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アナログ・デバイセズ、Video&Voice over IPチップセット『ADSST-VC-7000』を発表

2002年08月06日 23時59分更新

文● 編集部 田口敏之

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アナログ・デバイセズ(株)は6日、報道関係者向けに、Video and Voice over IPチップセット『ADSST-VC-7000』についての説明会を開催した。同チップセットは、米アナログ・デバイセズ社が6月4日に米国ジョージア州アトランタで開催されたイベント“SuperComm 2002”で発表したもの。7月からサンプルを出荷している。

ハイダー氏
米アナログ・デバイセズのSoftware and Systems Technology Division General Managerであるマイケル・ハイダー氏

来日した米アナログ・デバイセズのSoftware and Systems Technology Division General Managerであるマイケル・ハイダー(Mikhael Haidar)氏が説明を行なった。同氏は「ビデオコミュニケーションは多くの企業にとっての夢だが、いくつかの理由からまだ実現されていないものだった。主要な制限要素となっていたのは帯域幅。かつて、ビデオ電話をやろうという時代もあり、それが大きな市場になるだろうとも言われていた。しかし帯域幅が限られていたことで、フレームレートが達成できなかった」

「もう1つの要因はコスト。かつて開発されたものは、消費者市場で受け入れられるような価格ではなかった。それから、ビデオ電話からISPが収益を上げられる可能性がなかったのも大きな理由になっていた。この状況は、次第に変わり始めている。帯域幅が豊かになり、個人レベルでADSLを引いている人が多くなった。製品のコストも非常に下がってきて、ISPも、ビデオやVoIPで収益を上げられるようになってきた。すでにVoIPについては収益が出ているので、Video over IPでもできるようになるだろう」

「我々は、OEMメーカーがローコストでVideo and Voice over IPのための機器を開発できるようなチップセットを提供したい。日本に提供するのは、日本がブロードバンドに対して非常に強くコミットメントしているから。日本では、すでに数100万ラインのDSLが整備されていると聞いている。日本のOEMメーカーは、世界市場に製品を出したいと願っている。また日本のISPは、市場に革新的なサービスを提供してきており、それぞれの分野でのリーダーとなっている。日本の消費者も、新しいマルチメディアの製品が出ると、すぐにそれを使いこなせるようになる」

「我々が紹介するチップセットを用いれば、OEMメーカーはこれまでにない製品を作れるようになる。開発期間も短縮でき、リスクを最低限におさえることができる。これを用いて、どういった製品を市場に出していくのかは、それぞれのパートナーが決めることだが、ブロードバンドビデオ電話やエンタープライズビデオ電話、またワイヤレスのビデオ電話や、ブラウザーの機能を持ったビデオ電話なども開発できる。ビデオ圧縮技術を用いれば監視目的で使うこともできる」と述べた。

ADSST-VC-7000『ADSST-VC-7000』(評価用ボード)

ADSST-VC-7000は、同社のマイクロシグナルアーキテクチャーの16bit DSP(Digital Signal Processor)“Blackfin(ブラックフィン) DSP”をコアに、マルチメディアオーディオ、およびビデオ機能をサポートするための命令セットを強化したチップセット。解像度352×288画素(Common Intermediate Format:CIF)で最高30フレーム/秒の動画処理性能を備え、704×576画素(4CIF)の静止画像を扱える。利用する通信回線として、CATVやxDSL、Ethernet、3G携帯電話、あるいはFTTHでも動作できるように、可変可能なビットレートをサポートしているのが特徴。

ボード
評価用ボードの構成

また、テレビ会議の標準プロトコル“H.323”のソフトウェアスタックを内蔵し、ビデオコーデックの標準規格“H.263”もサポートしている。デジタルTV用ビデオ信号符号化の標準規格“CCIR656”、またはNTSC/PALアナログコンポジットカメラ規格をサポートしており、NTSC/PALのテレビ受像機、またはLCDパネルに直接接続できる。

さらに、専用のビデオI/Oコントローラーを内蔵しているため、リアルタイムの音声およびビデオ通信を行なう上で、完全なサブシステムになる。このためパソコンにそのための機能を追加する必要がなく、テレビ受像機やビデオゲーム機器を、双方向音声およびビデオ通信端末として利用することができる。

デモンストレーション
発表会で行なわれたデモンストレーション。10BASE-TのEthernetを用い、通信速度を変えて映像の状態の変化を見せた

発表会では、同製品の評価用ボードを利用したリアルタイムの音声・ビデオ通信のデモンストレーションも行なった。通信回線には10BASE-TのEthernetを用い、通信速度を512/384/256/128kbpsにそれぞれ変えた際に、音声と映像がどのように変化するかについて見せた。512kbpsで通信を行なった際の音声と映像はともにクリアーなもので、ビットレートを下げていくにつれて、次第にノイズが混じるようになったが、256kbpsや128kbpsでも音声と映像にレイテンシーが発生する様子はなかった。

レイテンシー
数を数えながら指を折り、音声と映像のずれなどが発生しないか確認するデモンストレーション。256kbpsや128kbpsでもレイテンシーが発生する様子はなかった
デモボード
デモンストレーションに用いた評価用ボード

同製品の米国における参考価格は、1万個受注時の単価で49.50ドル(約5990円)。評価ボード、文書資料、回路図が含まれるVoice and Video over IP基準設計キット『ADSST-VC-7000-RDK』も用意しており、こちらも7月に出荷を開始している。

ハイダー氏は「最近、米国のサンノゼとボストンを結んでのビデオ会議のデモンストレーションを行なったが、レスポンスも良く快適な通信が可能だった。2ヵ月後ぐらいには、日本のオフィスと米国の本社の間に高速な通信回線を導入するので、2つの拠点を結んでのビデオ会議のデモンストレーションができるだろう」と語った。

また同氏は、米国および日本のVideo over IPの市場について「今のところは、ISPはVideo over IPに対して大規模な投資はしていない。ケーブル会社は、VoIPに対する投資は行なっているが、Video over IPについてはまだの段階。電話会社は、DSLを利用してのデータサービスを行なうということで、Video over IPで収益を上げるということは考えていない。我々のほうから、これによっていかに収益を上げることができるかについて話しているところ」としていた。

なお、販売目標などについては「まだ始まったばかりなので、述べられる段階にない」と語った。

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