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P-touch 9300pc

P-touch 9300pc

2002年07月17日 00時01分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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P-touch 9300pc

ブラザー工業

3万9800円

ブラザー工業の「P-touch(ピータッチ) 9300pc」は、PC上で入力、デザインした文字や表をシール紙に印刷するPCラベルプリンタの上位モデルだ。画像を取り込んでロゴや顔写真入りのネームラベルを作成したり、連番機能を使ってファイリング用のシールを手軽に作成できる。

テープは種類豊富
仕事でも家庭でも活用したい

オートフォーマット
オートフォーマット
図1、2 「P-touch Editor」のオートフォーマットでは、「名札」「カセット」「案内」など11カテゴリ80種類のサンプルレイアウトが用意されている。サンプルを選んだ後は、中の文字列を変更して簡単にレイアウトを作成できる。もちろん、後からの調整や変更も可能だ。
 P-touch 9300pcは、USBまたはシリアルポートに接続するPCラベルプリンタだ。本機単体では文字入力や印刷はできないが、PC上で自由にフォントや画像をレイアウトしてバリエーション豊かなラベルを作成できるのが特徴だ。
 ラベルプリンタとしてのスペックは、6/9/12/18/24/36mmのテープ幅に対応、印刷解像度は360dpi。印刷速度は約20mm/秒で、約10cmの画像と地模様入りデータ(309KB)の印刷に29秒程度かかった。印刷色は単色だが、テープの地色とインク(黒/赤/青/金/白)の組み合わせにより、落ち着いた配色から華やかな色合いまで多彩に選べる(利用可能なテープはブラザーのWebサイトを参照)。ラベルプリンタというと、とかく会社の事務用品というイメージが強いが、P-touch用ラベルの中には「ディズニーキャラクターテープ」や、アイロンで熱すると布に接着できる「布(ファブリック)テープ」、文字部分を生地に転写する「アイロン転写テープ」も用意されており、家庭でも利用価値は高い。また、珍しいところでは一度貼り付けるとはがしたときに接着面が格子状に残る「セキュリティテープ」、表面の銀面をこすると下から印刷した文字が見える「スクラッチテープ」といったものもある。
 テープの価格は、よく使われる24mm幅が1600円(8m)。8cm程度のテープを作るとして1枚あたりのコストは約16円。頻繁に印刷する場合には、白テープ+黒文字でテープ幅24/12mmの感熱紙に限定されるが、テープカートリッジのみ交換できて割安な「リフィルテープ」がある。価格は950円(7m、テープのみでは600円)で、これを使えば約11円(テープのみ交換では約7円)と省コストだ。



フリーレイアウトが可能な
「P-touch Editor Ver.3.1」付属

モンタージュ機能
モンタージュ機能
図3、4 モンタージュ機能はパーツの種類が豊富で、特徴を押さえた似顔絵を作ることができる。便利かつ楽しい機能だ。
 付属のラベル作成ソフト「P-touch Editor Ver.3.1」には、レイアウト系ツールを使った経験がない人でも直感的に操作できるような工夫が随所に見られる。
 最も手軽な(ラクできる)のは、「オートフォーマット」のサンプルレイアウトから目的に近いものを選んで、細部を調整すること(図1、2)。文字(フォント)だけでなく、最初から装飾(飾り枠や地模様、ワンポイントのイラスト)が施されているので、デザインセンスに自信が無い人は、このサンプルを参考にするといいだろう。

 いちからフリーレイアウトで作る場合も、難しい操作はないが、コツは最初にツールパレットを開いておくこと。プルダウンメニューから設定項目を探さなくても、ツールパレットならアイコン1クリックで配置やフォントなどの設定ができる。レイアウトの最初にするのは、印刷するテープ幅を決めること。P-touch 9300pcは6種類のテープ幅に加え、各4枚までの張り合わせも可能になっている(同一幅のみで、余白と重ね合わせ部分があるので印刷領域は最大107mm)。ネームプレートなどで幅広のシールを作る場合には、この張り合わせ機能が有効だ。レイアウトウィンドウには縦横にルーラー(mm単位)があり、出来上がりのサイズを確認しながら作業ができる。ビデオテープカセットやファイリングの背表紙などよく使うものは、用紙サイズ(VHS、8mmテープ、MDなど15種類)が最初から用意されている。
 レイアウト機能の中に、1度単位の自由回転がない(90度単位のみ)のは残念だが、無制限のアンドゥ/リドゥ、前後の重ね合わせ入れ替え、文字サイズとレイアウト枠の自動調整など、ほしい機能は一通り揃っている。700種類を超えるクリップアートや、顔のパーツを組み合わせて似顔絵を作るモンタージュ機能(図3、4)もあるが、360dpiの高解像度印刷機能を生かして、デジタルカメラなどの写真データ(TIF、JPEG、BMPなど)をレイアウトしてもおもしろい(図5)。



