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ボーランド、Javaアプリケーション設計ツールなど3製品を発表──設計から開発、運用環境までをワンストップで提供

2003年02月18日 23時56分更新

文● 編集部 阿蘇直樹

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ボーランド(株)は18日、米ボーランド社が1月15日に買収を完了した米トゥゲザーソフト社のUML(Unified Modeling language)ツールをベースにした『Borland Together Edition for JBuilder』など、Java関連の3製品を発表、都内で記者発表会を開催した。

今回発表されたのは、Javaアプリケーション開発者向けのUML設計支援ツール『Borland Together Edition for JBuilder』と、設計から開発、運用までをサポートする“アプリケーション開発ライフサイクルソリューション”『Borland Enterprise Studio 5 for Java』、J2EEアプリケーションのパフォーマンス検証ツール『Borland Optimizeit ServerTrace』日本語版の3製品。出荷開始はそれぞれ『Borland Together Edition for JBuilder』が3月3日、『Borland Enterprise Studio for Java』および『Borland Optimizeit ServerTrace』日本語版は3月26日になる。

『JBuilder』と連動するUMLモデリングツール

『Borland Together Edition for JBuilder』は、米トゥゲザーソフトが提供していたUMLモデリングツール『Together ControlCenter 6.0』をベースに、Javaアプリケーション開発環境『Borland JBuilder 8 Enterprise』との連携機能を持たせたソフトウェア設計ツール。Borland JBuilder 8 Enterpriseで作成したソースコードとモデルを連携させる“2Wayナビゲーション”機能を持ち、開発中に仕様が変更された場合にも、設計ツールのモデル図に変更個所を書き込むことで、ソースコードに変更を反映できる。

『Borland Together Edition for JBuilder』概要 画面ショット
『Borland Together Edition for JBuilder』はJBuilderとの連携を念頭においたモデリングツール。ソースコードの変更とモデルの変更が相互に反映される“2Wayナビゲーション”機能が大きな特徴だ『Borland Together Edition for JBuilder』のインターフェース。ここで新しいクラスを作成したり、プロパティを変更すると、その変更が即座にソースコードにも反映される

動作プラットフォームは、Windows NT 4.0/2000/XP、Solaris 8、Red Hat Linux 7.2以降。ハードウェア環境には230MB以上のHDDと384MB以上のメモリーが必要。また、『Borland JBuilder 7/8』を別にインストールする必要がある。

ライセンス形態は米トゥゲザーソフトの方式を踏襲し、インストールできるマシンごとのライセンス“ノードロック”ライセンスと、ユーザーごとのライセンス“フローティング”ライセンスがある。価格はノードロック1ライセンス60万円、フローティング1ライセンス95万円。

設計、開発、テスト、運用をワンストップで提供

『Borland Enterprise Studio 5 for Java』は、設計ツール『Borland Together Edition for JBuilder』、開発ツール『Borland JBuilder 8』、テストツール『Borland Optimizeit Suite』、J2EEアプリケーションサーバー『Borland Enterprise Server 5.2 Appserver Edition』、Javaデータベース『Borland JDataStore 6』を統合したパッケージ。Javaアプリケーションの設計、開発、テスト、運用までを一括してサポートする。

Enterprise Studioに含まれるパッケージ
『Borland Enterprise Studio 5 for Java』に含まれるパッケージ。ソフトウェアの要件定義機能や変更履歴の管理機能は今後のバージョンで統合される予定だ

動作プラットフォームは、Windows NT 4.0/2000/XP、Solaris 8、Red Hat Linux 7.2以降。ハードウェア環境には1GB以上のHDDと768MB以上のメモリーが必要。価格は1指名ユーザーライセンスあたり95万円。

