「PocketCosmo ADKセット」の限定販売がスタート! 詳細は本稿末、および画像のリンク先の販売情報ページをご参照ください。 |
幻が姿を現す瞬間がある。
コンピュータの世界の幻の代表格は「Java」だ。ブラウザを起動し、アプレットをダウンロードしたときにだけ、うたかたのように解き放たれるイリュージョン。そもそも、Javaプログラムは、JVM=Java“バーチャル”マシンという、名前からしてあぶくのように不安定な環境の上だ。アプレットが動くまでの長い待ち時間(JVMのセットアップ)と遅い動作は、Javaが纏う厚い「仮想」の衣を見せつける。ひとたびBackボタンを押せば、アプレットはJVMごと消える。エンタープライズ環境ではJavaはなくてはならならない開発ツールなのだがPC上でははかない夢のような存在感しかない。
そのJavaを、我々の目の前に岩のように確かな姿で差し出すのが、京セラ「Pocket Cosmo」だ。Cosmoは「Javaアプリを動かすためのマシン」。IEやNetscapeやOpera上に現れるJavaバーチャルマシンそのものと言ってもいいが、掌の上で動くデバイスにバーチャルは似合わない。これは世界初の「Javaリアルマシン」なのだ。
ゲーム機を思わせる余裕の3D処理
Javaマシン「PocketCosmo」。内蔵ソフトの完成度も高い。ATOK、HTML 3.2対応のWebブラウザ、メーラ、スケジューラ、アドレスブック、Outlookとのシンクロナイズ、Word/Excel/各種画像ファイルのビューアなどを備えるほか、Javaアプリの追加インストールが可能。 |
Java=遅い、地味、つまんないという印象を持つ多くのPCユーザーにとって、Cosmoの画面は脊髄に電極を付けられたような衝撃だろう。Cosmoの名前のとおり、宇宙空間チックな奥行きを感じさせる壁紙の前で、メニューが画面上奥からみるみる大きくなって目の前に飛び出しては、下奥にくるくると丸まって消えていく。「プレイステーション2」や「ドリームキャスト」のような、CPUの演算能力と3D描画能力があり余っているデバイスでしかついぞ見かけない、どきどきさせるインターフェイスだ。
スピードと画面の色っぽさのからくりは、Cosmoが採用する“Elate+intent”というプラットフォームにある。Elateは独創的な設計のOSで、リアルタイム・マルチタスクで高速・省メモリなのが特徴だ。Elate上で動くintentは、きわめて高速なJava実行環境(その場でJavaコードをネイティブコードに変換するJITコンパイラ)と、高速で多彩なグラフィック/マルチメディアライブラリを提供する。
もっとも、Cosmoの内蔵ソフトのすべてがJavaで書かれているというわけではなく、一部はElateネイティブのコード(StrongARMのコードという意味ではない。このあたりは事情がきわめて複雑なので今回は触れない)で書かれているという。どのソフトがJavaなのか、という情報は現時点では公開されていない。
ただ、intentはもともと単独の高速Java環境として設計されており、性能には定評がある。WindowsやLinuxなどのOS上でも動かすことができ、一般的なデスクトップPC用のJavaのJITに比べ、“10分の1のメモリで10倍の速度が得られる”という。Cosmoの場合はこれが、Tao社自身によって設計された高速軽量なElate OSとカップリングされているから、その性能は極限に達する。
シャープのLinux Zaurus「SL-A300」と比べたところ。サイズはそう変わらないが、厚みは1.5倍ほどある。ただ、Cosmoは上面にCFインターフェイスを内蔵しているので、本体+PHS/LANカードで直接通信が行えるのはポイントが高い(Linux Zaurusでは別途拡張ユニットが必要)。 |
操作用ボタン類は左側面に集中している。上の「サイドコントローラ」は、上下に動かすことで項目の移動、押し込むと選択が可能。その下の「ESCキー」は、直前の作業の取り消し、またはアプリにおいて一個上の階層に戻る動作をする。その下は電源ボタン。 |
プログラム環境が勝敗を分ける
PDAの世界でも、どれだけ優秀なソフトが流通するかは大きな問題だ。Palmは長い歴史とともに獲得したPalm OSの、MicrosoftはWindows CEの、ZaurusはLinuxのプログラマをそれぞれ囲い込もうとしているのに対し、CosmoはJavaに目を付けた。Javaは最も洗練された言語として知られ、使いやすくプログラマも多いが、JVMのオーバーヘッドがあるため、PDAのような低パフォーマンスのデバイスでは今までは考慮の対象外だった。Cosmoは、Elate/intentという秘密兵器で、この理想郷的プログラミング環境を実用に導いた。Javaが現実世界に侵入を開始する。
PocketCosmoの主なスペック | |
製品名 | PocketCosmo |
---|---|
CPU | StrongARM SA1110-206MHz |
メモリ | 32MB(SDRAM)、40MB(フラッシュメモリ) |
画面表示 | 3.5インチフロントライト付き反射型カラーTFT液晶(タッチスクリーン)、240×320ドット/6万色表示 |
インターフェイス | CF TypeIIカードスロット、シリアルインターフェイス、ステレオミニジャック |
電源 | リチウムイオン充電池、動作時間10時間(充電時間3時間) |
サイズ | 78(W)×17.5(H)×108(D)mm |
重量 | 約169g |
ASCII24読者限定のADKセットモデル販売開始!
もれなく「Java2 プログラミング講座」(弊社刊)をプレゼント!!
「PocketCosmo ADKセット」の限定販売はこちらから!(画像をクリックすると限定モデルの販売情報ページにジャンプします) |
Javaアプリケーション開発キット「PocketCosomo DS-HN1 ADK」は、開発したアプリケーションをPC上で擬似的に動作させるエミュレータ、拡張クラスライブラリなどで構成されています。今回は特別に、ASCII24読者向けにADKセットモデルを追加でご用意し、「PocketCosmo DS-HN1」および「PocketCosmo DS-HN1 b-mobileセット」をご購入のお客様へプレゼントいたします。キャンペーン期間は2003年3月31日まで。なお、注文時には必ず「ADKセット」をご選択ください(ご選択いただかない場合にはキャンペーン対象外となります)。
日本通信「b-mobile for PocketCosmo」は、DDIポケットのパケット通信ネットワーク網をバックボーンとする「b-mobile」サービス専用のPHS通信カードを利用するインターネット接続サービスで、「PocketCosmo」専用のアクセスソフトを利用してインターネットに接続する、PocketCosmo専用インターネット接続サービス&専用CFカードです。128kbps(ベストエフォート方式)の通信カードを持ち、本カードをお買い求めいただくと、6カ月分のデータ通信料・プロバイダー料と通信カード料など、インターネット接続に必要な費用がすべてセットで付いてきます。24時間使い放題の完全定額サービスなので、データ量や接続時間、追加費用を心配する必要はありません。
「Java2 プログラミング講座」アスキー書籍編集部 編 |
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