に用意されたシステムを利用する。

4UサイズのcBladeには、システム全体を管理するソフトウェア“PAN Manager”がインストールされており、BladeFrameシステムの構成や管理を行なう。PAN Managerを使用することで、BladeFrame内部のリソース配分や仮想的なネットワーク構築が可能。またcBladeには、外部ストレージやネットワークへの接続インターフェースとして、2つのギガビットイーサネットポートと1つのファイバーチャネルポートが搭載されている。cBladeは1台のラックに2台搭載する。

BladeFrameのネットワークは、2UサイズのスイッチであるsBladeを利用して管理する。sBladeは1ラックに2台搭載され、各サーバーブレードを2.5Gbpsで接続する。PAN Managerと組み合わせてBladeFrame内部のネットワークを構築できる。

BladeFrameのハードウェア
BladeFrameシステムを構成するハードウェア。システムにはcBlade、sBladeがそれぞれ2台搭載される。2台は通常時はそれぞれ個別にシステムを管理するが、トラブル発生時には自動的にもう1つのcBladeやsBladeに切り替わるという

価格は、専用ラック(幅61×高さ213×奥行き76cm)とcBlade、sBladeが各2台、およびPAN Managerのみの構成で5000万円から。実際に運用するには、複数台のpBladeとストレージが必要となる。pBladeで動作が確認されているOSはRed Hat Linux 7.1/7.2/Advanced Server 2.1。

BladeFrameについて説明した、イージェネラ(株)代表取締役社長の太田安信氏は、BladeFrameのアーキテクチャーについて、「pBlade上にあるプロセシング資源を仮想化し、柔軟に割り当てることができる“プロセシング・エリア・ネットワーク”(PAN)」であると紹介。「全体で1台のサーバのように動作するクラスタシステムで、これまで複数のサーバーに分散していたデータベースやアプリケーションサーバー、ウェブサーバーを1台に統合し、負荷に応じて動的に資源を配分可能になる」と、メリットを説明した。

イージェネラ(株)代表取締役社長 太田安信氏イージェネラ(株)代表取締役社長 太田安信氏

競合他社のブレードサーバー製品については、「単純に1台のシャーシに高密度実装したにすぎない」と語り、加えて「我々の製品は資源をすべて仮想化できている。IBMやHPなども仮想化技術に取り組んでいるが、我々のブレードサーバーは2年先をいく製品だ」と自信をみせた。

CTC常務取締役営業部門長の中野亨氏は、「イージェネラ製品によって、本格的にエンタープライズLinuxを推進できるようになる」と、BladeFrameの評価を示した。

CTC常務取締役営業部門長の中野亨氏伊藤忠テクノサイエンス(株)常務取締役営業部門長 中野亨氏

中野氏は、「我々はこれまで、オープン系のシステムとして米サン・マイクロシステムズのソリューションを中心に販売してきたが、数年にわたりLinuxについても検討してきた」と、従来の取り組みを紹介。「これまではLinuxは安定性の問題もあり、ミッションクリティカルなエンタープライズ領域には適用が困難だったが、BladeFrameはエンタープライズ向けのシステムとして顧客に勧められる製品だ。戦略的なマシンとして販売する」と、BladeFrame販売に意欲を示した。

米イージェネラCOOのマイク・トンプソン(Mike Thompson)氏は、イージェネラの概要を説明。同社のミッションは「データセンター資源の仮想化を通じてTCOを削減し、競争優位性を生み出すITインフラを提供すること」と語った。

米イージェネラCOO マイク・トンプソン氏米イージェネラ社COO マイク・トンプソン氏

トンプソン氏はPANについて、「ブレードサーバー製品で他社が提供できるのは、高密度の実装によるコストパフォーマンスの良さだけ。PANによる資源の動的な有効利用や自動化されたシステム管理といったソリューションは、現在のところ我々しか提供できていない」と紹介。また、今回の代理店契約については、「CTCは日本での理想的な提携先。非常に喜ばしいことだ」と語った。

CTCの販売戦略を紹介した、同社営業部門 Linuxセールスチーム長の浦川隆氏によれば、BladeFrameの営業には当初30人体制で取り組み、今後さらに社内のLinuxエンジニア育成やパートナーとの協業によるアプリケーション開発、サポート体制の強化に取り組む予定だ。現在パートナー各社との動作検証を行なっており、「4月~5月にイベントやセミナーを通じて結果を発表する」という。販売ターゲットとしては、金融機関やSI企業などを想定しており、「2003年度で30億円、2005年度には100億円の売り上げを目指す」と語った。

CTC営業部門 Linuxセールスチーム長の浦川隆氏CTC営業部門 Linuxセールスチーム長の浦川隆氏

説明会終了後、浦川氏に米サン・マイクロシステムズ製品との売り分けについて伺ったところ、「サン・マイクロシステムズ製品からLinuxに移行する場合、お客様サイドのエンジニア教育や、アプリケーション資産を移植するコストを考えて検討されるだろう。しかし、他社UNIXやメインフレームなどから移行される方もいるはずで、十分に売り分けられると考えている。なにより重要なのは、我々がLinuxを必要とするお客様のニーズに応えられるようになったことだ」との回答を得た。

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