内蔵データベースで楽勝!
宛て名印刷

P-touch Editor
図5 写真や画像データを取り込んでレイアウトしている。この例では36mm×4の一番幅広いテープを作っている。レイアウトウィンドウの上に4つ並ぶツールパレットを上手に活用しよう。なお、画面ではカラーの画像データをレイアウトしているが、印刷時はモノクロになる。
P-touch Editor
図6 Excelで管理している住所録をCSV形式にして、データベースに読み込んだ。差し込み印刷では、データをどのフィールドとして割り当てるか指定すれば、あとは自動的に登録した件数を印刷できる。もちろん、ロゴなどと組み合わせたレイアウトも可能だ。
 ラベルプリンタが活躍するシーンのひとつに宛て名やタックシール印刷がある。大量の印刷なら、プリンタでタックシールに出す手もあるが、数件程度の宛て名書きにはラベルプリンタのほうが無駄がない。さらに、(ラミネートテープ使用時には)表面をラミネートコートするため水濡れなどでも文字がにじむこともない。宛て名印刷などで役に立つのが、P-touch Editorに内蔵されたデータベース機能を利用する差し込み印刷だ(図6)。Access 97/2000のデータ、およびCSVファイルに対応。最大3つのキーによるソートのほか、Accessデータに含まれるクエリーでの絞り込みが可能だ。さらに、同社Webサイトで無料配布(ユーザー登録が必要)しているSDKとVisual Basic/Visual C++などの簡単なプログラミング知識があれば、AccessやExcelと連動して普段お使いのデータベースから直接ラベル印刷することもできる。
 そのほか業務用に便利な機能として、連番印刷、13種類の規格(2次元バーコードを含む)に対応したバーコード印刷、日付や時刻の自動印刷機能を備える。



P-touch 1500pc P-touch 240
写真1 PCラベルプリンタ「P-touch PCシリーズ」には、今回紹介した9300pcのほかに低価格モデルの「P-touch 1500pc」(写真)など5製品がラインナップされている。1500pcは印刷解像度が180dpiで、最大テープ幅は24mmとなる。写真2 PCなしで単体で利用できるラベルプリンタ「P-touchシリーズ」も、「P-touch 240」(写真)をはじめとする5製品がある。240は最上位モデルで、文字サイズが15種類、テープ幅は24mmまで対応する。入力方法は携帯電話などと同様だ。

 本体価格は3万9800円。写真もきれいに出せる360dpiの高解像度印刷や、印刷後にテープを自動的に切り離す「オートカッター」、テープ部分のみ切り込みを入れて貼りやすくする「ハーフカッター」、角を丸く切り取ってはがれにくくする電動の「Rトリマー」(標準付属)など、価格に見合う機能と付加価値を備える高機能ラベルプリンタだ。紙のタックシールでは、長時間経つと文字がかすれたり汚れで読めなくなって困るという向きは、ぜひ導入を検討されたい。

P-touch 9300pcの主なスペック
製品名 P-touch 9300pc
印刷方式 熱転写/感熱
印刷速度 20mm/秒
本体サイズ 120(W)×250(D)×150(H)mm
重量 約1.5kg
消費電力 約30W(印刷時)
インターフェイス USB 1.1/シリアル(専用変換ケーブル付属)
対応OS Windows 98/Me/2000/XP、Windows 95/NT 4.0+SP4以上(シリアル接続のみ)、Mac OS 8.5.1以上、Mac OS 8.1以上(シリアル接続のみ)

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