このページの本文へ

【特別企画・最新パーツ性能チャート(Vol.3)】AMDが大逆転の世界最速CPU「Athlon XP-2600+」を発表!

2002年08月21日 16時38分更新

文● (企画開発プロジェクト 野口岳郎)

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

明らかに2200+とは異なる物理特性

 0.13μmプロセスのサラブレッドコアのAthlonは、データシートを見ると、1700+から2200+までがラインナップされている。そのうち、1700~1900までは、電源電圧が1.5Vで、1.75VのPalominoコアに比べ消費電力は30%ほど削減されているのだが、2000+以上では電圧が1.6または1.65Vに上がっている。1.65Vで動く2200+においては、消費電力は61.7W(TDP、Typical)となり、PalominoのXP-2100+とほぼ同レベルまで上がってしまっていた。この調子では、Thoroughbredの2300+以降ではさらに電圧アップが必要なのではないか、そうなると、消費電力の多さがさまざまなトラブルをもたらすのではないかと、誰しも不安に思うところだ。

 幸い、2400+と2600+は、電圧は1.65Vのままであった。ただ、消費電力は周波数に比例するので、2200+のときのコアがそのまま使われるとすると、2600+の場合の消費電力は73.1Wとなる。これはPalomino版Athlon XP-2200+の64.3Wを14%も上回る、きわめて「熱い」プロセッサになる。ところが、今回登場した2600+の消費電力は62Wしかない。2200+と比べ、クロックは18%上がっているのに、消費電力はほぼ同じだ。
 電圧が変わっていないので、この事実は、CPUコアのキャパシタンス(静電容量)が18%ほど減っているということになる。つまり、初代サラブレッドに比べ、はるかに高速かつ省電力なコアになっているわけだ。プロセスの微細化がもたらすキャパシタンスの減少効果が、今回の2400/2600+のコアでようやくはっきり見えてきたと言える。  ちなみに今回、ダイサイズが84mm2、トランジスタ数が3760万個と公表された。従来のアナウンスではダイサイズは80mm2、トランジスタ数は3720万個とされていたので、ここからも、AMDの0.13μmプロセス上で日々改善がなされていることが伺われる。

Pentium 4-2.53GHzを楽々上回る世界最速CPU

 ではお待ちかね、実性能の計測に移る。ライバルは当然、Pentium 4の最高機種、2.53GHzだ。2600+という数字からは、2.53GHzにそれなりの差をつけてリードしなければならないがどうだろうか。
 Athlon XP-2600+の環境がEpox K83A+(KT333)によるPC2700ベースであるため、Pentium 4側はAOpen AX4B PROマザーボードを用い、i845GにBIOS設定でPC2700を装着して比較した。HDD(Barracuda ATA3-40GB)、ビデオカード(GeForce3 Ti200)、使用メモリ(Winbond製PC2700-CL2.5)は共通である。

 2000+~2200+のゾーンでPentium 4と僅差の勝負になっていたSysmark 2001では、今回再びはっきりしたリードを得た。このほか、PCMark 2002によるCPU性能、SiSnadraにおけるマルチメディア処理も、ちょうど2600+という数字がふさわしい、適度なリードを保っている。Direct Xベースの3D描画の3DMark 2001と、Windows Media EncoderによるオーディオのWMA形式への圧縮、SiSandraにおけるCPU、Superπの各テストでは、2533対2600という数字以上の大きな差をつけている。一方で、SiSandra/PCMark両テストでのメモリ性能では、Pentium 4が1.5倍ほど高性能になっているほか、OpenGLベースの描画を行うQuake3 Arenaも11%のリードを許している。SiSandraのCPU/FPUは、x87ベースではAthlonの大勝だが、SSE2ベースではPentium 4が10%のリードとなる。

 SiSandraやPCMarkのCPU速度、あるいはSuperπやエンコード系の処理でAthlonがリードしていることから、CPU単体のパフォーマンスは2600という名前以上のものを感じさせる。ただ、メモリ性能では明らかにPentium 4が優位であり、アプリケーションレベルでは、メモリへの依存度によって差が多少縮まっていると言える。
 CPUの性能は、アプリケーションの動作速度で見るべきであることを考えると、今回のベンチマーク群でのAthlonの「負け」は実質、Quake3とSiSandraのFPUの2つである一方、大きな差をつけて勝っているものは多い。そう見ると、AMDのいう「世界最速CPU」という言葉は妥当なものと言っていいだろう。さらに、2600+の価格が297ドルであることも見逃せない。日本円にして3万6000円ほどだろうか。Pentium 4-2.53GHzはこのところ安くなっているとはいえ、まだ市場では5万円近辺である。Athlonのハイエンドへの本格復活で、Intelファンにとっても、Pentium 4の高速モデルの低価格化が期待できるのはうれしいことではないだろうか。

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

ASCII.jpメール アキバマガジン

クルマ情報byASCII

ピックアップ