“U”niqueを体現した
チョイ撮りカメラ
手のひらにすっぽりと入るCyber-shot U(DSC-U10)の実機を目にすると、仮に雑誌やWebなどで事前に情報を得ていた読者も少なからず驚くはずだ。
幅84.5、奥行き28.6、高さ39.8mmという数字の羅列だけでは、ピンと来ないかもしれないが、男性の人差し指と親指の上にちょこんと乗せられるサイズ(本誌編集長Eの言葉を借りるなら「にぎり寿司サイズ」)と書けば、ある程度イメージが伝わるだろうか? とにかく今までのデジタルカメラの常識を破る、超小型で軽量な(87g)サイズに、Cyber-shot Pシリーズ譲りの個性的な横長ボディを採用した、見た目から違うカメラである。
ガジェットライクな本体は、パール調の彩色が施され、カメラというより、アクセサリを思わせる品のあるデザインだ。本体色には「シルキープラチナシルバー」「メロウパールピンク」「メタルソニックブルー」の3色が用意されており、店頭ではこの順番で売れているという。
撮影機能はフルオート中心のシンプルな構成で、「ホワイトバランス」や「露出補正」の設定はできない。作品を作りこむという要素は乏しいカメラだが、小難しい設定に頭を悩ませるのではなく、被写体をフレームに収める作業に集中できる。「動いた心」を素直に保存できる簡便な操作性は、「デジタルで写真を撮る楽しさ」を再認識させてくれる。
実は、こういった「多機能」でも「高性能」でもないが、肌身離さず持ち歩け、メモに近い感覚でパシャパシャとシャッターを切れる超小型デジタルカメラ(=チョイ撮りカメラ)が新しい市場を開拓しつつある。
Cyber-shot Uとともにその中心にあるのが、カシオ計算機の「EXILIM」だ。こちらはクレジットカードとほぼ同じ88(W)×55(H)のフットプリントで、本体の薄型化をとことん突き詰めた製品。音声付静止画&MP3再生機能を装備した上位機「EX-M1」(厚さ12.4mm、重量87g)と、機能を写真撮影のみに絞った「EX-S1」(11.3mm、85g)の2種類があり、色もシルバーとホワイトが選べる。縦横のサイズが大きいため、見た目で小さく感じるのはCyber-shot Uだが、EXILIMは、本体が薄いため容積では半分程度となる。ステンレス外装の落ち着いたデザインもビジネスマンが違和感なく持てる条件のひとつだ。
CCDは有効124万画素と(出力1280×960ドット)とDSC-U10の有効130万画素とほぼ同等で、メモ用途を中心に置き、軽快な起動とレスポンスの実現に重点を置いたコンセプトも共通する。音楽再生機能を持つEX-M1は、実売で3万9800円と1ランク上の価格帯だが、EX-S1は2万9800円でCyber-shot Uとは5000円の差。こちらも入手には苦労するほどの人気だ。
互いに魅力的なCyber-shot UとEXILIMだが、実際に使用してみると、機能や使い勝手、製品コンセプトに関する相違点も見えてくる。製品を購入前の読者は(すでに一方を購入した読者も)、実際に購入するならどちらかは気になる部分だろう。記事の後半では、これら2機種(DSC-U10とEX-M1)の機能を比較しながら、両者の実力を詳しく見ていくことにする。