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IT関連および電子技術・製品の展示会“CEATEC JAPAN 2002”開幕

2002年10月02日 10時31分更新

文● 編集部 佐久間康仁/内田泰仁/栗山博行

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家庭内AVサーバーに関しても、各社力を入れているのが分かる。ソニーは9月14日に開催された“ソニードリームワールド2002”でも展示していた、ユーザーの嗜好を覚えるビデオレコーダー“COCOONシリーズ”を大々的に出展、さらにそこからネットワーク経由で保存した映像を家庭内の各部屋から見られるAVサーバーシステムを提案していた。

このようなAVサーバーは家電メーカー各社の次なる需要喚起の波として大いに注目度が高まっており、松下電器産業も地上波デジタル放送やハイビジョン放送をにらんだホームサーバーの参考出展を行なっている。まずは『AVCサーバー』。HDDおよびDVD-RAM/Rレコーダー機能、SDメモリーカードリーダー/ライター機能、ネットワーク通信機能を備え、テレビ放送、動画、静止画、音楽、インターネットをサポートする“マルチ入力”なAVサーバーだ。テレビへの情報出力はもちろん、LANを利用してパソコンからAVCサーバーにアクセスして、蓄積したデータの参照をすることも可能。現段階では無線LAN機能は搭載せず、ネットワークへの接続は有線LANを検討中とのこと。開発サイドとしては1~2年での製品化を目指すとのことだったが、現時点では製品化時期はまだまだ未定だという。なお、製品化時点での状況次第では、記録メディアやネットワークへの接続方法が変更される可能性もある。

松下電器産業 『AVCサーバー』
松下電器産業の家庭内AVネットワークのデモ風景AVネットワークの核になる『AVCサーバー』
『ネットワーク・タウ』 無線AVネットワーク受信アダプター
TVに情報ブラウズ機能を持たせた『ネットワーク・タウ』。AVCサーバーが文字通りデータを蓄積する機能を持つのに対し、こちらはブラウジングが中心の製品松下の無線AVネットワーク受信アダプター。無線LAN方式はIEEE 802.11aを採用

日本ビクターも中央にHDDレコーダーを据えた家庭内AVネットワークのデモ展示していた。その中で注目したいのが、京セラ(株)のポケットサイズJava端末『PocketCosmo DS-HN1』上で動作するマルチメディアプレーヤーソフトだ。日本ビクターはPocketCosmoが採用した英Tao Group社のOS『intent』(インテント)用アプリケーションの開発技術を持っており、今回はメディアサーバーから無線LAN(IEEE 802.11a/11b)で映像を受信して家庭内のさまざまな部屋から好きなスタイルで見られるという提案として、ソフトウェアを開発したという。端末はPocketCosmoに限定せず、PocketPCへの移植も容易だとのこと。

日本ビクター PocketCosmo
日本ビクターのAVサーバーシステム。メディアサーバーはHDDに映像などのデータを溜め込む一方、こちらは携帯端末で映像を受信、再生しているところ。端末は京セラのPocketCosmo

さらに、ビクターでは光通信端末を使った無線AVデータ伝送のデモも行なっている。光通信の技術自体は従来からあるものだが、今回データ転送レートを1.25Gbpsまで高速化したことにより、ハイビジョン映像の大容量データも途切れたりコマ落ちすることなくスムーズに再生が可能となった。通信端末も進化しており、受光部を自動的に探して最適な角度で照射するモーターユニットを内蔵している。ただ、端末間を遮蔽すると通信が途絶える、同時に1対1でしか通信できない、といった光ならではの弱点は依然として抱えている。現在考えられている主な用途は、展示会などの大型会場での配線を簡略化するといったビジネス用途が主体だが、こうした光による無線伝送の技術も将来は家庭に入ってくるかもしれない。

光伝送受光部 光伝送送信部
光伝送装置。こちらは受光部光伝送装置の送信部。通信速度は最大1.25Gbps

なお、ソニー/ソニーマーケティング(株)のブースでは、COCOONの弟にあたる普及モデルの“CHANNEL SERVER”(HDDビデオレコーダー)を参考出展していた。ユーザーの嗜好を判別するキーワードが、用意された単語からの選択式(COCOONは自由文字での単語入力が可能)になるなど機能は一部制限されるが、10万円を切る店頭価格で出てきそうだ。

CHANNEL SERVER
ドリームワールドではコンセプト発表のみで、実機を一般公開するのはCEATEC JAPAN 2002が初めてという、普及版の“CHANNEL SERVER”

AVサーバーではないが、無線LANを利用したユニークな試みが三洋電機(株)のブースで見られた。CFカードスロットを持つデジタルカメラに無線LANカードを装着して、撮影した画像をそのまま無線LAN経由でサーバーに保存、逆にデジタルカメラからサーバーの画像を参照して手元で閲覧することもできる、という“ネットデジカメ”だ。デモに使われていたデジタルカメラは、三洋電機の数年前の機種“Multi-z”で、無線LANカードを認識させるためのファームウェアを変更した以外、ハード面での改良は一切加えていないという。三洋電機のデジタルカメラは“動画デジカメ”の愛称を持つとおり、動画撮影にも強いが、このシステムは動画のリアルタイム転送にも対応している。現時点では、公衆無線LAN回線がまだ普及していないが、近い将来に観光地やカンファレンス会場などで無線LANが当たり前のように使えるようになれば、いちいち記録デバイスの予備を持ち歩く必要はなくなるかもしれない。

三洋電機のお姉さん ネットデジカメ
三洋電機の“ネットデジカメ”のデモ機と、三洋電機のお姉さん三洋電機のかなり以前のデジタルカメラ“Multi-z”にメルコの無線LANカードが装着されている。これで撮影した画像は即サーバーに転送される
3Dディスプレーの携帯端末こちらは、“ネットデジカメ”の近くで展示されていた、三洋電機による3Dディスプレーの活用例。携帯端末の画面で特定の顔文字だけを3D表示してゆらゆら動かしている。従来の3Dディスプレーは技術的には高い関心を集めるものの、実使用の場面を想定しづらかったが、これは目からウロコだ。ぜひ使ってみたい!

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