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ナスダック・ジャパン、営業活動停止を発表──大証との提携は解消

2002年08月16日 23時05分更新

文● 編集部 佐々木千之

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ナスダック・ジャパン(株)は16日、同日開催した臨時取締役会において、現在の経済環境では事業継続は困難と判断し、営業活動を停止するという決議を行なったと発表した。“ナスダック・ジャパン市場”を運営する(株)大阪証券取引所との業務契約は10月15日に解消の予定。ナスダック・ジャパン市場での取引業務は大阪証券取引所が引き継ぐとしている。

ナスダック・ジャパンは、米国店頭株式市場“ナスダック”を運営する米ナスダック・ストック・マーケット社とソフトバンク(株)が折半出資して1999年6月に設立した会社(※1)で、ナスダック市場にならったナスダック・ジャパン市場を、大阪証券取引所との業務提携のもとで2000年6月から共同運営していた。

※1 設立当時の社名は“ナスダック・ジャパン・プランニング株式会社”。

ナスダック・ジャパン市場の16日現在の上場会社数は98社(加えて上場予定3社)だが、市場開設時期がITバブル後の株式市場の低迷時期と重なったことなどから、「開設後1年で2、300社」(ソフトバンク代表でナスダック・ジャパン取締役の孫正義氏。1999年12月の会見で)という目標は2年経った現在でも達成できていない。ナスダック・ジャパンは2001年末で数十億円の累積損失を抱え、2001年12月には米ナスダック・ストック・マーケットとソフトバンクによる18億7500万円の第三者割当増資を行なっていた。

写真は2000年6月19日のナスダック・ジャパン市場取引開始記者会見の模様
全米証券業協会会長兼CEOのフランク・ザーブ氏、大阪証券取引所理事長の北村恭二氏、ナスダック・ジャパン代表取締役社長の佐伯達之氏(写真は2000年6月19日のナスダック・ジャパン市場取引開始記者会見の模様。肩書きは当時のもの)

ソフトバンクのリリースによれば、今回の営業停止の決議は、米ナスダック・ストック・マーケットの意向を受けたものとしており、事実上米ナスダック・ストック・マーケットの日本市場からの撤退ということになる。米ナスダック・ストック・マーケット社長兼ナスダック・ジャパン取締役のリチャード・ケッチャム(Richard Ketchum)氏はナスダック・ジャパンのリリース中で「ナスダックのグローバル戦略に変更はなく、当面はヨーロッパの市場強化に注力する」と述べている。

ナスダック・ジャパン市場の運営は、今後は大阪証券取引所が単独で行なうことになるが、上場基準や手続き、売買取引などについての変更はないとしている。大阪証券取引所では10月15日のナスダック・ジャパンとの業務協力契約解消以降に市場の名称を変更(仮称:“ジャパン・ニュー・マーケット”)する予定という。なお“ナスダック”の名称は年内は使用可能としている。

本日の発表に先立って、14日付の一部新聞朝刊には米ナスダック・ストック・マーケットがナスダック・ジャパンを清算する意向という記事が掲載され、ソフトバンクがそれを否定するリリースを出していた。ソフトバンクの本日付けリリースでは「今回のナスダック・ジャパン社による営業停止の決定は、米ナスダック・ストック・マーケット・インクの要請に応えたものです。

当社は、ナスダック・ジャパン市場の創設に携わることによって、国内における証券市場の活性化が促進され、今後もベンチャー及び中小企業の発展に寄与できるものと考えていましたが、今回のナスダック・ジャパン社の営業停止は、誠に残念であると思っております。

今後のナスダック・ジャパン市場につきましては、関係者が協議、協力して、同市場に上場されている企業、投資家の皆さまに混乱を招かぬように同市場の安定、継続性のために努力して参ります。

なお、当社によるナスダック・ジャパン社への投資額は約12億円であり、本決定による当社業績への影響は投資額の範囲内に限定されます。また、本件が当社の資金調達など財務活動に影響を与えることもございません。」(以上原文ママ)とコメントしている。

なお、週明けに米ナスダック・ストック・マーケットから撤退にあたっての詳しい説明が行なわれる見込みだ。

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