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米ザイリンクスCEOのウィム・ロレンツ氏が来日──製品戦略を説明

2002年10月31日 23時28分更新

文● 編集部 阿蘇直樹

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ザイリンクス(株)は31日、米ザイリンクス社の2003会計年度の第2四半期(2002年7月~9月期)の会計報告と、今後の製品戦略を紹介する記者発表会を都内で開催した。記者発表会では、米ザイリンクスのCEOであるウィム・ロレンツ(Willem P. Roelandts)氏が今後の製品戦略などを紹介した。

米ザイリンクス社CEOのウィム・ロレンツ氏
米ザイリンクス社CEOのウィム・ロレンツ氏。手にしているのは2003年第1四半期より出荷されるという、台湾UMCのラインで生産された300mmウエハーのサンプル

米ザイリンクスは、ASIC(特定用途向けIC)の一種で、ユーザーが設計した回路を電気的に書き込んで(プログラミング)任意の機能を持ったICを作成できるデバイス“FPGA(Field Programmable Gate Array)”の市場で60%のシェアを持つ企業。自社ではアーキテクチャーの設計やソフトウェア開発のみを行ない、実際の製造は米IBM社、台湾UMC社、セイコーエプソン(株)を通じて行なう“ファブレス・カンパニー”だ。

現在同社が販売しているのは、主に通信機器をターゲットとした高集積FPGA『Virtex』シリーズと、低コストでコンシューマー機器向けのFPGA『Spartan』シリーズ、ルーターや携帯電話、PDAなどをターゲットにした、不揮発性メモリーなどに回路データを保持するデバイス“CPLD(Complex Programmable Logic Device)”『CoolRunner』シリーズなどがある。

製品ラインアップ
米ザイリンクスの製品ラインアップ

ローレンツ氏によると、ハイエンドの製品では、現在米IBMのラインで生産されている、130nmルール、9層全銅配線、低誘電率層間絶縁(low-K)プロセスによる『Virtex-II Pro』のニーズが高く、台湾UMCのラインでも製造を開始する予定だという。現在サンプルが製造されており、2003年第1四半期には市場に投入される予定だ。

サンプル製品
台湾UMCで製造されたサンプル製品。300mmウエハーを利用して130nmルールで製造されている。『Virtex-II Pro』などのハイエンド向け製品を米IBMだけでなく台湾UMCでも製造し、安定供給することを目指すという

さらに、現在主流のパラレルI/Oインターフェースから、高速シリアルI/Oインターフェースへの移行を進めるとし、“Serial Tunami”イニシアティブについて発表した。これはパラレル通信の場合、共有バスを高速化するためにはワイヤー(配線)を増やさなければならず、コストも高くなるためで、システムコストを削減するために高速シリアル接続を推進するというものだ。これに基づき、現在『Virtex-II Pro』に搭載されている3.125Gbpsトランシーバーに代わり、来年には10Gbpsトランシーバーが搭載されることを発表した。

一方、これまでFPGAやCPLDのように回路データを顧客が設計できるデバイス“PLD(Programmable Logic Device)”の採用がなかなか進まなかったコンシューマー向けデバイスでも、製品開発サイクルが短くなっており、ASICではなくPLDを利用した製品が増えているという。

『Spartan』シリーズの売り上げ
過去1年間の『Spartan』シリーズの売り上げ。売り上げの86%はコンシューマー機器向けだという

コンシューマー向けデバイスは、これまでターゲットとしてきたデータ処理や通信機器の顧客と比べて、顧客あたりの出荷個数が非常に多い分野。米ザイリンクスが提供する低価格FPGA『Spartan』シリーズは、1998年の出荷開始以来4000万個以上出荷されたという。

今回発表した米ザイリンクスの2003会計年度の第2四半期(2002年7月~9月)の会計報告によると、売り上げは2億7790万ドル(約342億円)にのぼり、昨年同期と比較して24%の増加率となった。日本市場での売り上げも順調に推移しており、地域別売り上げ構成比が15%(約51億円)に拡大したという。ローレンツ氏は、これは民生機器分野の成長によるところが大きいとしており、今後これらの分野を強化したいと語った。

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