このページの本文へ

『完全無音PC』を実現するROMカートリッジ『Magic NC』

2002年09月13日 18時45分更新

文● 編集部

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

(有)クラムワークスは、IDEポートに接続するだけでWebアプライアンスとして使用可能なROMカートリッジ『Magic NC』を9月11日に発売した。

Magic NC
『Magic NC』。電源ケーブルが付属する。

『Magic NC』は、開発環境に『Slackware 8.1』を使用し、32MBのフラッシュROMカートリッジに必要なシステムを搭載した製品。ウィンドウマネージャは『fvwm 2.4.8』を使用しているほか、Webブラウザ、メーラ、HTMLエディタに『Mozilla 1.0.1rc2』を採用している。フォントは『MS P ゴシック 12pt』に文字幅をあわせた『モナーフォント』を全面的に採用しており、Windowsの機種依存文字やASCIIアートの表示も可能。基本的にRAMディスク上で動作する。バックアップは5分おきにrsyncでRAMに保存する形になっており、ROM自体は3年以上利用することが可能だという。保存されるのは、/home以下に作られたディレクトリと隠しファイルのみ。ユーザー自身のデータを保存する際には、その都度/home以下のサブディレクトリに保存することになる。

デスクトップ画面
『Magic NC』の動作画面。右下にRAMディスクの空き領域が表示される。不足した場合にはX Windowシステムを再起動するなどの操作が必要だ。また、メニューから「バージョン情報」をみると、ROM上にあるユーザー領域の空き容量が表示される。

システムの設定は起動時のメニュー上で行なうことができる。設定項目は画面解像度やキーボード、マウスタイプ、ネットワーク設定などだ。なお、PPP、PPPoE接続には対応していない。

設定メニュー
起動時の設定画面。ネットワークはDHCPか固定IPを自分で設定する。

『Magic NC』の取り付けは、マザーボード上のプライマリIDEコネクタに本体を装着し、電源コネクタを取り付ければよい。なお、現在のところ『Magic NC』とハードディスクを同時に使用することはできない。また、プリントフィルタも含まれていないため、印刷することはできない。同社では今後の検討課題であるとしている。

ソフトウェアのアップデートは(有)クラムワークスのWebサイトを通じて提供される。アップデートファイルはgz形式で提供され、ダウンロードして再起動すると自動的にアップデート画面が表示されるようになっている。プラグインについては、現在『Macromedia Flash Player』を利用可能。インストールする際には専用のインストールスクリプトを使用する。

『Magic NC』に搭載されるおもなソフトウェアは以下のとおり。

  • カーネル 2.4.18
  • glibc 2.2.5
  • XFree86 4.2.0
  • Mozilla 1.0.1rc2

動作環境は以下のとおり。

  • CPU……Celeron-333MHz以上
  • メモリ……120MB以上
  • VESA BIOS 2.0対応で、800×600、256色以上の表示が可能なビデオカード
  • PCI接続のネットワークカード

価格は9800円。(有)クラムワークスのオンラインショップのほか、(株)フォートリスの秋葉原店舗で販売される。

(有)クラムワークスはほかにも、CD-ROMから起動しRAMディスク上で動作するプロキシサーバ『Magic Proxy』や、静音ベアボーン『MuteDesk』などの製品を開発している。同社取締役社長の笠原弘幸氏によると、同社ではあくまで「無音PC」の開発を目指しているといい、そのために騒音のもとになるハードディスクを搭載しないシステムを開発しているという。

「『静音PC』であればWindowsでもある程度実現できると思いますが、『無音PC』は簡単ではないので、そこで製品の差別化を図れると考えています。『Magic NC』をVIA C3クラスのCPUと組み合わせる事で、『無音PC』がかなり現実的になると思います」(笠原氏)。

カテゴリートップへ