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FLORA 270W NW4 サイレントモデル

FLORA 270W NW4 サイレントモデル

2002年10月09日 02時54分更新

文● 月刊アスキー編集部・橋本

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FLORA 270W NW4 サイレントモデル

日立製作所

34万1000円~(カスタムメイド対応)

2002年3月に、日立製作所が究極の静音化を目指した「PC用水冷システム」の開発を表明した。あれから4カ月、その製品版となる「FLORA 270W NW4 サイレントモデル」が発売された(製品出荷は9月30日)。ベースとなるのは同社の企業向けA4ノートPC「FLORA 270W」。今回その開発機をお借りできたのでレポートをお届けする。なお製品機では仕様が変更になる場合がある。

スペックはハイエンドノート

背面写真1 「FLORA 270W NW4 サイレントモデル」の背面。液冷タンクを際立たせる出っ張ったデザインなど、見た目は今年3月の試作機とほとんど変わっていない。
正面
写真2 正面からの外観は通常の空冷モデル「FLORA270W NW8」とまったく一緒。左側面にFDD、前面にCD-ROMドライブを搭載。

 3月の試作機とはベースモデルが異なるが、液晶モニタ背面に放熱板と液冷タンクがあるなど水冷システムの構造はほぼ一緒。3月の時点で同社は「液冷タンクを目立たせないようなデザインにすることも可能」と言っていたが、液晶背面に装備されたタンクがもっこり盛り上がっている所も変わっていない。最初の製品ということでわざと水冷PCだとすぐに分かるデザインを残したのだろう。

 スペックはA4オールインワンノートPCとしては最高クラスである。モバイル系CPUでは(原稿執筆時点で)最速となるMobile Pentium 4-M-1.8GHzを搭載。メモリとHDDは注文時に選択可能(メモリは128~512MB、HDDは20GBまたは40GB)で、CD-RW/DVDコンボドライブや無線LAN(IEEE802.11b)の内蔵も可能だ。15型の液晶モニタを採用し、ビデオチップにはATIの「MOBILTY RADEON 7500」を搭載する。



構造図
写真3 「FLORA 270W NW4 サイレントモデル」に組み込まれた水冷システムの構造図。

 重さは一般的なMobile Pentium 4搭載のハイエンドノートが3kg前後なのに比べ、FLORA 270W NW4 サイレントモデルの重量は3.75kg。外に持ち出して使うにはちょっと重く感じるだろう。

 価格は同社のオンラインショッピングサイト「日立Internet Shop」で34万1000円(ベースモデルの価格。仕様の詳細はタイトル下のスペックを参照のこと)。同様のスペックのマシンが他社から30万円前後で販売されていることを考えると、若干割高ではあるが個人でも手が届かない価格でもない。



世界初を成し得た
水冷システムの仕組み

水冷システム
写真4 水冷システム単体の写真。同社では今後この水冷システムを他社にもOEM供給していく予定だとか。

 実際の水冷の仕組みについて、写真3を元に解説しよう。まず液晶背面にある

  1. 液冷タンクの冷却液が
  2. 小型遠心ポンプにより吸い出され、CPUの真上に配置された
  3. 水冷ジャケットに流れ込む。CPUの熱を吸収した冷却液は液晶背面全体に貼られた
  4. 放熱板をぐるっと1周し、再び液冷タンクに戻る。

この一循環を10mlの冷却液が1分間で行う。

 ちなみに冷却液は金属腐食性が少ないグリコール系の不凍液で、冷却液が流れるパイプも稼動部分などの要所に特殊加工が施してある。これにより最低5年間は冷却液の交換・メンテナンスは不要だ。

 水冷ということで気になるのは周囲の温度による影響だが、同社の説明では0~40度までの環境で動作可能とのこと。0度以下でも不凍液を使用しているため、冷却液が凍ることはなさそうだ。



手持ちの騒音計では計測不能
驚異の静けさを実現

騒音計測
写真5 弊社の地下にあるレコーディングスタジオにて騒音を測定。しかし使用した騒音計の限界(28dBA以下)を下回る駆動音。体感的にはHDDの音しか聞こえない。

 FLORA 270W NW4 サイレントモデルの一番の特徴は静音性である。水冷にすることで完全なファンレス環境を実現しており、耳を澄ませてもかすかにHDDのアクセス音が聞こえるのみだ。リリースによると騒音レベルは30dBA以下(図書館並みの静けさ)となっているが、実際はどうなのだろうか? そこで防音設備の施されたレコーディングスタジオで騒音を計測してみた(写真5)。まずいわゆる普通の空冷型(ファン搭載型)のMobile Pentium 4搭載ノートPC(EDiCube R450H)の場合。普通にファンが回っている状態で35dBA、ファンがフル回転している状態では45dBAという数値になった。対してFLORA 270W NW4 サイレントモデルはというと、HDD動作時で30dBA以下、HDD非動作時では28.4dBAアンダーという数値になった。アンダーというのは今回測定に使用した騒音計の限界を下回ったということで、残念ながら正確な数値を測るには至らなかった。

 今回は日立自らが水冷PC1号機を発売したが、3月の発表ではこのシステムを他社にOEM供給することも発表している。今後この水冷システムを採用したPCが他社から発売される可能性も多いにある。


FLORA 270W NW4 サイレントモデルの主なスペック
製品名 FLORA 270W NW4 サイレントモデル
CPU Mobile Pentium 4-M-1.8GHz
メモリ(最大) 128MB(DDR SDRAM、512MB)
ビデオチップ ATI MOBILITY RADEON 7500(ビデオメモリ16MB)
HDD 20GB
液晶モニタ 15型TFT(SXGA+)
光メディアドライブ CD-ROMドライブ(24倍速)
I/O USB 2.0×4、外部ディスプレイ(アナログRGB/DVI-D)、IEEE1394×1、パラレル、シリアル、S/PDIF、オーディオ
TV機能 シリアル、パラレル、USB×2、IEEE1394×1、外部RGB出力
サイズ 326(W)×275(D)×46(H)mm
重量 3.75kg

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