昨年の発売当初は店頭在庫がないほどの人気ぶりだったソニーのCoCoon(型番:CSV-E77)。160GBもの大容量HDDを搭載し、「おすすめアルゴリズム」によって好みの番組を学習する形は、未来のテレビをも連想させる。ソニーは、この製品を限りなくテレビに近い録画機という。
ソニー ホームネットワークカンパニー UBX事業部門商品3部担当部長 加賀美篤氏(右)とソニー ホームネットワークカンパニー UBX事業部門商品3部統括課長 市岡秀俊氏(左) |
――CoCoonにおけるお2人の担当を教えてください
【加賀美】私はCoCoonのハードウエアのリーダーを勤めてました
【市岡】私はソフトウエアの統括担当でした
――開発にかかったのは?
【加賀美】2001年の9月からになりますね
――開発のきっかけは何だったんでしょうか?
【企画】社内的な話になるんですかNTSCネットワークターミナルソリューションカンパニーができまして、次世代テレビを作ろうという話が上がったんです。で、何をやろうかと検討した結果今回のCoCoonチャンネルサーバーという形でだしたわけです。
【加賀美】企画部と話はじめた時に、最初にでてきた案というのがベープマットの親分みたいなもので、気に入った番組があると付属のハンマーでポンとたたくというもの。そういう案を企画から見せられて皆びっくり仰天しちゃって(笑)。それはコンセプトの話なんですけど、そういうところから個人の志向にあった製品に仕上げていくにはどうしらいいかをディスカッションし、今の光によって情報を表現するという形になったんです。先進性をデザインで表しながら個人の志向をどうやって表現するかについてかなり長い時間ディスカッションしましたね。
【企画】気持ちとしては、簡単に「自分の面白いものだけが見れるようになってて欲しいよね」という話があって、ポンとたたくとバンと情報が出てきて面白いものが見れるといいと。それが原案だったんですよ。
――加賀美さんは最初から開発に関わっていたんですか?
【加賀美】そうですが、このシリーズを手がける前はアメリカのケーブル業界におさめるデジタル用のケーブルレシーバーセットトップボックスの開発を行ってました。要するに受信機ですね。ケーブルもアメリカは思うように進んでないみたいですけれども、ある放送局と共同で、放送のデジタル化を受けられるような受信機を開発しようとしてました
――わりと共通点は多いですか?
【加賀美】HDD技術は積んでなかったんで、そこは違うんですけれどもMPEGという軸から考えると共通点は多いですね。
――アメリカの状況はどうなんですか?
【加賀美】普及しつつありますね。ご存知のようにTiVoとかSONICblueとかやってますし、その他いろんなメーカーがHDD内蔵の製品をだしてきています。
――すると日本と同じ状況ですか
【加賀美】そうですね。日本よりも早くはじまってますんで、規模も日本より大きいという認識でいます
――市岡さんは?
【市岡】現在は商品設計に所属してますけど、その前は要素技術の開発をやってまして、テレビをいかに変えていくか、そのための開発とかビデオ録画に関連した志向抽出(お客さんの好みを抽出する)の開発にかかわってました。
――発売当初は量販店に在庫がなかったですね?
【市岡】予想以上に反響がよかったと思います。CoCoonを通してテレビを見るというコンセプトが受け入れられたのかなと思いますね。
――ターゲットは?
【企画】今回出した製品はネットワークによっても成長する、それからネットワークでのサービスも受けられるものですし、ブロードバンドに接続するという接続の条件が限られてましたので、そういう環境をもっている方ということで30~40歳台をターゲットにしてました。実際に購入された方の層は広かったですが。出した価格が12万9000円とう値段がついているんですけど160GBという大容量を積んだということで、今までは“HDDというのは限度があって、録りためていくといっぱいになる”というイメージが強かったんですが、今回は100時間とれますよとうたったんです。
――最初からHDDは100時間分と?