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ソニー、MD10周年記念パーティーを開催――厚さ9.9mmのMDウォークマンを発売

2002年09月02日 23時43分更新

文● 編集部 桑本美鈴

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ソニー(株)とソニーマーケティング(株)は2日、ソニーが1992年11月に“ミニディスク(MD)”対応機器を発売してから今年で10周年を迎えることを記念し、関係者を招いて“MD10周年記念パーティ”を都内で開催した。

会場にはMDの生みの親であるソニー取締役会議長の大賀典雄氏が登場、MD開発の経緯を語った。

大賀氏
MDの生みの親であるソニー取締役会議長の大賀典雄氏。手にしているのは2日付けでリリースされたMDウォークマン『MZ-E10』

大賀氏は、「当時、録音できるオーディオ媒体の新しいスタンダードを作ろうと思いMDが生まれた。他の会社なら大勢で決めなければならないのだろうが、MDの場合は誰にも相談せず私ひとりで決め、社内の技術者2人にだけ『こういうものを商品化したい。協力してくれ』と話した」

「また私は、MDをレコード産業における次世代スタンダードにもしたいと考えていた。そうなると、あんまりサイズが小さいと店頭で盗難にあうので、当初私は今のMDより大きいものを技術者に提示した。しかし1週間後、技術者が『ワイシャツのポケットに入るセットにするために、どうしてもこの大きさにしたい』と、今のMDのサイズのものを持ってきて私を説得しにかかった。どうしようかと思ったが説得に応じた」

「また、私は圧縮度を4分の1にしようと思っていたが、技術者が5分の1にしたいという。結局5分の1にして思い切って作ったのが今のMDサイズだ。小さくしたので、レコード産業からは結局嫌われたが(笑)」

「おかげさまで国内はもちろん欧州でもMDは普及したが、米国だけはあまりに小さくて商品になりにくく伸び悩んだ。しかしここ数年で売上が急激に伸びている。特にNet MD対応機器が伸びている」

「通常、新しいスタンダードを作る場合は、会議会議の繰り返しだ。CDの際は、私はオランダと日本を何回行き来したことか。日数もずいぶんかかった。世界の大会社とスタンダードを議論するのは大変だ。MDの場合はわれわれ3人だけで作ったから、すぐに意見がまとまって非常に早く商品化できた」

「いまだに1型(ウォークマン初号機)だけは失敗作だと思っている。しかし2号機以降は本当に立派な商品だ」と語った。

小寺氏
挨拶に立ったソニーマーケティング代表取締役社長の小寺圭氏。「MD機器は小さなサイズに技術を結集したもの。デザインもソニーのモノ作りの思想を表わしている」
福島氏
ソニー執行役員MNCパーソナルオーディオカンパニープレジデントの福島貴司氏。「3.5ミリ薄くするのに6年かかった」
E10
MD10周年記念モデルとして2日にリリースされた厚さ9.9mmのMDウォークマン『MZ-E10』。本体カラーはシルバー。本体素材にはマグネシウムを採用。さらにクリア塗装を施し、ステンレスのような金属の風合いを出したという
E10その2
本体サイズは幅81.9×奥行き9.9×高さ79.1mm、重量は55g(内蔵充電池含む)と、世界最小/最軽量。MDと比べるとその薄さが分かるだろう
E10その3
MDはスライド式で出し入れする
N10
同じくMD10周年記念モデルであるNet MD対応MDウォークマン『MZ-N10』。本体サイズは83.8×奥行き18.9×高さ74.3mm、重量は84gで、録音再生機としては世界最小/最軽量という
Z10
同じくMD10周年記念モデルであるMDデスクトップオーディオシステム“サウンドゲート”『LAM-Z10』
Z10その2
こちらはLAM-Z10のシルバーモデル

また、普段からウォークマンを愛用しているというアーティストの藤原ヒロシ氏と大沢伸一氏を招いてのトークショーが行なわれた。

トークショー
トークショーには、ソニー関係者のほか、アーティストの藤原ヒロシ氏(右から2人目)と大沢伸一氏(右から1人目)が参加

藤原氏「ウォークマンは1号機から持ってました。当時中学生でしたが、音楽をヘッドフォンで初めて聴いてステレオ感を味わった。マイクも付いていて面白かったし、ヘッドフォンプラグが2つあったから、友達と一緒に聴けた。今はMDウォークマンと、ネットワークウォークマンをよく使っています」
大沢氏「ネットワークウォークマンは、藤原さんに薦められてすぐ買いました」
藤原氏「薦めたというか、自慢したんですよ(笑)」

藤原氏「MDのいいところは曲順を入れ替えることができたり、編集を楽にできるところ。ミュージシャンにとって使い勝手がいい」
大沢氏「制作中の作品の曲順を並べ替えて聞き直したりしてます」

また、本日リリースされた厚さ9.9mmのMDウォークマン『MZ-E10』を手にした両氏は、
藤原氏「こりゃすごい。びっくりしました。MDはいつもCMで世界最小をうたっているけど、また小さくなりましたね」
大沢氏「これは欲しくなりますね」
と感心していた。

藤原大沢
MZ-E10を真剣に見る藤原氏(左)と大沢氏(右)
バートン
藤原氏の私物であるMDウォークマン付きジャケット。米国のソニーとバートン・スノーボード社とのコラボレート製品で、スノーボードジャケットの内ポケットにMDウォークマンを装着したもの
バートンその2
MDウォークマンの操作は左そでに付いている専用ボタンで行なえる(ボタンとウォークマンは専用ケーブルでつながれている)。「スノーボードをやっているとウォークマンを操作しにくいけど、これなら簡単。友達がデザインしたんです」(藤原氏)。米国で今冬発売のもので、まだ市場には出回っていない
1号機
1992年発売のMDウォークマン初号機『MZ-1』と、2001年発売のNet MD対応ウォークマン『MZ-N1』を比較。写真はMZ-1。本体サイズは114×43×139mm、重量は520g、電池持続時間は1時間15分
MZ-N1
こちらはMZ-N1。本体サイズは77.7×71.4×16.4mm、重量は87g、電池持続時間は110時間。初号機と比較すると重さは6分の1、サイズは7分の1、再生時間は88倍という。部品数も、MZ-1が1454個であるのに対し、MZ-N1は606個
イメージモック
1990年5月15日開催のMD開発発表会当時のイメージモック。左から、大賀議長が記者発表時に手に持っていたイメージモックの実物(1990年5月製作)、開発部隊が究極のサイズ目標としていた木製モックの実物(1990年6月製作)、MZ-E10のモック(2002年2月製作)

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