スペインのアマデウス(Amadeus Global Travel Distribution)社は24日、旅行会社向けの旅行業務支援システム『Vista(ヴィスタ)』の日本語版を発表し、同日付けでASPサービスによる提供を開始した。
航空機の座席予約。GUIによる操作が可能 |
Vistaは、旅行会社向けの旅行業務支援システム“GDS(Global Travel Distribution System)”。代理店と特定の航空会社間を専用線でつなぐ予約/発券システム“CRS(Computer Reservations Systems)”とは異なり、複数の航空会社の航空券の予約から発券、ホテルやレンタカーの手配など旅行予約業務を一貫してサポートする。特徴として、ウェブブラウザーベースであることや、GUI(Graphical User Interface)を採用していることなどが挙げられる。このため、2日程度のトレーニング期間があれば十分使いこなすことができ、窓口で旅行コンサルティング業務へ注力できるようになるという。なお、従来のコマンドラインインターフェースを用いる旅行業務支援システムに慣れているユーザー向けに、CUI(Character User Interface)による操作も可能となっている。
ホテルの予約。日本語版ではすべてのユーザーインターフェースが日本語化されている |
従来の旅行業務支援システムに慣れているユーザー向けに、CUIによる操作も可能 |
日本語版の発表に伴って、アマデウスは同社のシステムをIPプラットフォームに統一した。これにより、顧客がオフィス内にゲートウェイサーバーを設置する必要がなくなり、導入コストと通信コストの削減が可能。また従来、電話回線の敷設などの理由から、6週間程度かかっていた設置期間が短縮され、最短24時間で設置を行なえるという。さらに、Vistaのアップデートは“オートマティック・アップデート”により自動的に行なえ、操作方法などの手助けをするヘルプデスクの担当者が、ユーザーと同じ画面を見ながら遠隔操作でサポートを行なうなど、高度なサポートが可能としている。既存の顧客に対しては、2002年末までに接続をIPプラットフォームに移行する予定。
航空機の時刻表照会 |
このほか、日本版独自のアプリケーションとして、発券業務を効率化する『Presto(プレスト)』や、旅行表作成・出力を支援する『Symphony』も用意している。航空券を発券できない中小の旅行会社の事務所へ、リモートで発券を行なう“STDO(Satellite Ticket Delivery Office)”機能もサポートしている。
アマデウスジャパン支社長のグレン・フライ(Glenn Frye)氏 |
発表会で、アマデウスジャパン支社長のグレン・フライ(Glenn Frye)氏は「欧米の旅行業務支援システム業界は2、3社が競合しているが、日本の業界は不思議な業界で、CRS・GDSを合わせて9社が競合している状況。これは、系列航空会社専用のシステムが多いためで、旅行会社は複数の端末を設置しなければならない。それぞれの端末の操作方法が異なっているため、社員のトレーニングにかかる負担がかさむ上に、本来の業務である、客に対する旅行コンサルティングに注力できないという問題が生まれてくる」と述べ、「アマデウスは、旅行業務支援システムの提供起業としては後発だが、それゆえにユーザーの声を反映しながら商品開発を行なっている。Vistaは、109社の航空会社に対応する非常に中立性の高いシステムで、これ1つですべての業務を行なえるのが特徴」と語った。
同システムの動作環境については以下の通り。OSはWindows 2000/XPに対応する。Pentium III-500MHz以上、128MB以上のメモリー、250MB以上のHDDの空き容量、および800×600ドット以上の解像度を持つディスプレーが必要。ブラウザーは、Internet Explorer 5.01(SP2以上)に対応する。
事業目標 |
利用料金は、パソコン1台を1クライアントとして、1クライアントあたり月額3000円。同社では2002年の事業目標として、契約旅行会社555社、契約端末台数6000台を目指し、2005年までには日本市場でのトップシェアを目指すとしている。