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ノートPC 裏 技術情報 前編:日本IBM ThinkPad

ノートPC 裏 技術情報 前編:日本IBM ThinkPad

2002年09月14日 06時25分更新

文● 田中 裕子

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歴代ThinkPadのキーボード

革新によって築かれてきた伝統
 ThinkPadシリーズの原型となった、IBM最初のA4サイズノート「PS/55 note 5523-S」の登場から10年が経過した。以来、ThinkPadはバージョンアップを続け、ノートPCの1大ブランドとしての確固たる地位を築くまでに至った。ThinkPadの魅力のひとつはこの10年間、脈々と受け継がれてきた血統にある。初代ThinkPadと最新のThinkPadを比較したなら、その間に認められる共通点の多さに改めて驚くに違いない。しかし、ThinkPadの流れが1本道であったかというとそうではない。時として周囲を驚かせるような柔軟かつ挑戦的な発想で、PC業界を騒がせたThinkPadが過去に何台も登場した。ここではそんな10年の歴史から育まれたThinkPadのキーボードを並べてみよう。

●ThinkPad 701C
 1995年3月発表
ThinkPad 701C
IBMの名物研究者ジョン・カリダスが設計したキワモノThinkPad。分割収容されるフルサイズキーボード「TrackWrite Keybord」は、キーボードを中央で2つに分け、ヒンジの動きにあわせてキーボードの縦位置を1段ずつシフトさせることで、携帯時にはほぼB5サイズで2.0kgのコンパクトボディ。使用時には19mmピッチを実現。「バタフライ」(蝶)の異名を取った。CPUはDX4-75MHzで、搭載メモリは最大24MB、540MB HDD、VGA表示対応の10.4インチTFT液晶といったスペック構成。後にWindows 95搭載モデルも登場した。


●ThinkPad 760CD
 1995年10月発表
ThinkPad 760CD
A4ノートPCで12.1インチSVGA液晶搭載という、当時としては画期的なスペックを持ったエグゼクティブThinkPad。ThinkPadの700番台は、価格的にも100万円前後をキープするハイエンドラインだった。液晶を開くと同時に自動的に後部が傾斜する「チルト・アップキーボード」を搭載していた。キーボードを跳ね上げ、内部のパーツに簡単にアクセスできる画期的な機構も持っており、これはプリンタ内蔵のThinkPad 550BJのメンテナンス機構で培った技術だという。難点は、たわまないキーボードを作るために重量が重くなる点だった。


●IBM PalmTop PC-110
 1995年9月発表
PalmTop PC-110 PalmTop PC-110
これは“ThinkPad”ではない。世界最小のDOS PCという触れ込みで登場したB6サイズ/約600gの超軽量ハンドヘルドPCである。「ウルトラマンPC」の異名を取った本機は、キーボードの左右上部に「ポインティングヘッド」と名付けられたポインティングデバイスを装備する。これは最近ブームとなったVAIO Uへの影響も感じられる部分だ。本体はアルマイト製の頑強なボディで、640×480ドット/256色表示対応のDSTNカラー液晶を搭載。カラーのThinkPadのみに許された赤緑青のIBMロゴの使用を特別に許可された製品でもある。
“ウルトラマンPC”こと「PalmTop PC-110」


●ThinkPad i Series s30
 2001年5月発表
ThinkPad i Series s30
最近のThinkPadで注目を集めたキーボードと言えばこれ。ジャストB5サイズのカテゴリに属すモデルでありながら、キーボードを左右にわざわざはみ出して搭載し、半ば強引(!)に、ISOの基準で言うところのフルサイズ(キーピッチ18.25mm)を実現。キーボードとともに張り出した液晶部分に無線LAN接続用のダイバシティアンテナを搭載するというおまけつきだ。それ以外にもまさに「ピアノ」という漆黒のクリア塗装、超低電圧版Mobile PentiumIII-600MHz搭載で最大10時間の連続駆動が可能といった野心的なスペック。バッテリを利用したチルト機構なども備えていた。


●現在のキーボード
 2002年5月発表
現在のキーボード
 写真は「ThinkPad T30」のもの。青色のEnterキーを搭載するのはここ1年程の特徴。カーソルキーの形状や、ESCボタンの位置、競りあがった周辺部など、本文中で述べた基本的なポイントがここにも反映されている。ThinkPadのキーボードを語る上で外せないのが、操作を機種を問わずなるべく共通で行えるようにしている点だ。
 その最たるものが左上に用意されたThinkPadボタン。どの車のアクセルも右、ブレーキが左であるのと同じように、現在販売されているThinkPadのどのライン(A/T/R/X)にもこのThinkPadボタンが用意され、マシンの基本設定やヘルプメニューの参照が可能となっている。
 ThinkPadのキーボードになくてはならないものとして「キーボードライト」がある。このキーボードライトは暗所でもワンタッチでオン/オフができるように、左下の「Fn」ボタンと右上の「PgUp」ボタンのコンビネーションという対角線を守ることが決まっている。また「Fn」と「ファンクションキー」で実現される「液晶オフ」「スタンバイ」「モニタ切替」「休止状態」のショートカットも共通。一度ThinkPadを使ったユーザーなら最新機種にも自然に入っていけるそんな仕掛けが用意されている。

「ThinkPadシリーズ」レビューインデックス

ThinkPad X23(2662-EFJ) ThinkPad X22(2662-9DJ)
最良モバイルノートにBluetooth搭載モデルを追加「ThinkPad X23(2662-EFJ)」メモリ最大640MBまで増設可能なパワフルB5ノート「ThinkPad X22(2662-9DJ)」
ThinkPad A30p(2653-66J) ThinkPad i Series 1800(2655-P3J)
あらゆる機能を搭載した ThinkPadの新フラグシップ「ThinkPad A30p(2653-66J)」質実剛健なA4ノート「ThinkPad i Series 1800(2655-P3J)」
ThinkPad i Series 1620(2662-3F7) ThinkPad i Series s30(2639-43J)
黒くなって魅力倍増した定番モバイル「ThinkPad i Series 1620(2662-3F7)」IBMから“攻めのサブノート”が登場!「ThinkPad i Series s30(2639-43J)」
ThinkPad i Series 1800(2632-IAJ) ThinkPad i Series 1620(2662-33J)
i Series最上位機種がバージョンアップ「ThinkPad i Series 1800(2632-IAJ)」本格派モバイルノートがUSB接続CD-ROMドライブを標準装備してリニューアル「ThinkPad i Series 1620(2662-33J)」
ThinkPad i Series 1124(2609-93J) ThinkPad T21(2647-9AJ)
超低電圧版Mobile PentiumIIIをさっそく搭載したスタミナThinkPad「ThinkPad i Series 1124(2609-93J)」王道を受け継ぐハイエンドノートブック「ThinkPad T21(2647-9AJ)」
ThinkPad i Series 1800(2632-I1J)

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