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総務省の「オープンソースOS」政策とは -前総務大臣政務官 河野太郎氏インタビュー

2002年10月25日 15時28分更新

文● 編集部

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前総務大臣政務官の河野太郎氏が、自身のWebサイトで「オープンソースコードのOSを広めていこうという総務省の方針に対し、マイクロソフトが早くもいろいろ言ってきたようだ。漢字をハンドリングできるもの、ソースコードが公開されているものであれば良いわけで、全くウィンドウズを疎外しようというものではない。誤解してもらっては困る」と発言したことが、スラッシュドット ジャパンなどで話題になった。この件に関連し、マイクロソフトからどのような連絡があったのか? また、総務省の「オープンソースコードのOS」に関する取り組みはどうなっているのだろうか? 河野氏本人に伺った。

前総務大臣政務官の衆議院議員 河野太郎氏
前総務大臣政務官 河野太郎氏。突然の申し入れにもかかわらず、こころよく取材に応じてくれた。なお、河野氏は以前、富士ゼロックス(株)の企画部門に勤務されていたこともあったそうだ。「『JStar』とか、ありましたよね。使いやすかったのですが、今はあまり聞かなくなってしまいました」と、当時を懐かしむ一幕も。

「マイクロソフト」は何をいってきたのか?

まず、「マイクロソフトが早くも」何をいってきたのか、その経緯について伺った。

河野氏によると「正式な申し入れではなく、総務省の担当部門に対してアプローチがあった、という連絡を受けた」とのこと。具体的な内容については、正式な申し入れではなかったこともあり、明らかにされなかった。なお、アプローチしてきたのはマイクロソフト(株)ではなく、米Microsoftであったようだ。

総務省の「オープンソースコードのOS」を広める方針とは?

総務省は来年の概算要求に「セキュアOSに関する調査研究」として5000万円を計上している。河野氏によると、ここでいう「セキュアOS」が指し示しているものが、「オープンソースコードのOS」にあたるもののようだ。

河野氏によると、総務省では、省議などを通じて調達するソフトウェアの要件についての議論が重ねられたという。その結果、以下の2つの項目が、総務省の業務システムに必要なものとして挙げられた。

  • 戸籍などを扱ううえで、あらゆる漢字を扱えるシステムであること
  • システムのセキュリティ強化のため、ソースコードを含むすべての情報が公開されたシステムであること

総務省のいう「セキュアOS」とは、この2つの要件を満たすものを指している。つまり、現在のところ、総務省のいう「オープンソース」は、必ずしもOSIの“The Open Source Definition”や、FSFの“The Free Software Definition”などに基づいたものではないようだ。なお、ソースコードのライセンスや、ソフトウェアの具体的な仕様などについては担当レベルで検討しているといい、正式な調査は来年度予算の成立以降に行なわれることになるそうだ。調査結果次第では、総務省の調達において、この2つの要件を満たすことが求められるようになるかもしれない。

また、河野氏によると、ほかにも経済産業省や内閣府でも個別にオープンソースシステムについて検討しているといい、今後は「政府全体で1つのコントロールタワーをおいて推進するのではないか」とのことだ。

河野氏個人としては、基本的には「フリーソフト的なもの」を応援すべきだと考えているという。その理由としてはまず、広い意味での産業政策として、ソフトウェア産業を支援するという側面がある。もう1つの理由として、「みんなが同じシステムを使っていると、たとえばコンピュータウイルスが出てきたときに、一気に広まるのではないかと考えている」といい、ソフトウェアの多様性が必要であるとの考えを示した。

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