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マーキュリー、システム監視ツールや負荷テストツールの新バージョン発表

2002年09月04日 22時50分更新

文● 編集部 佐々木千之

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マーキュリー・インタラクティブ・ジャパン(株)は4日、東京・港区の本社で記者説明会を開催し、負荷テストツール『LoadRunner 7.51(ロードランナー)』などテストツールの新バージョン4製品とシステムパフォーマンス監視ツールの新バージョン『Topaz 4.1(トパーズ)』を発表した。説明会ではマーケティング部プロダクトマネージャーの岡崎義明氏が、「同社にとって重要な意味を持つバージョンアップ」という、LoadRunner 7.51とTopaz 4.1の新機能について解説した。

マーケティング部プロダクトマネージャーの岡崎義明氏マーケティング部プロダクトマネージャーの岡崎義明氏「ERP、CRM製品においても今後負荷テストツールが非常に重要な位置を占めると考えている」

ERP、CRM製品のサポートを追加したLoadRunner

LoadRunnerは企業の情報システムが、多数のユーザーがアクセスした際に、正常に動作するかどうかをテストするためのソフトウェアツール。数千の仮想ユーザーを生成して、実稼働環境のアクセスに相当するトラフィックを発生させる。LoadRunnerはマーキュリー・インタラクティブの主力製品の1つで、負荷テストツール市場では米国で70%、日本で60%をシェアを持ち、業界標準ツールになっているという。今回のバージョンアップでは、ERP(Enterprise Resource Planning)やCRM(Customer Relationship Management)製品へのサポートを充実させたことが特徴としている。

『LoadRunner』の“アナリシス機能”画面
『LoadRunner』の“アナリシス機能”画面

ERP/CRM製品では『SAP R/3』、『Oracle E-Business Suite』、『PeopleSoft』、『Siebel』の各プロトコルに対応したほか、各製品のテストに必要なプロトコル群とモニターツールをセットにした“コンプリートパッケージ”を用意し、企業が導入しやすくしたという。コンプリートパッケージは『LoadRunner Package for SAP』、『LoadRunner Package for Siebel』、『LoadRunner Package for Oracle Application』、『LoadRunner Package for PeopleSoft』の4種類。例えばLoadRunner Package for SAPでは、プロトコルとしてSAP、Web、COM、モニターとしてSAP、ネットワーク遅延モニター、サーバーモニター、SNMPモニターが含まれる。

ERP/CRMに特化したプロトコル/モニター以外では、EJB、JProbe、TowerJなどJava関連モニターの追加、『Citrix MetaFrame』のクライアントエミュレーション対応などを強化したほか、『VisualStudio.NET』にLoadRunnerメニューを追加して、VisualStudio.NET上でLoadRunnerのテストスクリプト作成/実行ができるアドインソフトを用意し、.NET環境での負荷テストが可能になったという。また、アプリケーションサーバー製品では『BEA WebLogic 7.5』『Oracle 9i Application Server』といった最新製品もサポートした。

LoadRunnerのCitrix Metaframeクライアントエミュレーション
LoadRunnerのCitrix Metaframeクライアントエミュレーション

LoadRunnner 7.51はWindows NT 4.0/2000/XPで動作する(仮想ユーザー機能についてはSolarisでも動作)。価格は560万円からで、10月15日に出荷開始の予定。

エンドユーザー環境に加えてシステムリソースの監視も可能に

Topazはeビジネスシステムのパフォーマンス監視ツール。eコマースサイトでのユーザーの入力に対するレスポンス時間の低下など、エンドユーザー体験の観点からシステムが正常なパフォーマンスを発揮しているかをチェックできるウェブパフォーマンス監視ツールとして国内で36.4%というNo.1のシェア(※1)を得ているという。

※1 (株)富士キメラ総研の調査による。

Topaz 4.1による監視構成の概要
Topaz 4.1による監視構成の概要

今回のバージョン4.1では、ウェブパフォーマンス監視ツールとしての機能に加えて、米マーキュリー・インタラクティブ社が買収した米Freshwater Software社の、サーバーリソース、ネットワークサービスなどをリアルタイム監視可能な『SiteScope』の機能を統合し、60種類以上のシステムリソース監視が可能になったことが大きな特徴という。システムリソース監視ツールとしては『HP OpenView』『Tivoli』『CA UniCenter』『BMC Patrol』の競合製品があるが、これらの監視ツールが基本的にサーバーごとにエージェントソフトのインストールが必要なのに対して、SiteScopeはサーバーにインストールすることなしで監視できるという。また、Topaz 4.1はOpenView、Tivoli、UniCenter、Patrolがすでに使用されている企業システム向けに、それらのツールのイベントや警告情報を受け取ることも可能で、エンドユーザー側とシステムリソース側の両面からウェブパフォーマンスおよびシステムの可用性監視が可能になったとしている。

『Topaz 4.1』の監視画面(ウェブ応答時間)
『Topaz 4.1』の監視画面(ウェブ応答時間)

さらにTopaz 4.1では、LoadRunnerとの連携機能を強化し、FTP、メール、ストリーミング、ERP、CRMの監視も可能で「“エンタープライズアプリケーション監視ツール”になった」(岡崎氏)という。これらの機能強化によって監視すべきデータが大きなものになっているが、障害発生時の解析を素早く行なえるように、収集したパフォーマンスデータベースを自動的に解析し、原因として考えられる現象をリストアップする“自動原因追及アナリシス機能(AutoRCA)”、サービスレベルの傾向や推移をレポートする“SLM(Service Level Management)”モジュール、EJBモニター機能、J2EE準拠のアプリケーションサーバーのパフォーマンスが監視できる“J2EE Breakdown Probe”も追加している。

Topaz 4.1は年間契約料金564万円からで、9月20日に出荷開始の予定。

Topaz 4.1の“原因追及アナリシス”画面
Topaz 4.1の“原因追及アナリシス”画面

このほか、本日発表になったLoadRunner、Topaz以外のツールの価格と出荷開始日は以下の通り。機能テストツール『WinRunner 7.5』は68万円からで、本日出荷開始。SAPの機能テストツール『WinRunner QuickTest for SAP R/3 7.2』は75万円からで、本日出荷開始。テスト工程管理ツール『TestDirector 7.5』は98万円からで、10月22日に出荷開始予定となっている。

これら製品の販売目標については同社のポリシーということで明らかにしなかったが、今春の銀行のシステム統合におけるトラブルが広く報じられてから、企業のテスト/監視ツールに対する興味が強まったとのことで、主に金融関係を中心にマーケティング活動を行なっていくという。

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