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三井物産、Webホスティングサービスに特化したサーバ管理ソフト事業を推進

2002年07月25日 22時27分更新

文● 編集部

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Spheraロゴ

三井物産(株)は、Webホスティングサービス事業者向けのサーバ管理ソフト『HostingDirector』を本格的に提供開始する。

『HostingDirector』は、米Spheraが開発したサーバ管理ツールで、1つのOS上に複数の仮想サーバを設置することができる製品。ほかのツールと異なり、Apacheのバーチャルドメイン機能を利用してWebホスティング機能を提供するのではなく、chrootを利用して、各ユーザーディレクトリ以下でサーバアプリケーションを動作させるシステムになっている。設定ファイルも各ユーザーに割り当てられたディレクトリに格納されるため、ユーザーは仮想サーバ上で個別にシステムが動作している感覚でホスティングサービスを利用することができる。



『HostingDirector』管理画面
『HostingDirector』。左ペインには管理対象のサーバマシンがすべて表示されており、それぞれがホスティングしている仮想サーバに関する設定を行なうことができる。

仮想サーバはIPベースであれば最大200個、ネームベースであれば最大1000個を1台のサーバマシン上に設置することができる。サーバマシンのOSはRed Hat Linux 7.2またはSolaris 8。これらのOSが動作するハードウェアであれば問題なく動作するという。三井物産(株)がテストした際には、Pentium III、メモリ512MB程度のハードウェア上で、仮想サーバを200個程度動作させることができたそうだ。

各仮想サーバ上では、ApacheやSendmail、WU-FTPDなどが標準で利用可能になっているほか、『HostingDirector』のメニュー画面から選択しクリックするだけでインストールできる「ValueApps」が約40種類用意されている。「ValueApps」にはPHPやPerl、MySQLなどのオープンソースのものだけでなく、Real ServerやVeriSignなど商用の製品も含まれており、それらを使用する場合には個別にライセンスを購入する必要がある。仮想サーバへのログインにSSHを使用する、仮想サーバとクライアント間の通信を暗号化するといった機能も標準で提供されている。

管理インターフェイスはWebベースで、データセンター管理者、サーバ管理者、複数の仮想サーバを管理するリセラー向け、仮想サーバ管理者向けにそれぞれ用意される。仮想サーバ管理者向けのインターフェイスはPHPで構築されており、ホスティング事業者が独自にカスタマイズすることができるほか、独自のXMLベースAPIを利用して、機能を拡張することも可能だ。

サーバ管理画面
サーバ管理者用のインターフェイス。自分が管理するサーバに関する操作を行なうことができる。
仮想サーバ管理画面
仮想サーバ管理者用のインターフェイス。仮想サーバ上のメールサーバにアカウントを追加したり、「ValueApps」のインストールなどを行なうことができる。このインターフェイスは、サービスを提供する事業者が自由にカスタマイズすることができる。

データセンター管理者、サーバ管理者向けインターフェイスでは、サーバマシン上のリソース監視などを行なうことができる。データセンター管理者はさらに、仮想サーバを止めることなく別のサーバハードウェアに移動するといった操作も可能だ。また、Windows上で動作する「Service Package Utility」を利用すれば、CSV形式のファイルを利用して複数のユーザーを一括して登録することも可能になる。

三井物産(株)の担当者によると、一般にホスティング事業では、サーバの運営管理コストはサービスの拡張に伴い増加する一方、サービス単価は低下する傾向にあり、コスト削減とサービスの品質向上を両立させなければならず、人材の入れ替わりが激しいため、設定情報などの引き継ぎをスムーズに行なうことが難しいといった問題があるという。『HostingDirector』は、これまでApacheのバーチャルドメイン機能などを利用して行なってきたローエンドのWebホスティングサービスと、ハードウェアを含むハイエンドのホスティングサービスの中間的なサービスを可能にすることで、事業のスケーラビリティを拡張することを可能にし、単一のプラットフォームを提供することで管理者の業務引き継ぎを容易にするといったメリットがあるという。

『HostingDirector』は、昨年9月に日本語化バージョンがすでに発売されている。価格は1台のサーバあたり50万円から70万円。現在ソニーコミュニケーションネットワーク(株)が提供するホスティングサービス『Next Do』や、(株)インターネットイニシアティブの『IIJホスティングONE』で利用されており、今後さらにホスティング事業者をターゲットに拡販を行なうとしている。

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