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COOLPIX 5700

COOLPIX 5700

2002年11月04日 00時00分更新

文● 行正 和義

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総評&撮影サンプル

撮影サンプル1(リサイズ) 撮影サンプル1(トリミング)
撮影サンプル1 レスポンスの良さや高倍率の光学ズームにより、シャッターチャンスを逃がしにくく、スポーツなどを撮るのにも適している。カラーモードを彩度+1で撮影。元画像は2560×1704ドット。

 実際に利用してみると、液晶ビューファインダの視認性が非常に良いのが印象的だ。同社初の液晶ビューファインダながら「撮影者に負担を強いないよう視認性やレスポンスなど気を配った部分」と言うだけあって、デジタルカメラの液晶モニタ/液晶ビューファインダにありがちな“液晶表示が一瞬遅れる”違和感もなく、シャッターチャンスを逃がすことは少ない。各種操作やメニューを呼び出しての設定に関しても、ややもったりとした印象のあったCOOLPIX 5000と比べると快適になっている。

撮影サンプル2(リサイズ) 撮影サンプル2(トリミング)
撮影サンプル2 COOLPIX 5000の広角28mmに比べて35mmと、風景などを撮る場合は多少物足りないものの、高倍率ズームレンズはさまざまな撮影シーンに対応でき、フレーミングの自由度は高い。元画像は1704×2560ドット。

 使ってみて感じる不満は、電池の持ちがあまり良くない点だ。連続約90分(COOLPIX 5000は約100分)という撮影時間では、1日持ち歩いて撮影する場合にバッテリパック1個では不安だ。本機はCOOLPIXシリーズの多くに採用されているリチウムイオン充電池「EN-EL1」(5000円)を採用し、最近は比較的入手が容易な一次電池「2CR5」も利用可能だが、電池室を内蔵するグリップ部が多少太くなってもいいから同社の一眼レフデジタルカメラ「D100」で使用している大容量バッテリ「EN-EN3」を採用して欲しかった(キヤノンの「EOS D60」と「PowerShot G2」が共通のバッテリパックを採用していることを考えれば無理な話ではないだろう)。

 COOLPIX 5700には本体下部に装着可能なバッテリパック「MB-E5700」(単3電池×6本使用:1万8000円)が用意されており、縦位置シャッターボタンやズームレバーを装備するなど機能も高いものの、やはり携帯性などを考えれば本体のみで電池が持ってくれたほうがありがたい。

撮影サンプル3(彩度標準/輪郭強調なし) 撮影サンプル3(彩度+1/輪郭強調強)
撮影サンプル3(彩度-1/輪郭強調弱) 撮影サンプル3(部分アップの比較)
撮影サンプル3 彩度および輪郭強調を変更しつつ撮影したもの。左から彩度標準/輪郭強調なし、彩度+1/輪郭強調強、彩度-1/輪郭強調弱。彩度標準や輪郭強調なしではやや薄い印象を受ける。元画像は2560×1704ドット。

 撮影画像に関しては、色収差を起こしやすい高倍率ズームレンズにもかかわらず、望遠から広角まで周辺画像の劣化は非常に少ない。絵作りは同社ならではの落ち着いた発色と軟らかな描写のため、コンシューマ向けデジタルカメラの画像を見慣れた目からすると鮮やかさやシャープさに欠ける絵にも見られる。しかし、画像処理のモードが標準では比較的弱めに設定されており、彩度調整(-2/-1/0/+1)や輪郭強調(オート、強/標準/弱/OFF)、階調補正(オート、標準、コントラスト強/弱、明るい/暗い)をいずれも強めに指定すれば、メリハリのある絵作りとなる。ただし、COOLPIXシリーズの絵作りの特徴として赤の発色がきつめに出る傾向にあるため、彩度を高めにすると画像全体の中でも赤がかなり目立ちやすい。カメラ側で彩度や輪郭を強調すると元画像に戻せないことを考えれば、彩度や輪郭、色合いの調整はPC上のレタッチソフトで調整するといい(もちろんRAWで撮ってPC側でTIFF/JPEG化するのベストだ)。

撮影サンプル4(リサイズ) 撮影サンプル4(トリミング)
撮影サンプル4 マクロ撮影結果。近接撮影距離は最短レンズ前から3cm。花をアップで撮るような場合には可変アングルの液晶モニタが重宝する。背景のボケ加減もコンパクト機に比べてきれいだ。元画像は2560×1704ドット。

 装備するレンズやレスポンスの違いなどから、COOLPIX 5000はじっくりと風景などを撮る作品志向、COOLPIX 5700はスポーツ/動物/取材といったフィールド志向というような味付けがなされているようだ。しかし、そういった用途を考えればCOOLPIX 5000と同じ3コマ/秒ではなく、より高速の連写機能も欲しくなる。もちろんその用途には、同社の一眼レフデジタルカメラ「D1H」(5コマ/秒、最大40コマ)があるわけだが、10万円前後のデジタルカメラでも同程度の高速連写(コマ数は少ないが)が可能な機種もある。COOLPIX 5700ではフルサイズのUH連写(320×240ドット、約30コマ/秒、最高100コマ)は用意されているものの、これ以上の画素数では最高3コマ/秒となってしまう。FinePix S602のように画素数は半分だが高速で連写できるモードがあれば重宝するはずだ。

撮影サンプル5(リサイズ) 撮影サンプル5(トリミング)
撮影サンプル5 中間調部分にややノイズが載っているようにも見えるが、細かなディテールはきれいに表現されている。暗部/ハイライト部ともにノイズは少なく、ハイライトへの階調のとびも少ない。元画像は1704×2560ドット。

 1台で様々な用途に利用できる高倍率ズームはレンズ一体型デジタルカメラを選ぶ上では大きな魅力であり、FinePix S602や「DiMAGE 7i」、「DiMAGE 7Hi」、ソニー「Cyber-shot DSC-F707」「Cyber-shot DSC-F717」などの製品群が並ぶ。500万画素CCDと光学8倍ズーム、可変アングル液晶モニタと視認性の良い液晶ビューファインダといっ装備をコンパクトなボディに収め、RAWデータ記録や高速なレスポンスを持つ本機は、数ある高倍率ズーム機のなかでも最強と言っていいだろう。

COOLPIX 5700の主なスペック
製品名 COOLPIX 5700
撮像素子 2/3インチ有効500万(総524万)画素CCD
レンズ 光学8倍ズーム、f=8.9~71.2mm(35mmフィルムカメラ換算時:f=35~280mm相当)、F2.8~4.2
記録媒体 CF TypeII(1GB Microdrive対応)
記録画素数 2560×1920/2560×1704(3:2)/1600×1200/1280×960/640×480ドット
液晶モニタ 1.5インチ低温ポリシリコンTFT(約11万画素)、ビューファインダ:0.44インチ高温ポリシリコンTFT(18万画素)
動画記録 320×240ドット(15fps、音声付き)、最長60秒
インターフェイス USB(リモートコード兼用)、AV出力、DC入力
電源 専用リチウムイオン充電池(EN-EL1)×1もしくは6Vリチウム電池(2CR5)×1
本体サイズ 約108(W)×102(D)×76(H)mm
重量 約480g(本体のみ)

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