このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

SRA、米TurbolinuxのLinux関連事業を取得 - ターボリナックス ジャパンも傘下に

2002年08月20日 00時00分更新

文● 編集部

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

引き続き、新生ターボリナックスのCEO・代表取締役会長に就任する予定の(株)SRA取締役 渡邊肇氏が、新生ターボリナックスの組織や事業の概要を説明した。

(株)SRA取締役 渡邊肇氏
新生ターボリナックス CEO・代表取締役会長に就任する予定の(株)SRA取締役 渡邊肇氏

新生ターボリナックスは、おもに『United Linux』ディストリビューションの開発、販売と、それに付随するサービスを提供することになるという。具体的には、これまでのサポートや教育事業に加えて、SRAやそのほかのSI企業と共同でコンサルティング事業を行なうことになる。

海外市場での展開については、当初は日本を起点に、おもにアジア市場をターゲットとして中国や韓国のジョイントベンチャーと連携していく。米国市場では、米IBMなどのパートナー企業との連携を通じて事業を行なう予定だ。

組織としては、新生ターボリナックスに本社機能を統合し、全体のマーケティング戦略などを決定する一方、日本国内での営業活動を行なう部門と海外部門とを完全に区別するという。

組織図
新生ターボリナックスの組織図。日本国内の販売やマーケティング、サービス、開発などを取り仕切る部門と、海外戦略を取り仕切る部門はそれぞれ独立したものとなる。

開発作業については、日本、中国、韓国で役割を分担することになるという。具体的には、日本ではおもに『United Linux』ベースの製品やデータベース製品などを開発し、中国では既存の『Turbolinux』シリーズやクラスタ製品などの開発を行なう。韓国では、組み込み向けの製品に特化して開発を行なうという。

役割分担計画表
地域ごとの役割分担計画。『United Linux』関連は日本、既存の製品は中国を中心に開発されるほか、韓国を中心に組み込み製品の開発を開始するという。

新生ターボリナックスで引き続きCOO・代表取締役社長に就任する予定の、ターボリナックス ジャパン(株)代表取締役社長の矢野広一氏は、新生ターボリナックスの新しいビジネス戦略について説明した。

ターボリナックス ジャパン(株)代表取締役社長 矢野広一氏
ターボリナックス ジャパン(株)代表取締役社長 矢野広一氏。新生ターボリナックスでもCOO・代表取締役社長に就任する予定だ。

矢野氏は新しいビジネス戦略について、以下のような点を挙げている

『United Linux』を礎としたLinuxディストリビューション
『United Linux』のアジア担当としての地位を確立するとともに、『United Linux』ディストリビューションをベースとして、教育事業の強化や、SRAと連携した開発、サポートまでのビジネスをトータルに提案する。
長年の市場不安の払拭
SRAとの連携により経営基盤を安定させ、これまで幾度か報じられてきたようなネガティブな噂を払拭する。
本格的なデータベース事業の開始
SRAとの協業により、PostgreSQLとTurbolinuxのサーバ製品を組み合わせた『TurboDB』を市場に提供する。
海外からの収入確保
中国、韓国からのロイヤリティ収入や、米IBMとの連携による売り上げなどを通じて、本社の収益を確保する。
エンタープライズ領域へのビジネス
SRAと連携し、SAPなどのエンタープライズ向け製品を日本で展開するほか、日本のSIやISV、IHVと連携して新しいビジネスモデルを構築する。
日本のIT産業再生の一助となる
日本市場を起点に、「アジアのTurbolinux」をデファクトにし、日本のIT産業再生の一助となる。

具体的な製品展開については、下の図で示されているように、大きく3つに分かれるようだ。具体的には、ハイアベイラビリティなどのエンタープライズ向けの製品として、『United Linux』に対応したサーバ製品を用意するほか、部門サーバなどをターゲットにした既存の『Turbolinux Server』製品や『TurboDB』製品、そしてワークステーション製品となる。また、『PowerCockpit』などの製品についても、新会社と代理店契約を結んで提供するとしている。

製品体系
新生ターボリナックスの製品体系。最上位の製品となる『United Linux』ベースの『Turbolinux Enterprise Server』や、『TurboDB』などの新製品を投入するという。

また、市場からの信頼については、先頃の米国での報道に触れ、「アジア市場で40万以上のシステムを出荷している企業として、本来ならメディアにおもしろおかしく扱われるものではない」と語気を強める場面もあった。今後は「日本に本社を置く以上、日本市場やアジア市場から撤退するといったことは起こりえなくなる」とし、安定した事業が行なわれることを示した。

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ

  • 角川アスキー総合研究所
  • アスキーカード