米MontaVista Softwareは、組み込み向けディストリビューションの新バージョン『MontaVista Linux Professional Edition 3.0』を12月にリリースすることを発表し、11月20日より行なわれている“Embeded Technology 2002”会場で記者説明会を行なった。
「家電市場と通信市場にフォーカスしていく」─モンタビスタソフトウェアジャパン(株)有馬社長
記者説明会ではまず、モンタビスタソフトウェアジャパン(株)代表取締役社長の有馬仁志氏が、組み込みOSの市場動向や同社の事業戦略について説明した。
モンタビスタソフトウェアジャパン(株)代表取締役社長の有馬仁志氏 |
有馬氏によれば、現在の組み込み市場で特に成長しているOSは、組み込み用のWindowsとLinuxであり、現在主流である独自システムの採用は減っているのだという。組み込みLinuxは特に、99.9999%の信頼性が求められる、テレコムやデータコムなどの通信市場や、コンシューマーデバイスや家電向けの市場で成長が予想されるといい、今後はこれらのマーケットにフォーカスして行くと語った。
モンタビスタがフォーカスする分野。ハイエンドの通信機器分野とコンシューマーデバイス分野を中心に事業を展開する。 |
特にコンシューマーデバイス市場では、「(モンタビスタソフトウェアジャパンが)スタートして1年間は各ベンダーがLinuxについて勉強していた期間で、昨年は本格的に製品開発が行なわれていた」と語り、『MontaVista Linux』がソニー(株)の“チャンネルサーバ<CoCoon>”シリーズや、日本電気(株)の“ホームAVサーバ”『AX-10』などに採用されてきた背景を説明した。また、DVD再生ソフト『WinDVD』を開発している米InterVideoとの提携により、Linux用DVD再生ソフト『LinDVD』と『MontaVista Linux Professional Edition 2.1』を組み合わせたソリューションを提供することを新たに発表した。
『MontaVista Linux Professional Edition 3.0』の概要
引き続き、米MontaVista SoftwareのCorporate and Marketing Communications DirectorであるJoe Samagond氏が、『MontaVista Linux Professional Edition 3.0』を紹介した。
米MontaVista SoftwareのCorporate and Marketing Communications DirectorであるJoe Samagond氏 |
『MontaVista Linux Professional Edition 3.0』は、新たにカーネル 2.4.18やgcc 3.2、gdb 5.2を採用したほか、IPv6への対応やメモリ管理の改善、XFSのサポートなどが追加されている。また、これまでサポートしていたx86/IA-32、PowerPC、StrongARM/XScale、ARM、MIPS、SuperHに加えて、米Tensilicaの『Xtensa』が追加され、80種類の開発ボードがサポートされている。開発ボードのサポートは、今後も数週間に1度程度のペースで追加される予定だ。
『MontaVista Linux Professional Edition 2.1』と『MontaVista Linux Professional Edition 3.0』の比較。 |
そのほか、システムやユーザーレベルのイベントの状態を取得し分析する『Linux Trace Tool Kit』が、X86/IA-32とPowerPCに加え、XScale、MIPS、ARM、SuperHにも対応した。
『MontaVista Linux Professional Edition 3.0』は、開発エンジニア単位のサブスクリプション契約に基づいて提供される。