なお、アプリケーションの設計、開発から運用までをサポートする“ALM”(Application Lifecycle Management)ソリューションを浸透させるため、“ボーランドALMソリューション早期導入キャンペーン”として、3月30日までの期間限定で『Borland Together Edition for JBuilder』と『Borland Enterprise Studio 5 for Java』を特別価格で販売する。価格は『Borland Together Edition for JBuilder』が1フローティングライセンスあたり57万円、『Borland Enterprise Studio 5 for Java』1指名ユーザーライセンスあたり76万円。

実行環境を選ばないパフォーマンステストツール

『Borland Optimizeit ServerTrace』は、J2EEアプリケーションのテストに際して、パフォーマンスの検証やデバッグを行なうツール。アプリケーション実行時の時間計測のほか、最も時間がかかるコンポーネントの特定、ソースコード評価機能“Automatic Application Quality Analyzer”を利用した、セキュリティー問題の発見などが可能。『Borland Optimizeit Suite』と異なり、J2EEアプリケーション単体のテストではなく、アプリケーションサーバーに組み込んだ状態でのテストに主眼をおいた製品だ。ボーランドのアプリケーションサーバー『Borland Enterprise Server』だけでなく、『BEA WebLogic Server』『IBM WebSphere』『Oracle Application Server』『iPlanet』などの商用アプリケーションサーバー、JBossやTomcatなどのオープンソースアプリケーションサーバーとも組み合わせて利用できる。

Optimizeitの動作イメージ Optimizeitのデモ
『Borland Optimizeit ServerTrace』を利用し、アプリケーションサーバー上で動作している各J2EEコンポーネント間の通信をモニターし、ボトルネックを検出できる『Borland Optimizeit ServerTrace』のデモ。実際にアプリケーションサーバーを動作させ、各モジュールの処理時間をリアルタイムで表示できる

動作プラットフォームは、Windows NT 4.0/2000/XP、Solaris 8/9、Red Hat Linux 7.2以上。Linux上で利用する場合には統合デスクトップ環境のKDEまたはGNOMEが必要となる。ハードウェア環境には50MB以上のHDDと128MB以上のメモリーが必要。

価格はテストを行なうアプリケーションサーバーのCPU数に応じて決定される。基本構成(2CPU)の価格は300万円。

「開発者に効率的な環境を提供するのが使命」─小手川代表取締役社長

記者発表会で最初に挨拶した、同社代表取締役社長の小手川清氏は、「今回の製品で、Java開発者にALMソリューションをワンストップで提供することが可能になった」と述べた。

小手川清氏
ボーランド(株)代表取締役社長の小手川清氏

小手川氏はまた、「昨年12月に社長に就任して以来、ボーランドの使命は企業のアプリケーション開発者により効率的な開発環境を提供することだと考えている。我々のワンストップソリューションで“囲い込む”のではなく、既存のソフトウェア資産やスキルを生かせる選択を提供してゆく」と同社の戦略を紹介した。

引き続き、米ボーランド社Vice President兼Javaビジネスユニット・ゼネラルマネージャーであるジョージ・パオリーニ(George Paolini)氏が、3製品の概要を紹介した。

ジョージ・パオリーニ氏
米ボーランド社Vice President兼Javaビジネスユニット・ゼネラルマネージャーのジョージ・パオリーニ氏

パオリーニ氏は特に、『Borland Enterprise Studio for Java』について、「ワンストップで提供する製品なので、ライセンシングやサポートを一括で受けられる」とメリットを強調。「.NET開発者やC++開発者向けにも、同様の製品をリリースする予定だ」と今後の計画を明らかにした。

ボーランド マーケティング部長の藤井等氏に、.NETやC++に対応したALMソリューションについて伺うと、「C++版の製品は、米トゥゲザーソフトの設計ツールを利用し、既存のアプリケーション資産をソースコード単位ではなく設計データ単位で再利用可能にするようなイメージの製品になる。また、.NET対応の製品は、『Borland Enterprise Studio for Java』と同様に設計から開発、テストおよび運用環境をトータルにサポートする製品で、CORBAやWebサービスによる接続をサポートするものになる」という。リリース時期については明らかにされなかった。

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