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日本IBM、エントリーレベルのUNIXサーバ『IBM eserver pSeries 630』を発表

2002年06月26日 00時00分更新

文● 編集部

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日本アイ・ビー・エム(株)は、POWER4を搭載したUNIXサーバのエントリーモデル『IBM eserver pSeries 630』を8月30日より発売することを発表し、記者発表会を行なった。

『IBM eserver pSeries 630』は、Regattaシリーズと同様のPOWER4プロセッサを採用したサーバマシン。4Uラックマウントの『6C4』とタワー型の『6E4』の2ラインナップが用意される。『Project eLiza』の成果である、システムの自己修復機能を搭載したほか、ダイナミックLPAR(論理分割機構)への対応が今後図られるという。OSには『AIX 5L』を採用しており、Linux上で動作するアプリケーションの多くがコンパイルするだけで利用可能だ。

『IBM eserver pSeries 630 モデル6C4』『IBM eserver pSeries 630 モデル6C4』
『IBM eserver pSeries 630 モデル6E4』『IBM eserver pSeries 630 モデル6E4』

『IBM eserver pSeries 630』のおもな仕様は以下のとおり。

  • CPU……POWER4(最大4基)
  • メモリ……1GB~16GB
  • 内部ディスク……18.2GB~293.6GB
  • インターフェイス……PCI-Xスロット×4、Ultra3 SCSI×2、10/100BASE-TX×2、シリアル×3、パラレル×1
  • OS……AIX 5L for POWER バージョン 5.1

製品の価格は、最小構成で562万2300円。

記者発表会では、日本アイ・ビー・エム(株)理事 Webサーバ事業部長の東上征司氏が、『IBM eserver pSeries 630』の紹介と今後のロードマップ、市場戦略を紹介した。

日本アイ・ビー・エム(株)理事 Webサーバ事業部長 東上征司氏日本アイ・ビー・エム(株)理事 Webサーバ事業部長 東上征司氏

東上氏はまず、『IBM eserver pSeries』の上位機種が大規模UNIXサーバ市場でトップシェアを獲得したことをIDG Japanのデータを元に紹介。今回発表した『IBM eserver pSeries 630』で、エントリーレベルからハイエンドまで、POWER4搭載UNIXサーバラインナップを用意し、さらなるシェア拡大を目指すとした。

また、今後の展開として『Globus Toolkit 2.0』のAIX版を来月頃をめどに提供する予定であることを発表した。『Globus Toolkit 2.0』は、グリッドコンピューティングを実現するためのツールキットで、オープンソースで開発されている。globus projectのWebサイトには、すでにLinux、Solaris、IRIX、Tru64 UNIX、AIXに対応した『Globus Toolkit 2.0』が公開されているが、日本IBMではAIX版をCD-ROMに収録して提供するとしている。同社では3年後には商業ベースのグリッドシステムが研究ベースのグリッドシステムを上回るとしており、『Open Grid Service Architecture』(OGSA)策定への参加など、グリッドコンピューティング技術開発に積極的にかかわる姿勢を示した。

UNIXサーバのロードマップについては、POWER4プロセッサもムーアの法則に従った高速化を進めるとし、2003年~2004年には100パーテーション以上のLPARに対応したPOWER5をリリースする予定であることが明らかにされた。

今後の販売戦略については、大規模なUNIXサーバは既存のメインフレームからの置換やERPシステムのインフラなどをターゲットに拡販するとのことだ。一方の小規模UNIXシステムの戦略については、UNIXサーバ市場でのシェア拡大を目指すとしか触れられなかった。東上氏に伺ったところ、2005年ころまではLinuxやWindowsサーバの市場が拡大する一方、UNIXサーバの市場自体がそれほど大きく成長することは望めないだろうという予測を示した。一方、その間に事実上UNIXサーバメーカーは米Sun MicrosystemsとIBMだけになるだろうとの予測を示し、グリッドコンピューティングへの対応やLPARなどの付加価値を武器に展開するとのことだ。

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