さて、N1の概要が分かったところで、その影響について考えてみよう。まず、当初からの目的でもあるとおり、企業やiDCでシステムの運用管理に携わるシステム管理者の負荷が大幅に低減されることになるだろう。このことは、管理者1人あたりが管理可能なシステム数を大幅に増加できるということに繋がる。つまり、現在抱えているシステム管理スタッフを減らしてコスト削減を実現できるということだ。
Sunが示した予測値では、ネットワーク管理者1人が管理するポート数が、現状の50~100ポートから500ポート以上に増加し、データベース管理者(DBA)が管理可能なデータ量が1TBから100TBに、システム管理者が管理可能なサーバ数が15~30台から500台以上に、といった具合に目覚ましい向上を実現するとされている。さらに興味深いのは、サーバの利用率が、現在の6~15%から80%以上となる、とされたことだ。
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サーバの利用率(Server Utilization)とは、あるサーバが持つ全処理能力の内、実際に業務等で活用されている割合、ということだ。つまり、Sunの認識では、現在市場にあるサーバは、その処理能力の1割程度しか利用されておらず、ほとんど遊んでいる状態なのである。この利用率を8割以上に向上させるということは、おおむね現在の8倍の処理量まではサーバの増強や追加購入なしに対応可能だということになる。当然だれでも考えつくように、こんなことが本当に実現できてしまえば、短期的にはサーバの売り上げが減少することになるだろう。説明を行なったサン・マイクロシステムズの取締役 製品・サービス事業担当のJames Whitemore氏は、こうした影響を率直に認めた上で、「顧客のIT設備の効率的な利用を支援することで、顧客からの支持が得られ、現在他社製品を利用している顧客からもSunのシステムが魅力的に見えるようになることでシェアが向上する」という趣旨の発言をしている。
※1 資料はサン・マイクロシ ステムズ提供※3 資料はサン・マイクロシ ステムズ提供