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【直撃! 話題の企業】次世代のグループウェア/PIMに挑むデジタルドリーム

2002年10月31日 15時17分更新

文● 編集部 佐々木俊尚

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近藤治・デジタルドリーム社長近藤治(こんどう・おさむ) (株)デジタルドリーム代表取締役社長。1983年、日立造船(株)入社。87年に(株)ジャストシステムに移り、花子やジャストウィンドウの開発に従事。90年代前半にはオブジェクト指向OS“JWAVE”開発プロジェクトに携わる。99年、(株)デジタルドリームを設立。P2P技術をベースとした個人情報管理ソフトウェア“ifreestyle”の設計、開発を行なっている

(株)デジタルドリームは、個人情報管理ソフト(PIM)の“ifreestyle”を開発している。このソフトが注目されているのは、サン・マイクロシステムズのJXTAプロトコルを採用したP2P(Peer to Peer)をベースにして他のP2Pシステムとも互換性を保っているのと同時に、ユーザーインターフェースにフラッシュ(Macromedia Flash)を使っていることだ。しかもPIMであるのと同時に、グループウェア的な性格も持ち合わせている。だからifreestyleがインストールされたパソコンは、PIMのウェブサーバーであると同時にP2Pのピアでもあり、グループウェアのクライアントにもなる。コンピューターの持つポテンシャルがこれからどんな風に使われていくのか――そんな将来のビジョンをも感じさせるこのソフトは、どのようにして作られているのだろう。同社の近藤治代表取締役社長に聞いた。

ifreestyleの画面
フラッシュを使ったifreestyleの画面
[ASCII24] ifreestyleの開発は、どのようなきっかけでスタートしたのでしょうか。
[近藤社長] デジタルドリームを立ち上げたころは、何をしようという目的はまだはっきりしていなかったんです。きっかけは、経済産業省からの補助金ですね。移動型エージェントと分散ストレージというテーマで2000年に補助金が下り、それでエージェントの開発を始めました。その結果強く思ったのは、明確なアプリケーションがないとだめだということ。それでPIMをやろうと思って発想が現れた結果が、ifreestyleでした。
[ASCII24] なぜP2Pだったのでしょう。
[近藤社長] 最初はP2Pじゃなかった。今でもピュアなP2Pを志向しているわけじゃないんです。P2Pというと誤解されやすいですよね。わたしたちが本当に目指しているのは、自立的なネットワークなんです。ifreestyleはウェブサーバーを持っているので、携帯電話からアクセスしている時はそのパソコンがウェブサーバーになる。ifreestyleが導入されたパソコンはウェブサーバーにもなっているし、P2Pのピアにもなってるし、グループウェアにアクセスするときはそれ自身がクライアントにもなっている。ネットワークトポロジーがマルチなんです。
また、グループウェアをP2Pでやろうとすると同期がどうなるかという問題がある。グループウェアにつながっているマシンが30~40台のスケールになると、P2Pでは全部のマシンにブロードキャストしてしまう。ネットワークが爆発してしまうわけです。そこでifreestyleのグループウェアサーバーが介入し、ピア同士が直接話を始めるのではなく、サーバーと会話して指示を受けるようにしてある。これだけではただのハイブリッドP2Pに聞こえるかもしれませんが、ifreestyleにはもうひとつ特徴がある。実は、P2Pの部分でJXTAを利用しているように、JiniがHTTPを使ってエージェントのプログラムを移動させてくれる。将来的に、その仕組みを製品に組み込むためにも、ウェブサーバーを内部に持っているんです。
[ASCII24] エージェントはすでに実装されているんですか。
[近藤社長] 今のバージョンにはまだ実装されていなくて、次のバージョンでifreedeskという名称での搭載を目指しています。年内が目標ですね。
[ASCII24] どのような形のエージェントなのでしょう。
[近藤社長] フラッシュのダイアログパネルをそのままピアに送りつける、そういう仕組みのエージェントを作っています。これはどういう意味があるかというと、たとえばグループウェアで何かのミーティングのタスクがあるとしましょう。それで参加者のうちAさんはこの日は都合がよいとか、Bさんはその日はダメだとか各メンバーによっていろいろ都合がある。そうしたやりとりは通常、メールやチャット、掲示板などでバラバラに交換されているわけです。ifreedeskではミーティングに関係したそうしたタスクがひとつの画面にずらりと並ぶようにしたい。チェックボタンなどのユーザーインターフェースもついていて、参加ボタンなどですぐに参加でき、参加者のリストも表示される。このダイアログパネル自体を、フラッシュのプログラムを送りつけて表示させようということです。
[ASCII24] 非常に興味深い発想ですね。
[近藤社長] グループウェアを作ろうとすると、掲示板、回覧板、メールと機能はどんどん増えていく。山のように機能は必要なのだけれど、それを全部別に作ってもユーザーインターフェースは同じにしなければいけない。だったらユーザーインターフェースの部分は、Javaのサービスとフラッシュのプログラムを送るだけにすればいいのではないかと思ったわけです。そもそも使う側から見れば、回覧板や掲示板が目的じゃない。ミーティングを開くために、回覧板という手法が必要なだけでしょう?
[ASCII24] エージェントのサイズが大きくなってしまうのでは?
[近藤社長] 100KB程度です。フラッシュと言っても、裏ではJavaのサービスにリンクさせているだけなんです。ifreestyleがもともと持っていて、組み込み済みのサービスを利用しているだけ。つまりエージェントはユーザーインターフェースを送るだけなんですね。もしまったく新しい機能を追加する必要がある場合は、Javaのサービスを新たに定義してもらって、それを送ることになります。
[ASCII24] フラッシュのパネルを送るというのは面白いですね。
[近藤社長] たぶん他ではやってないと思います。そもそもフラッシュでアプリケーションを作ろうなんて、普通は考えないですからね。
[ASCII24] そもそもなぜフラッシュなのですか?
[近藤社長] 単純な理由で、XMLをサポートしていたからです。実はジャストシステムにいたころからJavaのGUIにはさんざんつらい目にあわされてきたので、開発をスタートさせた当時、ちょっとJavaは怖いなという気持ちもあった。しかしCでコーディングするというのも今となっては……なんて思いもあり、探していたら、たまたまちょうどそのころXMLをサポートしたフラッシュが出たんです。
[ASCII24] 今後のビジネス展開は。
[近藤社長] ifreestyleはシェアで3000円で、グループウェアサーバーはダイレクト販売で10万円切る値段で販売する予定です。ただし、そうしたオンライン販売で本格展開しようということにはならないだろうとも思っています。ビジネスとして考えているのは、ハードウェアへのバンドルですね。
[ASCII24] なぜハードウェアバンドルなのでしょうか。
[近藤社長] もうパソコンの時代じゃないでしょう。これからアプライアンス化していかないと、パソコンなんてもう使わなくなっていく。ハードディスクレコーダーのようなアプライアンスがあって、そこにLinuxなりWindows CEなりが載っていて、そこで情報コントロールしましょうということになっていくと思います。そのとき、そこにきちんと個人の情報を載せて、コントロールしようということになると思う。たとえばカーナビはいま、ハードディスクが搭載されてますよね。自動車は24時間、微弱電流が流れているので、そのカーナビに携帯電話機能やIPv6を搭載すれば、もう立派な個人情報ストレージになってしまう。PIMはそのあたりにチャンスがあるんじゃないかと思っています。
ifreestyleのロゴifreestyleのロゴ

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