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Cyber-shot DSC-F77

Cyber-shot DSC-F77

2002年10月21日 00時00分更新

文● 行正 和義

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総評&撮影サンプル

撮影サンプル1(リサイズ) 撮影サンプル1(トリミング)
撮影サンプル1 コンパクト機とはいえさすが400万画素機であり、トリミングしたサンプル(右)の木肌のディテールが見事に再現され、陰影の調子も悪くない。元画像は1704×2272ドット。

 最近のデジタルカメラ新製品は、起動時間やシャッタータイムラグなどの数値で利便性をアピールするのが流行しているが、F77の場合は起動時間が約0.9秒、シャッタータイムラグは約0.35秒、撮影間隔約1.7秒と、目立って遅くはないものの“高速”というわけでもない。しかし、コンパクトでスリムなボディはポケットからも取り出しやすく、レンズを回転するだけで撮影可能になる簡単さは、普段のスナップ撮影でもシャッターチャンスを逃がしにくい。

 一方、スリムなボディとツルツルした表面処理は滑りやすいので、不意の落下を防ぐために取り出し時はストラップに手を通す癖をつけるなど、ユーザー側で注意がほしい。本体前面の右側には滑り止め用の突起が並んでいるものの、それでも滑りやすい表面のために、グリップ感はいまひとつ良くない。また、コンパクトボディのためやむを得ないとはいえ、モードダイヤルが側面にあるのはモード切り替えの際にカメラを横に向けなくてはならず、手順が少々面倒だ。プログラムオート中心の製品なので撮影時にモードを頻繁に切り替えるわけではないが、やはりダイヤルを目視しながらでないとポジションを変えにくい(液晶モニタのステータス表示の違いで判別できるものの、少々分かりづらい)。このほか、操作に慣れないうちはレンズ収納時にレンズ面を指で触りやすいので注意が必要だ。。

撮影サンプル2(リサイズ) 撮影サンプル2(トリミング)
撮影サンプル2 ハイコントラストな状況だが白とび/黒つぶれを起こしておらず、被写体の色も鮮やかに再現しているほか、青空の色もしっかりと残っている。ハイライト部/暗部ともにノイズも少ない。元画像は1704×2272ドット。

 撮影結果を見てみると、シャープな解像感やすっきりとした発色など、嫌味のない絵づくりはCyber-shotシリーズならではのものだ。同社開発の「14bit AD変換処理」(最終的に各色8bitの画像を記録するものの、中間色を高階調で画像処理することで色の再現性を向上する機能)を搭載していることもあって、白とび/黒つぶれが少なく階調も滑らかに表現されている。一般的に単焦点レンズは、ズームレンズよりも明るく高解像力を持つものだが、F77はコンパクト機ゆえに小径レンズを採用したため“開放絞り値F2.8”とあまり明るいレンズではないものの、仕上がった映像を見ると周辺での色収差や歪みは少ない。若干気になった点としては、周辺部、特に画像の左側の上下隅が暗く写る傾向にあり、ケラレたように減光する。中央部を切り出すデジタルズーム時ならばもちろん問題はないが、35mmフィルムカメラ換算時“37mm相当”とあまり広角に強くないレンズのため、ズームを使わずに撮影する場合も多いので、この点は改善を望みたい。

撮影サンプル3(リサイズ) 撮影サンプル3(トリミング)
撮影サンプル3 コントラストが高く中間調も多く含まれる画像では、さすがに中間調部分がざらついてしまう。明暗の差が激しい部分でエッジが強調されているほか、雲の細部がやや甘くなっている。元画像は1704×2272ドット。

 なお、F77にはBluetooth搭載の姉妹機「Cyber-shot DSC-FX77」もラインナップされている。ボディ左側面がBluetoothモジュール内蔵のために若干膨らんでいるほかはF77とほぼ同じデザインで、Bluetooth搭載のPCやプリンタなどへワイヤレスで画像を転送/印刷できるのが特徴だ。初代DSC-F1でもいちはやくIrDA赤外線通信ポートを搭載してワイヤレス画像転送機能を実現し、「撮る・見る・飛ばす」というキャッチフレーズと共にニューコンセプトを提案してきた“いかにもソニーらしい製品”であり、FX77はF77と共にDSC-F1の正統な後継機と言える。

 200万画素クラスの入門機ならばともかく、400万画素クラスで単焦点レンズを搭載するF77は最近のデジタルカメラの中では珍しい存在だ。しかし、高画素機であればそれだけデジタルズーム(もしくはPC側でトリミング)した時でも高解像度の画像が得られるわけであり、単焦点/高画素機というカテゴリは立派に成立する。入門機の中にも高倍率ズームを搭載する機種が登場してきているが、F77は光学ズームを持たないことによりコンパクトなボディやシンプルな操作性といったメリットを得て、強力なスナップ撮影機として活躍しそうだ。

撮影サンプル4(リサイズ) 撮影サンプル4(トリミング)
撮影サンプル4 日陰部分で光量がやや足りない状況だが、それでも発色はくすんだ感じにならず濃い色に表現された。マクロモードはレンズ面から約10cmまで近接できるが、写真は約20cm程度に寄って撮影したもの。元画像は1704×2272ドット。
DSC-F77の主なスペック
製品名 DSC-F77
撮像素子 1/1.8インチ有効400万(総410万)画素CCD
レンズ 単焦点AF、f=7.65(35mmフィルムカメラ換算37mm相当)、F2.8
記録媒体 メモリースティック(16MB付属)
記録画素数 2272×1704/2272×1520(3:2)/1600×1200/1280×960/640×480ドット
液晶モニタ 1.5インチTFT(12.3万画素)
動画記録 640×480/320×240/160×120ドット、各30/15fps(選択可能)、QuickTime形式
インターフェイス USB、DC入力、AV出力
電源 専用リチウムイオン充電池
本体サイズ 約98.1(W)×27(D)×71(H)mm
重量 約157g(本体のみ)/約185g(装備重量)

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