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マイクロソフト、プロジェクト管理ソフト『Microsoft Project 2002』日本語版を発表

2002年06月28日 21時09分更新

文● 編集部 田口敏之

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マイクロソフト(株)は27日、プロジェクト管理ソフト『Microsoft Project 2002』(以下Project 2002)の日本語版を、7月26日に発売すると発表した。

Microsoft Project Professional Version 2002 日本語版
Microsoft Project Professional Version 2002 日本語版
Microsoft Project Server 2002 日本語版
Microsoft Project Server 2002 日本語版

同製品は、プロジェクトの3要素である“時間”“コスト”“リソース”を効率よく管理するためのプロジェクト管理ソフト。プロジェクトの計画作成や進捗状況の管理、スケジュールやコストに関するシミュレーションを行なうことによって、企業活動の効率化とコストの削減を図ることができるのが特徴。

ラインアップ
Microsoft Project 2002のラインアップ

Project 2002では製品ラインアップとして、シングルユーザー向けの『Microsoft Project Standard Version 2002 日本語版』(以下Project Standard 2002)と、大規模なプロジェクトを管理できる『同 Professional Version 2002 日本語版』(以下Project Professional 2002)を用意するほか、ウェブベースでプロジェクト情報の共有を可能にするためのサーバーソフト『同 Server 2002 日本語版』(以下Project Server 2002)を用意する。Project Server 2002にアクセスする際に必要なライセンス『同 Server Access License 日本語版』は、Project Standard 2002には1ライセンス、Project Server 2002には5ライセンスがあらかじめ付属する。

パッケージは通常パッケージのほか、アップグレードパッケージ、アカデミックパッケージも用意する。価格はオープン(編集部による予想実売価格は、Project Standard 2002の通常パッケージが7万4800円、アップグレードパッケージが3万9800円、アカデミックパッケージが2万1800円。Project Professional 2002の通常パッケージが13万7000円、アップグレードパッケージが6万8800円。Project Server 2002の通常パッケージが30万1000円、アカデミックパッケージが8万2800円)。

Office XPと同じインターフェース
Office XPと共通のインターフェースを採用。Excelで作成したスケジュールなどを取り込める

同製品の特徴としては、Office XPと共通のインターフェースを採用し、WordやExcelなど、他のOffice製品とのファイルの互換性を持つことが挙げられる。これによって、Excelで作成したスケジュールやタスク表を、取り込んで利用できる。また、プロジェクト管理ソフトを利用したことがない初心者向けに、ガイドラインに沿ってプロジェクト管理を始められるウィザードや、さまざまな業務向けのテンプレートを用意している。

コラボレーション
ウェブブラウザーを利用してワークグループ内で情報を共有できる。インターネットを利用して海外の事業部や他の企業とのコラボレーションも可能

Project Standard 2002は、Project Server 2002を組み合わせることにより、ワークグループにおける生産性の向上を図ることができる。ワークグループ向けには、ウェブブラウザー(Internet Explorer 5.0以上が必要)を利用して作業内容の報告や、プロジェクトの進捗状況をアップデートを行なえる機能を搭載している。更新した情報を、ワークグループのほかのメンバーに電子メールで自動通知することも可能。また、情報共有のためのツール“SharePoint Team Service”(同梱)を利用すれば、企画書や設計図、懸案事項などをプロジェクトの工程にリンクさせて共有できる。エクストラネットの環境下では、海外の事業部とのプロジェクト管理や、企業間でのコラボレーションなども可能となっている。

プロジェクトチームの作成
プロジェクトに必要なスキルを持つ人材を自動的に抽出して、プロジェクトチームを作成できる
シミュレーション
シミュレーション機能を用いて、プロジェクトの優先度に応じた人員の投入が可能

そして、Project Professional 2002とProject Server 2002を組み合わせることにより、全社規模のプロジェクトマネジメントが可能になる。それぞれの工程に必要なスキルと、人材が持っているスキルを一覧表示でき、プロジェクトに必要なスキルを持つ人材を自動的に抽出して、プロジェクトチームを作成できる。データベースサーバーとしてSQL Server 2000を利用し、SQL Server 2000 Analysis Serviceを利用すれば、意志決定サポート機能により、プロジェクトに関する情報を分析し、中・長期的に必要な人材のスキルを特定することもできる。また、シミュレーション機能を用いて、プロジェクトの優先度に応じた人材の投入が可能。

Project Standard 2002とProject Professional 2002の動作環境は以下の通り。OSはWindows 98/Me/NT 4.0(SP6a以上)/2000 Professional/XP Professionalに対応し、Pentium-200MHz以上のCPUと32MB以上のメモリー、および105MB以上のHDDの空き容量、および800×600ドット、256色以上の表示が可能なディスプレーが必要。

Project Server 2002は動作環境として、OSがWinows 2000 Server(SP1以上)/2000 Advanced Server(SP1以上)、SQL Server 2000 Desktop Engineを含むSQL Server 2000以上、IIS 5.0以上に対応し、Pentium III-500MHz以上のCPU、128MB以上のメモリー、50MB以上のHDDの空き容量が必要となっている。

エンタープライズソリューション本部ナレッジソリューション部長の小柳津篤氏
エンタープライズソリューション本部ナレッジソリューション部長の小柳津篤氏

発表会で、同社エンタープライズソリューション本部ナレッジソリューション部長の小柳津篤氏は「日本のプロジェクトマネジメントの現状に対して、危惧を持っている。先進国の中で、プロジェクトマネジメントの考え方が浸透していないのはおそらく日本だけ。欧米などでは、企業の経営手法の1つとして採用されていることはもちろん、政府が調達の際のガイドラインとして取り入れている」

「日本は勘と経験と度胸の世界で、重箱の隅をつつくようなことは聞くな、終わったことは終わったことという考え方がまかり通ってしまっている。欧米の大学では、一般教養でプロジェクトマネジメントを学んでいる。ガイドライン規格も発行されており、その1つ“EVMS(Earned Value Management System)”は、米国の国防省の予算削減に大きく貢献し、また開発成熟度を測るモデルCMM(Capability Maturity Model)は、NASAのスペースシャトル搭載ソフトの品質向上に貢献したという」

プロジェクトマネージメントの過程
プロジェクトマネージメントの過程

「日本のプロジェクトマネジメントに対する取り組みとしては、経済産業省により、2001年7月に“ソフトウェア開発・調達プロセス改善協議会”が設立されたほか、2001年8月には“プロジェクトマネジメント研究会”が発足し、さまざまな提言を行なっている。また日本アイ・ビー・エム(株)や(株)東芝など、CMMを日本で取得している企業も出てきている。日本でのプロジェクトマネジメントは、エンジニアリング分野からの啓蒙が非常に強かったが、あらゆる企業活動はプロジェクトマネジメントの1つの要素であると言える。そのためのツールも整備されつつある。これに基づいて、1つ1つプロジェクトマネジメントの世界に入っていっていただきたい」と述べた。

同製品は、特定の業界に対してではなく、全般に向けて販売を行なっていくという。具体的な販売目標は明かにしていないが、本国での売り上げの3割程度を目指すとしている。

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