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SCN、リアルとバーチャルに双方配信するコンテンツプロジェクト“ブロードバンドシアター”を始動

2003年01月16日 18時56分更新

文● 編集部 桑本美鈴

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ソニーコミュニケーションネットワーク(株)は16日、ブロードバンドコンテンツ制作プロジェクト“So-net PRODUCE ブロードバンドシアター”を3月にスタートすると発表した。

ROOFTOP出演者
“So-net PRODUCE ブロードバンドシアター”の第1弾『ROOFTOP』に主演する山本耕史さん(中央)、壌晴彦さん(右)、高木りなさん(左)。山本さんは「劇場内の観客以外の人とも同じ時間を共有できるというのは画期的なことだと思う。ブロードバンドシアターが実験なら、僕は実験材料ですね(笑)。実験が成功するようにがんばります」と意気込みを語った

“So-net PRODUCE ブロードバンドシアター”は、同社がインターネット上で映像配信することを前提としたオリジナルの演劇作品/ライブ/イベントを自らプロデュースし、劇場に来た観客とブロードバンドユーザーの両者に向けて発信するもの。舞台やイベント会場にカメラを設置し、演劇やライブの様子をリアルタイムでブロードバンドコンテンツとして配信する。劇場内の観客に従来と同様に演劇やライブ、イベントを生で体験してもらうと同時に、劇場に来られないユーザーに対してもインターネットを通じて会場の臨場感を届けたいとしている。

そのため、単に舞台上の様子を伝えるのではなく、ソニー(株)ブロードバンドアプリケーション研究所の360度同時撮影可能な全方位映像制作システム『FourthVIEW(フォースビュー)』やMPEG-4によるマルチアングル放送システムを利用して、視聴者が観たいものを観たい角度から楽しめる映像を配信するという。舞台中央にFourthVIEWを設置して360度映像を撮影するほか、客席部分には舞台を全景で撮影するカメラや、俳優をメインに撮影するカメラなど複数のカメラを設置し、それらのカメラがとらえた映像を同時にエンコードして、ディレクターズカット映像と共に数種類のカメラ映像をまとめて配信する。ブロードバンドユーザーは、画面に表示される数種類の映像の中から観たい映像を選択すると、その映像をメイン画面として視聴できる仕組みとなっている。

フォースビューブロードバンドシアターの映像表現で利用されるソニーの全方位映像制作システム『FourthVIEW』。後のスクリーンに映し出されているのはFourthVIEWがとらえている360度映像。周囲にカメラマンが大勢いるのが分かる
フォースビューデモ
『FourthVIEW』は実際の舞台中央に設置され、自分が舞台に立っているかのような映像を配信する。舞台設置時にはカメラ本体中央に支柱を立てて三脚を外し、ビルの屋上にある設置物(避雷針など)に見えるよう工夫するという
ブロードバンドシアター画面
ブロードバンドシアターの視聴画面。画面右側に数種類の映像(今回は5種類)を表示し、ユーザーが任意の映像をクリックすると、その映像が画面中央のメイン画面に映し出される

ブロードバンドシアターを視聴するには、再生プレーヤーとしてReal Player、Windows Media Player、QuickTimeのいずれかと、専用プラグイン『envivioTV』(無料)が必要。上記のいずれかのプレーヤーがすでにインストールされていれば、自動的に『envivioTV』がプラグインとしてインストールされる。対応OSはWindows 98/Me/2000/XP。また、回線環境は1.5Mbps以上が必要。

同社は、ブロードバンドシアターの第1弾として、演劇『ROOFTOP』を東京/銀座ソニービル8階“SOMIDOホール”で3月29日から4月10日まで上演する。主演は山本耕史、壌晴彦、高木りな。プロデューサーは滝内泉、演出/脚本原案は関聡太郎。ビルの屋上で中年サラリーマンが飛び降り自殺をしようとしたとき、ひとりの青年と出会う。青年との会話を通して中年男の過去が次第に明らかになっていくというストーリー。公演主催はソニーコミュニケーションネットワーク、協賛は(株)am/pmジャパン。

SOMIDOホールでの観劇料金は5000円(全席自由/整理番号付き、計120席)。なお、複数台のカメラで劇場内をさまざまな角度から撮影するため、観客自身が撮影される場合もあるという。インターネット上でのライブ映像視聴料金は1050円で、高画質なインタラクティブ映像を安定して配信するため、各公演とも100名限定となっている。このライブ映像視聴チケットは、So-netでのオンライン販売のみとなっている。いずれのチケットも2月21日に発売となる。

本日SOMIDOホールで行なわれた『ROOFTOP』の制作発表会で、ソニーコミュニケーションネットワークCOOの近藤幸直氏は、「今年から来年にかけてインターネットのほとんどはブロードバンドになるだろう。ブロードバンド環境に向けたサービスとして、インターネットらしいエンターテインメントコンテンツとは何かと考えたひとつの結果が今回のブロードバンドシアター。このブロードバンドシアターを通じてブロードバンドにふさわしいコンテンツサービスの実験をやっていく。今までのコンテンツとは違う楽しみかたを提供できれば」と挨拶。

また、プロデューサーの滝内泉氏は「インターネットを通じてユーザーにメッセージを伝えられるかということにチャレンジする。ソニーの技術を利用して、TVでも映画でもない今までにない表現を作る。劇場の空間を伝えて、ユーザーに劇場にいるような雰囲気を味わってもらいたい。TVと演劇の中間となるメディアに育てば、劇場に来られないユーザーにもメッセージを届けられると思う」、演出/脚本原案の関聡太郎氏は「題材としては中年サラリーマンが自殺しようとする設定なので重いのだが、命の大切さや生きていく勇気を与えるものにしたい。ひとりの人間の可能性を微笑ましい視線でみつめながら表現していきたい。俳優と観客が一体化した舞台の雰囲気や熱気を、そのままブロードバンドで劇場に来られない人たちにも伝えたい」としている。

発表会出席者
左から、プロデューサーの滝内氏、演出/脚本原案の関氏、高木さん、山本さん、壌さん、am/pmジャパン取締役の吉本清志氏、ソニーコミュニケーションネットワークCOOの近藤氏

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