日本アイ・ビー・エム(株)(日本IBM)は28日、IBM箱崎事業所において10月8日に同社が発表した“エンジニアリング&テクノロジー・サービス”(E&TS)の記者説明会を開催した。
日本IBM エンジニアリング&テクノロジー・サービスのAPディレクター 三井俊男氏 |
E&TSは、米国/欧州/アジアパシフィックなどIBMが世界的に行なう新事業で、企業の新製品・新サービスの研究/開発/設計/製造などのアウトソーシングをトータルまたは個別に引き受けるほか、資金面での援助(グローバルファイナンス)や保守サービス事業、知的所有権(IP)やノウハウの提供、ならびに顧客の持つIPの活用法を提案するコンサルティング業務まで、幅広いサービスを提供していくという。
IBMが果たす役割を示す資料。顧客の要望を聞き取り、それに合った設計提案から試作モデルの製造、量産、メンテナンスまでトータルソリューションを提案するが、個別の案件のみでも受け付けるという |
同事業は全世界で700名、日本ではAPディレクターの三井俊男氏を筆頭に170名のスタッフで構成されるとのこと。これらの事業は、IBM自身以前から個別に受注を受け、実施していた内容だが、「今後は企業がいかに早く市場に製品を投入するか、Time to Macketの迅速化、および低コスト化、新技術の取り入れなどが求められる。E&TSは市場規模として全世界で200~300億ドルが見込まれる」(三井氏)と説明し、新事業として注力していくことをアピールした。
ソニーの依頼で日本IBMが製造したシステムチップの一例。プレステ2のブロードバンドユニット内のコントローラチップ(右上) |
具体例として、まず(株)ソニー・コンピュータエンタテインメントの家庭用ゲーム機『プレイステーション2』のブロードバンド接続ユニットのシステムチップを挙げ、IDEインターフェースとEthernetコントローラー、プレステ2とのインターフェースを1チップ化するにあたって、設計依頼から6ヵ月で量産化を可能にしたことを紹介した。
(株)ジェイ・シー・エムに提供し、2003年よりレストランチェーン・ガストに設置される予定の“テーブルトップキヨスク”。解像度は800×600ドット、120GB HDD、Pentium 4-1.6GHzを熱対策のため1.2GHzにクロックダウンして使用しているとのこと。サーバーは店舗ごとに設置し、1週間ごとに衛星通信で更新する |
また、製品のシリアルナンバーなどを高速に読み取り、認識する画像処理システムを紹介し、ハードウェアの設計/製造だけでなくソフトウェア(アプリケーションやファームウェア、デバイスドライバー)の開発スタッフの技術力をアピールした。
画面のデモは、製造ラインを流れるHDDからシリアルナンバーを検出し、記録していくというもの。微細なプリントを拡大するため、プリズムを通しているので、画像は反転表示されているが、ほぼ問題なく正確な処理が行なわれている | 左側の端子から映像を入力し、画像処理/認識チップとDSPが処理する。上端のコネクターは検査用で、製品では省略されるとのこと |
米トランスメタ社の省電力CPU、Crusoe TM5800-933MHz(組み込み用)とSouthBridge、メインメモリーをPCカードサイズ(54×85mm)に実装し、24時間稼働可能な小型プラットフォームをデザイン。連続稼働では故障の原因になりやすいファンを排除し、企業が求める長期間(5年程度)の部品調達もIBMが保証するという |