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IT開発者向けイベント“Developers Summit 2003”が開幕──“インターネットの父”が来日

2003年02月20日 20時30分更新

文● 編集部 阿蘇直樹

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Developers Summit 2003

(株)翔泳社が主催する、IT関連開発者向けイベント“Developers Summit 2003”が20日に開幕した。日程は2月21日まで、会場は東京の青山ダイヤモンドホール。初日の特別講演では、現在のインターネットのもとになった“ARPANET”の設計者で“インターネットの父”と呼ばれる、米Caspian Networks社CTO(最高技術責任者)のローレンス・ロバーツ(Lawrence Roberts)氏が登場、インターネットの歴史や現在の問題点、今後の技術などについて語った。

“Developers Summit 2003”は、特別講演などが行なわれるメインステージと、“.NET”“UML/開発プロセス”“データベース”“ストレージ&バックアップ”“XML”“Java/EJB”“スキルアップ”“セキュリティ”に関するセッションから構成される。セッションの分野が多岐にわたるため、“Visual Basic Users Group Japan”“日本XPユーザグループ”“ジャパンデータストレージフォーラム”“XMLコンソーシアム”などのユーザー団体の協力を得て各セッションを構成している。

開幕の挨拶を行なった、翔泳社 取締役副社長の佐々木幹夫氏は、「今回のイベントの最大の特徴は、それぞれの分野のコミュニティーの方々にご協力をいただいたこと。どこにもない質の高いセッションを用意できた」と、イベントの概要を紹介した。



翔泳社取締役副社長の佐々木幹夫氏(株)翔泳社 取締役副社長の佐々木幹夫氏

佐々木氏は「日本の経済が停滞していることが話題になっているが、ここにお集まりいただいた開発者の方々に元気を出していただくことも(日本を活性化する)我々の活動の1つだと考えている。今回用意したセッションを通じて、みなさんの知識欲を満たしてもらえればうれしい」と語った。

「30年前に生み出した“宗教”にとらわれている必要はない」─ローレンス・ロバーツ氏

特別講演を行なったロバーツ氏は、米ARPA(Advanced Reserch Projects Agency、高等研究計画局)が1969年に運用を開始したコンピューターネットワーク“ARPANET”を設計した人物。同氏はまず、インターネットの歴史を紹介した。

Caspian Networks CTO ローレンス・ロバーツ氏米Caspian Networks社 CTO ローレンス・ロバーツ氏

同氏が1965年に最初に構築したコンピューターネットワークは、「2台のコンピューターを協調動作させる方法を研究するというARPAの仕事で、MIT(マサチューセッツ工科大学)とロサンゼルスにあった2台のコンピューターを接続するというもの」だったという。ARPANETに関しては、基本的な設計をロバーツ氏自身が行ない、スイッチやプロトコルについてはほかの機関で設計したそうだ。1969年に完成した時点で「すでに電子メールやファイル交換など、インターネットの基本的な機能を利用することができた」のだという。

最初のネットワークコンピュータ 1971年のインターネット インターネットの開発者たち
ロバーツ氏が最初にネットワーク経由での協調動作実験を行なったマシン。米国で最初のトランジスターを利用したコンピューターとのこと1971年当時のインターネット。米国東海岸と西海岸にある主要な大学にノードがあるのが分かる2000年に米National Academy of Engineering(NAE)から表彰された時の写真。左から、ARPANET設計者のロバーツ氏、ロバーツ氏を引き継いでARPANETを管理したロバート・カーン(Robert Kahn)氏、パケット交換理論を研究したレオナルド・クラインロック(Leonard Kleinrock)氏、TCP/IPを開発したヴィント・サーフ(Vinton Cerf)氏

同氏は現在のインターネットについて、「1969年からインターネットのトラフィックは毎年ほぼ倍増している。現在では米国だけで、1秒あたり1Tbitほどのトラフィックがあり、これは音声通話の10倍にあたる」と説明、「2010年までには、音声やテレビのようにインターネットのトラフィック増大傾向も横ばいになるのではないか」との見込みを示した。その上で、「キャリアーはコストの改善、通信の増大への対応、QoS(Quality of Service)の維持、セキュリティーなどの問題に直面している」と、現在のインターネットの問題点を指摘。「こういった問題の解決には、パケットではなくフローのルーティングを行なうのが適切だ」と語った。

インターネットのトラフィック変化
1970年から現在までの、米国内でのインターネットトラフィックの変化

同氏はフロールーティングについて、「ユーザーとマシン間のフローを調査する必要がある。これはIPベースでは不可能だといわれているが、実際にはそんなことはない。“WFQ”(Weighted Fair Queing、各フローに優先度ビットを付加し、その値に応じて帯域を割り当てる帯域制御)に加えて、状態の変化を追跡すれば、パケットではなくフローのルーティングを行なうことができる」と説明。また、Caspian Networksのフロールーター『apeiro』について紹介、米国および日本でテストが行なわれていることを明らかにした。

フロールーティング 『apeiro』
フロールーターの仕組み。外からは既存のルーターと同様に見えるが、内部では「より知的な処理が行なわれる」ようになるというCaspian Networksのフロールーター『apeiro』。昨年12月に発表したというもので、試験的に導入しているユーザーもあるという

最後に、同氏は「我々が30年以上も前に考えた“宗教”を捨てられず、古い技術を使い続けようとする人たちもいるが、フロールーティングによって、インターネットのパラダイムが大きく変わることになる。あと5年も経てば、光スイッチも実現され、次世代のインターネットが実現するだろう」と、インターネットの将来像にも言及した。

講演終了後、参加者からは、「フロールーティングについての参考になる書籍などがあれば教えてほしい」といった質問があり、同氏は「Caspian Networksのウェブを通じてかなりの情報を入手できるはず。より詳しい情報が必要なら、気軽にメールで連絡してほしい」と答えていた。

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