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エプソン、ビジネスとホームの両分野をカバーする19万8000円の多用途プロジェクター発表

2002年08月29日 23時14分更新

文● 編集部 佐々木千之

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セイコーエプソン(株)は29日、都内で記者発表会を開催し、ビジネス向けとホームシアター向けの両方のカテゴリーをカバーする“マルチパーパスエンターテイメントプロジェクター”『ELP-30』を発表した。価格は19万8000円で、9月6日に発売予定。

シルバーカラーの『ELP-30SV』 ブルーカラーの『ELP-30BL』
シルバーカラーの『ELP-30SV』ブルーカラーの『ELP-30BL』
『ELP-30』では2つの本体カラーを用意した。またパッケージはホームユースを意識したものにした

コストパフォーマンスに優れたマルチパーパスプロジェクター『ELP-30』

プロジェクター製品の主な用途としては、パソコンのプレゼンテーション画像を表示するデータプロジェクターと、テレビやDVDなどの動画像を表示するビデオプロジェクターの2つがある。エプソンによれば、データプロジェクターでは明るい場所でくっきりとした表示が求められるため輝度が優先され、ビデオプロジェクターとしては輝度よりも色再現性や階調表現が重視されるというように要求される特性が異なるため、それぞれに特化した設計の製品を投入してきたという。

今回発表したELP-30は、データプロジェクターと、DVDやTVなどを家庭で大画面で楽しむホームシアター向けの、異なる要求を両立した「世界初の商品」(セイコーエプソン、映像機器事業部副事業部長内田健治氏)。また、価格は19万8000円とプロジェクターとしては国内最低レベルとし、企業、SOHO、家庭、教育などの広い市場で販売するとしている。

ELP-30はビジネス市場とホーム市場の両方のエントリー向け製品と位置づけている
ELP-30はビジネス市場とホーム市場の両方のエントリー向け製品と位置づけている

ELP-30は、0.5インチ800×600ピクセルのポリシリコンTFT液晶パネル“ドリーム2”を3枚使用、F値2.0で焦点距離16.6mmの投射レンズを採用し、スクリーン輝度は800ANSIルーメン、コントラスト比は400:1。短焦点レンズを採用したことで、投射距離1.5mで50インチの画角が得られるなど、狭い部屋でも大きな表示が可能という。縦方向に±15度の台形歪み補正機能も備える。

ELP-30のインターフェース部分
ELP-30のインターフェース部分

映像入力端子はミニD-sub15ピン(コンピューター、コンポーネントビデオ対応)、コンポジット(RCA)、Sビデオ。対応する映像信号はアナログRGB(1024×768、800×600、640×480ドット)、NTSC、PAL、SECAM、D1~D4。音声入力端子はRCA(モノラル)、ステレオミニジャック。このほかRS-232CとミニD-sub15ピンのモニター出力を備える。サイズは幅309×奥行き219×高さ93mmで、重さは約2.9kg。

前面パネル下に、カードリモコンを収納できる
前面パネル下に、カードリモコンを収納できる

画像モードとしては、色空間の国際規格sRGBに準拠した“sRGB”、明るさと色合いのバランスをとった“ノーマル”、暗めの部屋でのパソコンの画像向け“プレゼン”、明るめの部屋の会議で文字をくっきりと表示する“ミーティング”、暗い部屋での映画鑑賞向け“シアター”、明るい部屋で画面全体を明るく表示する“ゲーム”の6つを用意している。

“エプソンシネマフィルタ”と付属のカードリモコン
“エプソンシネマフィルタ”と付属のカードリモコン

シアターモードで利用する場合には、投射レンズに“エプソンシネマフィルタ”を装着する。ELP-30の光学エンジン部分は、基本的にはデータプロジェクターとしての明るさを優先するために、RGBのうちG(緑)成分が特に強くなっている。エプソンシネマフィルタは、表示する画像の緑成分だけを約40%カットする性質を持つ光学フィルター。このフィルターによってRGBのバランスがとれるため、色再現性が向上し、コントラストも向上(約25%)するほか、黒レベルを約40%抑えて黒をより黒く見せることで、映画鑑賞によりよい画質が得られるという。

シネマフィルタの効果
シネマフィルタの効果。光の緑成分を抑えることでビデオ映像向けの投射画像を作り出す
黒が沈むことで映像全体が締まったものになるほか、人物の肌色がよりきれいに表現できるという
黒が沈むことで映像全体が締まったものになるほか、人物の肌色がよりきれいに表現できるという

“私のうちにやってくる”プロジェクター

セイコーエプソン専務取締役で映像・デバイス応用機器事業部長の木村登志男氏は「プロジェクターは高価な商品で軽自動車が1台買えるほどの価格だった。これからは手ごろな価格で入手でき、マルチパーパスに楽しめるプロジェクターの時代。その第1弾がELP-30だ。今後も、ますます性能の高い、しかし手ごろな価格の商品を開発していく」と述べた。さらに木村氏は製品開発について「かなり挑戦的にやっていきたいと考え、(これまでの製品にない)多目的なものにしようと考えた。いずれは他社に追いつかれるだろうが、そのときはまた1歩先を行けばいい」と述べて、製品開発力に自信を見せた。

セイコーエプソン専務取締役の木村登志男氏 エプソン販売株式会社代表取締役社長の真道昌良氏
セイコーエプソン専務取締役で映像・デバイス応用機器事業部長の木村登志男氏エプソン販売株式会社代表取締役社長の真道昌良氏

また、製品販売会社であるエプソン販売株式会社代表取締役社長の真道昌良氏は「ELP-30は映画鑑賞やゲームなどのホームユースとビジネスユースの両方に対応するマルチパーパス製品であるだけでなく、(価格を抑えて敷居を下げた)“私のうちにもやってくる”というコンセプトも込めた商品。標準価格は19万8000円だが、実売では15万円を切るのではないかと考えている。これは国内では最も安い価格であり、コストパフォーマンスは最高の商品だ」として、多用途向けで低価格という2つの強みで新しい市場を切り開いていきたいとした。

マルチパーパスプロジェクターの投入で新たな市場を切り開き、プロジェクター市場全体を拡大していくという
マルチパーパスプロジェクターの投入で新たな市場を切り開き、プロジェクター市場全体を拡大していくという

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