ADSLやFTTHなどの常時接続環境が一般的になって、いままで難しかったストリーミング配信によるインターネットライブが身近になった。このコーナーでは、誰でも簡単にできるモバイルTV局を構築してみる。難しい専門知識はいらない。モバイルでインターネットライブ中継にチャレンジしてみよう!
ソニー、PercasTV、別冊ASCIIの合同企画として、今回の企画でご紹介したライブ中継の模様を下記の日程で配信します。高画質なブロードバンド版をお見逃しなく!
配信日時
- 7月12日(金)PM12:00~PM1:00
- 7月14日(日)PM11:00~PM12:00の2回
配信サイト
PercasTV
ライブ中継イベントの詳細はこちらの記事もご参照ください。
配信するコンテンツを選ぶ
ライブ中継といっても特に構えて考える必要はない。素材は身近にたくさんある。撮影対象の肖像権を侵害するものや、著作権で配信にひっかかる曲は配信できないが、それらがクリアできればガンガン配信してみよう。今回は、渋谷にあるアコースティック専門ライブハウス「APIA」(アピア)に出演したアーティスト・Nillaさんに協力いただき、ライブハウスからインターネットライブ中継を行ってみた。
何を準備すればよいのか?
「配信サービス編」
今回は「お手軽&予算をあまりかけずに」を主旨としているので、ストリーミングによるライブ中継が簡単にできる配信サービス「PercasTV」を使う。ポイントは「URecSight」という、ソニーのバイオ全機種に搭載されているソフト。映像編集の初心者でも簡単に配信できるのが特徴となっている。
「PC&カメラ編」
PercasTVとURecSightを使うので、PCはソニーのVAIOシリーズから選定する。カメラを搭載したバイオGTやバイオC1ならば使い勝手がいい。しかし、GTは特殊なノートPCであるため採用を断念した。また、C1はカメラにズーム機能を搭載していない。今回は引いた立ち位置から撮影したかったので、バイオノートSR「PCG-SRX7E/P」とDVカメラ「DCR-TRV900」をi.LINKケーブルで接続して使用した。URecSightはDVカメラの入力に対応。
「マイク&ヘッドホン編」
PC内蔵マイクでは、HDDのスクラッチ音やキータッチの音を拾う可能性がある。また、バイオの外部マイク端子はモノラルミニジャックだ。オーディオテクニカのステレオマイク「AT9440」を用意し、DVカメラの外部入力端子に接続した。ベストポジションにマイクを設置したいなら、オーディオ延長ケーブルも用意したい。SR本体のステレオ出力端子にヘッドホンを接続し、DVカメラからSRに入力されたライブ中継時のサウンドを同時にモニタリングした。
「ネットワーク編」
ライブ中継の会場にADSLやCATVなどの常時接続環境などがあれば、その回線を使うのがベストだ。しかし、モバイル中継となると、必ずしも高速な常時回線が用意されているとは限らない。今回はライブハウスという密閉された環境で通信するため、FOMA P2401とAirH”128の2種類でテストした。RBB TODAYスピードテストの結果は、FOMAではDownload:175.22kbps、Upload:53.07kbps、AirH”128ではDownload:45.77kbps、Upload:27.76kbpsとなった。これは場所によって異なるため、あくまでも参考値だ。
今回はAirH”128よりアップロードのスピードが速かったFOMAを使った。ただし、実際にライブ中継でFOMAを利用すると、パケット料金がかなりかかる。通信環境にもよるが、現時点ではAirH”128のほうが現実的だ。ネットワークを手軽に構築できるFOMA端末「F2611」なども、中継には便利だろう。
主な機材はノートPC+CCDカメラまたはDVカメラ+通信カード。あとはヘッドフォンとステレオマイクを用意すればいい。これで誰でも簡単にインターネットライブ中継が行える。 | モバイルTV局のイメージ。C1のようなカメラ内蔵型ノートPCだとより便利。異動しながらインタビュー中継を流すことも可能だ。マイクは内蔵タイプでもいいが、音質にこだわるなら市販品を買おう。 | |
簡単モバイルストリーミング |
PC | PCG-SRX7E/P(ソニー) |
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DVカメラ | DCR-TRV900(ソニー) |
マイク | AT9440(オーディオテクニカ) |
ヘッドホン | MDR-CD900ST(ソニー) |
PCカード | FOMA P2401(NTT DoCoMo) |
三脚 | VCT-D480RM(ソニー) |
その他 | ヘッドホン用ステレオミニプラグ変換コネクタ、マイク用オーディオ延長ケーブル(3m)、i.LINK用デジタル接続ケーブル(4m) |
通信環境を整える
次にモバイルインターネット接続の設定について簡単に触れてみよう。前述のとおり、通信カードにはPCカードタイプのデータ通信カード・FOMA P2401を使用した。設定ファイルや設定ソフトは添付CDからインストールする。つづいて、P2401の接続設定などを行なうアプリケーション「P2401 PC設定ソフト」を起動し、電波状況を確認する。電波状況がよければ、ダイヤルアップ接続でNTT DoCoMoのmoperaからインターネットへ接続する。
接続後にダイヤルアップのプロパティを開いて、うまく接続できているかを確認しよう。通信の設定や機材の準備が終わったら、事前に現場で通信速度のテストもしておく。というのも、ライブは一発勝負なので、いざ配信する段になって通信できないことがないように万全を期しておきたいからだ。また、配信する際の映像クォリティ(ビットレート)を決める目安もテスト結果からつけておく。さて、こういった事前の準備が済んだところで、いよいよ配信番組の予約をする。
【(1)FOMAの初期設定】FOMAを使うには、はじめに設定ソフトを起動して、初期化する必要がある(上)。通信時のプロパティ(左)。 | 【(2)FOMA接続画面】 | 【(3)RBBによる速度テスト】中継する場所のネットワーク環境を事前にテストしておく。Uploadが53.07kbpsという結果。 | ||
通信環境を整える! |