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【.NET Server DevConレポートVol.1】.NET Serverの開発者向け会議が開幕

2002年09月06日 19時56分更新

文● 塩田紳二

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米マイクロソフト社は、米国時間の3日から6日までの予定で、“Windows .NET Server Developer Conference”をシアトルで開催している。

『.NET Server』は、現在の『Windows 2000 Server』の後継OSで、マイクロソフトの.NET構想をサポートするサーバー用のOS。今回のイベントは、すでにRC1の配布が始まった.NET Serverの開発者向けに、製品の概要や.NET技術について解説を行なうもの。

コンベンションセンター シェラトンホテル
会場となったシェラトンホテルとその隣のコンベンションセンター

キーノートスピーチもあるが、メインになるのは、6つのトラックと実習のような“Hands On Lab”、講演者と直接話す“Chalk Talk”などのセッション。さすがに開発者向けだけあって、キーノートスピーチでもコードを示して解説するなど、かなり専門的なイベントである。今日(4日)は、ハリウッドでビル・ゲイツが登場して『Media Player 9』のお披露目を行なっているので、よけいに地味な感じである。

会場は、シアトル市内のシェラトンホテル。隣のコンベンションセンターではキーノートや一番参加者の多そうなセッションが行なわれる。隣といっても米国である。ホテルは1ブロック全部を占有するような巨大なもので、コンベンションセンターも天井の高い作り(日本のマンションなら2階分ぐらいある)なので、4階まで上がるには結構時間がかかる。この移動が結構大変。食事やプレスルームはすべてシェラトンの中にあるので、いちいち戻らねばならず、一日で疲れてしまった。

ES7000の構造 ES7000
会場でデモを行なったES7000とその構造を説明するスライド。全体が2つに分かれた32Wayという構造になっている

初日のキーノートは、.NET Serverの機能概要解説が中心。新機能である“Shadow Copy Service”を動かしてパフォーマンスを比較したり、“Scripting Cluster”(複数マシンでサービスを構成するクラスター機能をスクリプトで制御する)のプログラミングを解説するなど、普通なら、セッションで行なうような内容である。

今年4月の“WinHEC”(※1)での、Windowsのクラッシュ解析サービスを強化してサードパーティー製品にも対応するという発表を受け、今回はそのβ版を公開。クラッシュ情報を入れると、結果として、サードパーティー製品のドライバーがアップデートされた(つまり使っているドライバーのバージョンが古い)という情報が提供された。

※1 WinHEC(Windows Hardware Engineering Conference):マイクロソフトが主催する、マイクロソフトプラットフォーム上でのハードウェア製品開発者向け会議。

クラッシュ解析ツールのβ版
クラッシュ解析ツールのβ版。クラッシュ情報を送るとサードパーティー製品(ここでは仮想的にNorthWind Systemとなっている)のドライバーが原因だという解析結果がレポートされる

ハードウェアも32WayのItanium 2マシンを、ハードウェアパーティショニングで2つの16Wayマシンとして動かし、メモリーの割当てを変えてSQL Serverのパフォーマンスを比較するといった、かなり高度なデモ(しかし、その割には画面にタスクマネージャのパフォーマンス画面と、ベンチマークのグラフが出るぐらいで、普通の人にはなんのことやらわからないもの)。実際、プレスはほとんど見かけず、プレスルームも8畳ぐらいの小さい部屋。パソコン1セットと机の上にEthernetのHubがあるだけという質素なもの。米国でこんなに質素なプレスルームは初めて見た。プレスルームにいるとなぜかFBIが部屋を点検に。FBIと書いた帽子をかぶったただの人だと思ったが、ほんとにFBIの人だった。昨年のテロからほぼ1年。一応警戒しているのだろう(シアトルは軍基地やマイクロソフトなどがあり、テロリストの次の攻撃目標だと今年はじめにウワサが出たという)。

米ユニシス社の32Wayマシン『ES7000』で、システム全体を2つのシステムに分割したときのそれぞれのパフォーマンス表示
米ユニシス社の32Wayマシン『ES7000』で、システム全体を2つのシステムに分割したときのそれぞれのパフォーマンス表示。見えているのはWindows XPの“タスクマネージャー”にあるパフォーマンスタブである。それぞれ16Way分のパフォーマンスが表示されている
.NET Serverでは、外部の記憶システム(SAN:Strage Area Network)全体を仮想的なディスクに見せかける“Virtual Disk Service”やSAN全体に対してキャッシングを行なう“Volume Shadow Copyが導入される予定
.NET Serverでは、外部の記憶システム(SAN:Strage Area Network)全体を仮想的なディスクに見せかける“Virtual Disk Service”やSAN全体に対してキャッシングを行なう“Volume Shadow Copyが導入される予定。特にVolume Shadow Copyを使うことでI/O負荷が抑えられるという

移行関連のセッションに出てみた。ここでは、UNIXで作られたシステムのWindowsへの移行、あるいはJSP(Java Server Pages:Javaを使ったウェブサーバー側で動くシステム)から“ASP.NET”への移行などについての解説があった。UNIX向けには、『Windows Service for UNIX 3.0』がUNIX APIをWindows上で実現する機能を持っており、これに加えてさまざまな情報提供などをすることでマイクロソフトとしてUNIXからの移行を支援する体制を作ったことをアナウンスした。

Javaからの移行は、完全にコード中心の話。もともと(.NET向け言語)“C#”がJavaのようなコンセプトで作られており、移植性がある程度考慮されているようで、ツールとして『Visual J# .NET』を使いつつ、具体的なコーディングなどが解説されていた。

これらの移行に関するセッションはどれも満席。セッション途中でいろいろと質問が出るほど、熱心な受講者が多かった。昨年PDC(※2)に出たときには、“ASP.NET”関連のセッションが盛況で、新技術の習得に熱心という感じだったのだが、今年はよりすすんで、既存の非マイクロソフト系のシステムをどうやって移行させるかといったところに注目が集まっている感じである。

※2 PDC(Professional Developers Conference):マイクロソフトが主催する、マイクロソフトプラットフォーム上での製品開発者向け会議。WinHECに対して、ソフトウェア製品がメインとなっている。

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