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マイクロソフトの開発者向けカンファレンス“Tech・Ed 2002 Yokohama”が開幕

2002年07月03日 21時24分更新

文● 編集部 佐々木千之

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マイクロソフト(株)は3日、最新技術動向や企業情報システム構築に関する情報などを、ソフトウェア開発者向けに提供するテクニカルカンファレンス“Microsoft Tech・Ed 2002 Yokohama”を横浜市のホテルで開催した。Tech・Edの開催は今回で会期は5日までの3日間。

Tech・Ed 2002は再び横浜に戻った
東京から横浜に戻ったTech・Ed 2002。参加者は約3000人で、前回よりも若干増加しているという。3日間に82のセッションが開催予定

3日間に渡る80以上のテクニカルセッションに先立ち、“現実解となる.NET”と題して、マイクロソフト(株)代表取締役社長阿多親市氏と米マイクロソフト社.NET Platform Strategyディレクターのブルース・バーンズ(Bruce Burns)氏がキーノートスピーチを行なった。

マイクロソフト代表取締役社長の阿多親市氏
マイクロソフト代表取締役社長の阿多親市氏(スーツ姿でない阿多社長はめずらしい)

阿多氏はまず、前回(2001年8月)の“Tech・Ed 2001 Tokyo”での約束として、信頼できるコンピューティング(Trustworthy Computing)環境の提供への取り組みについて触れ、2001年に猛威をふるった各種のウイルスへ迅速に対応をしたこと、この2、3月にはマイクロソフトすべてでいったん開発を止め、安全性・信頼性の見直しを行なったことなどを挙げた。事例として、米メリルリンチ社において1日あたり7500万トランザクションの処理をこなしていることを紹介し、ミッションクリティカル分野においてもマイクロソフトプラットフォームが十分に機能するとアピールした。

また阿多氏はマイクロソフト設立以後の27年を、Microsoft BASICやMS-DOSによってコンピューターを多くの利用者に広げた第1期、Windows、Visual Basic、Microsoft C++の提供を開始し、開発者への支援活動を強化してコンピューターのパワーをより広い層へ広げた第2期、Windows 2000、Visual Studio .NETを投入し、開発者個人、ISV、SI企業への支援をさらに強化し、進化したコンピューターのパワーをさらに広める第3期、の3段階に分けて説明し、さらにもう一段階の支援強化を図るとした。

開発者個人の支援としては、情報提供に関してこれまでMSDN(Microsoft Developers Network)などの雑誌、Tech・Edのような大がかりなセミナー中心だったが、オンライントレーニングの提供や、開発者コミュニティーであるINETAJ(International .NET Association Japan)を中心とした技術サポートの提供によって、開発者とのコミュニケーションを強化する。パートナー企業向けでは、.NETの事例・商流研究セミナー、技術セミナーやトレーニングの提供、企業システムをテストすることのできる“開発ラボ”の提供を行なう。さらにはパートナー企業が開発した製品やサービスを広めるための広報支援も強化する(※1)としている。

※1 これに関連し、マイクロソフトは同日付けで、.NET Framework、Windows .NET Server、SQL Server向けのソフトウェアを開発するISVパートナー企業に対するマーケティング支援プログラム“.NET Partner Program for ISV”を発表した。

米マイクロソフト .NET Platform Strategyディレクターのブルース・バーンズ氏
米マイクロソフト .NET Platform Strategyディレクターのブルース・バーンズ(Bruce Burns)氏

阿多氏に続いて登場したバーンズ氏は、「マイクロソフトがアプリケーションサービスをスタートしたDOS時代は、アプリケーション間のデータ移動は難しかった。それがWindows時代になりデータ移動がやりやすくなった。一方、ウェブサイトはかつてのDOS時代のようにデータ移動が難しい状況だったが、これを解決するのがウェブサービスだ。XMLウェブサービスを発表したときは、新しいアプリケーションプラットフォームなど必要ないという雰囲気があったが、いまや我々に賛同していない企業を探すのは難しいほど広く受け入れられた」と述べた。

沖電気工業(株)金融ソリューション開発本部本部長川上英氏
ブルース氏に紹介されて登場した、沖電気工業(株)金融ソリューション開発本部本部長川上英氏は、米ヒューレット・パッカード社のアプリケーションプラットフォームや米ウェブロジック社の『WebLogic』などのマルチプラットフォーム環境を、.NET Serverをポータルとして統合し、一元的なサービスを提供するというデモンストレーションを行なった

バーンズ氏は、Microsoft.NETは、企業と顧客、企業と従業員、さまざまな言語やプラットフォーム、組織を超えてのさまざまなシステム、多様なデバイスといったものすべてを結ぶ「新しい時代を可能にする唯一のプラットフォーム」であると強調した。またそれを支える製品群として、『Visual Studio .NET』『Windows .NET Server』『Office XP Web Services Toolkit』、さらに“.NET Passport”“.NET Alerts”“.NET My Services”などの.NET Servicesについて紹介した。

スピーチの最後に、XMLウェブサービスの今後の展開として、XML、SOAP、WSDL、UDDIなどの基盤技術に基づく新しい使用として“GXA”とよぶアーキテクチャーを示した。GXAに基づく製品では、必要な機能を自由に組み合わせるモジュール群、B2BからEAI、P2P、B2Cまで幅広くカバー、中欧集権的なサーバーや管理統制機構が不要になるとしている。また、米IBM社、米ベリサイン社と協同で、プラットフォームや言語から独立して、メッセージの完全性、機密性を保証する“WS-Security”を策定中であるという。米マイクロソフトが6月に発表した、WS-Security機能のマイクロソフトとしての実装製品である“TrustBridge(トラストブリッジ)”に関しても触れ「インターネットにおけるセキュリティープロキシー」(バーンズ氏)と説明した。

無線LAN環境も用意され、持ってきたノートパソコンでメールなどのチェックをする参加者が大勢見られた
会場には多数のデスクトップやノートパソコンが用意されて自由に利用できるが、今回は無線LAN環境も用意され、持ってきたノートパソコンでメールなどのチェックをする参加者が大勢見られた

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