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パソコン検定試験、2003年度より大幅改訂――実技シミュレーション型テストを導入

2003年02月04日 22時02分更新

文● 編集部 桑本美鈴

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“パソコン検定試験”(以下、P検)を運営するパソコン検定委員会事務局は4日、2003年度(期間:4月1日~2004年3月31日)よりP検の運営体制や検定試験内容、テスティングシステムなどについて改訂、実技シミュレーション型テストを導入すると発表した。

事務局長
2003年度改訂について説明するパソコン検定委員会事務局長の須古勝志氏

P検は、学校教育および社会/企業に共通する“ITスキル評価基準”を、一定の基準で統合/体系化した資格試験。一般的なソフトウェア操作のほか、パソコンに関する知識、ネットワークに関する知識、情報モラルなどIT活用スキル全般をカバーしているという。

検定内容は、企業内における情報化推進企画/運用管理(上級レベル)を想定したプロフェッショナル向けの“1級”、同じく情報化推進企画/運用管理(中級レベル)を想定した“準1級”、パソコン操作/活用方法を企業内で他の人に教育/指導できるレベルを想定した“2級”、ワープロや表計算、インターネットを応用活用できるレベル(社会人2~4年目相当)を想定した“3級”、会社入社時のパソコン研修を必要としないレベル(社会人1~大学卒業程度)を想定した“4級”、中学校卒業程度を想定した“準4級”、中学校中級程度を想定した“5級”、入門者向けの“6級”となっている。

P検はこれまで、上級者向けの2級には成果物作成型実技試験を取り入れていたが、多くの企業や教育機関から3級/4級にも実技試験を導入してほしいという要望が寄せられたため、2003年度より試験内容を改訂し、3級/4級の試験に実技シミュレート型テストを導入することとなった。

3級/4級の実技シミュレート型テストは、ワープロソフトや表計算ソフトなどの疑似操作画面を表示して行なう操作テスト。目的を果たせれば正解となる多面的目的達成型となっており、例えば“印刷操作を行なえる”というスキルを問う設問では、印刷アイコンをマウスでクリックしても、メニューバーからメニューを選んでも、ショートカットキーで操作しても正解となる。また、企業内でWord 97を使用している人がWord 2002も使えるとは限らないことから、テストの際はソフトのバージョンを選べるようにしているという。なお、設問で問うスキルは同じだが、ソフトのバージョンによって操作手順が異なる場合は、バージョンごとに違う内容の問題になることもあるという。

実技1
2003年度よりパソコン検定の3級/4級に導入される実技シミュレーション型テストの画面。この場合は4級でWord 2000を選択した場合の画面で、画面上部に問題が表示されており、画面左の“操作スタート”ボタンをクリックすると実際のテストが始まる
実技2
“操作スタート”ボタンをクリックすると、Word 2000の疑似操作画面が表示される。実際にWord 2000をインストールして操作しているのではなく、受験者がどういった操作を行なうか把握するためのテスト用疑似画面となっている

また、これまで高校生向けの等級がなかったことから、2003年度より高校卒業程度を想定した“4級ベーシック”を新設する。4級ベーシックは、高校における教科“情報”で学習する科目“情報A”に対応した内容となっており、パソコンを日常で利用する上で必要な知識とワープロや表計算、インターネット、電子メールの基本操作を問うもの。タイピングテストと多岐選択式テスト、操作シミュレーション型の実技テストで構成される。検定料は2500円。初年度は10月、12月、2004年2月の計3回実施され、2004年度以降は年7回の実施となる。なお、初回の10月については、全国の高校、中学約1万6000校のうち、希望校すべてを対象に無料で実施する予定という。

同委員会は、実技シミュレーション型テストの導入や、4級ベーシックの新設によって、学校での学習内容から企業での実践活用者、情報化推進リーダーに至るまでの一貫した指標となり得る“ITスキル評価基準”を確立したとしている。

また、パソコン検定委員会を発展させたものとして、産学公連携体制による“パソコン検定協会”を4月1日に設立するという。協会内には全体の運営を決定する“運営審議委員会”と、試験実務を実施運営する“試験運営本部”を設置し、さらにITスキル評価基準の研究/策定を行なう外部組織として、学校の先生などで構成される“文教ITスキル評価基準評議会”、一般企業などで構成される“社会人ITスキル評価基準評議会”、ソフトウェア企業などで構成される“ソフトウェアプロダクト&情報セキュリティ評議会”も作られる。

パソコン検定委員会事務局長の須古勝志氏は、「“公平、公正、中立”という基本コンセプトを守り、知識と実技の両面にわたる総合的なITの実践的活用スキルの指標として、価値あるITスキル評価基準、資格試験を提供していきたい」としている。

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