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スリーコム、PCカード型『Embedded Firewall』対応NICのプロトタイプなどをデモ

2002年08月31日 04時23分更新

文● 編集部 田口敏之

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スリーコム(株)は28日、報道関係者を東京都文京区の自社に集め、同社製品および技術のデモンストレーションを行なった。

福山氏ネットワークコンサルタントの福山英一氏。持っているのは、『3Com Switch 4060』。背面にXRN拡張モジュール用の拡張スロットを備えている

デモンストレーションでは、はじめにビジネス・ネットワーク・カンパニーのネットワークコンサルタントである福山英一氏が、5月に発表した企業向けLANコア構築のための新技術“XRN”関連製品について説明した。XRNとは、複数のボックス型Gigabit Ethernetスイッチを統合し、1台のレイヤー3スイッチとして動作させる技術。これによって、ルーティングを冗長化できるという。製品化について、福山氏は「11月から12月には、製品として出せるのではないかと予測している」と述べた。

XRNに対応したエンタープライズ向けのスイッチ製品『3Com Switch 4050』『同 4060』はすでに販売を行なっている。本体背面に拡張スロットを備え、XRNの拡張モジュール用を装着できる。また、XRNに対応するエッジ側のスイッチには『SuperStack 3 Switch 4200』シリーズを販売している。10/100/1000BASE-Tポートを2個備えており、スタックを行なうことによって冗長化が可能。福山氏は同製品について「24ポートのタイプで15万9000円という価格付けで、現在の市場価格の通常のGigaなしのスイッチと、だいたい同じぐらいの価格設定になっている。非常に引き合いが多い製品」と語った。

また上位機種として、レイヤー4レベルのQoS機能を装備した『SuperStack 3 Switch 4400』も販売している。同製品は、レイヤー2から4までのパケットのヘッダー情報を認識して、アプリケーション単位のトラフィック優先制御が可能。福山氏は「最近、企業でも導入が始まったVoIPなどの環境は、帯域の確保が必要となる。VoIPの優先順位を高くあげておけば、安定した音声品質を提供できる」と述べた。

ビジネスコネクティビティカンパニーマネージャーの大塚雅弘氏
ビジネスコネクティビティカンパニーマネージャーの大塚雅弘氏。手に持っているのは、アンテナ収納式無線LANカード『3Com OfficeConnect 11Mbps ワイヤレスLAN PCカード with XJACKアンテナ』

続いて、ビジネス・コネクティビティ・カンパニーのマネージャーである大塚雅弘氏による、ネットワークインターフェースカード(NIC)にファイヤーウォール機能を組み込んだファイヤーウォール製品『3Com Embedded Firewall』の説明が行なわれた。同製品は、攻撃対象となりやすいサーバーやクライアントパソコンにNICを装着することにより、社内および社外のいずれの場合でも、不正アクセスの手段や経路に関係なく、ネットワーク上のトラフィックをフィルタリングして、ユーザーのアクセスを制御するという分散型のファイヤーウォール製品。NICを装着したサーバーやパソコンは、ポリシーサーバー用ソフト『3Com Embedded Firewall ポリシーサーバ』を組み込んだサーバーで集中管理できる。

大塚氏は「基本的に企業のセキュリティーは、パケットフィルタリングなどを行なうファイヤーウォールなどで行なわれるが、従来の外付けファイヤーウォール製品を通ってきたパケットに対する防御策はない。ウイルス対策ソフトはあるが、OSにセキュリティーホールがあった場合に侵入してくるウイルスやワームに対する防御が弱い。Embedded Firewallは、NICの中にファイヤーウォールをもうけるユニークな製品。従来のOSやセキュリティー製品と共存させて利用する。これを導入することにより、従来の環境を変更する必要はまったくない」と述べ、「たとえば、OS自体のセキュリティーホールを悪用する“トロイの木馬”などに感染しても、ただちに感染したパソコンもしくはサーバーのみのアクセスを遮断して隔離することで対策を行なえる」と語った。

PCカード型のEmbedded Firewall対応NIC。これはType IIのプロトタイプ
PCカード型のEmbedded Firewall対応NIC。これはType IIのプロトタイプ
こちらはType III
こちらはType IIIのプロトタイプ

PCIカード型のEmbedded Firewall対応NIC『3Com 10/100 Secure Server NIC』や『3Com 10/100 Secure NIC』、およびポリシーサーバーソフトなどは、すでに販売を行なっている。そして同氏は「現在、モバイルパソコンに装着できるPCカード版NICの開発を進めている」として、PCカード型Embedded Firewall対応NICのプロトタイプを紹介し、デモンストレーションを行なった。プロトタイプは、Ethernetに直接接続できるType IIIサイズのものと、Type IIサイズのものの2種類を用意していた。具体的な製品化や価格などについては未定という。

大塚氏は最後に「内側の人間は正しい人、という感覚が日本にはあるが、企業内部の人間が不正アクセスを行なうケースが非常に多いのは事実。日本の場合はそれが公にならないが、アメリカやアジアなどでは、学生が教授のパソコンやサーバーに侵入し、成績を改ざんする事件などもある。この製品は、そういった事態を未然に防止するために作られている。また、国の機関などには、さらにセキュリティーを高めるために、このような製品が必要になる」と述べた。

ビジネスネットワークカンパニーのカントリーマネージャーである瀧柳和之氏
ビジネスネットワークカンパニーのカントリーマネージャーである瀧柳和之氏

ビジネス・ネットワーク・カンパニーのカントリーマネージャーである瀧柳和之氏は「弊社の製品はスイッチが中心で、苦しいマーケットではないかという評判もあるが、LANも1つのライフラインということで、水道とか電気とかと同じようになっているので、拡充は付き物になっている。我々は、エッヂの部分からコアに近い部分まで、拡充をより強固に行なっていく」と語った。

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