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【RoboCup 2002 Vol.2】ASIMO2体がサッカーで対決!! 片足立ちやアイ~ンも!

2002年06月19日 21時01分更新

文● 月刊アスキー編集部 吉川大郎

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会場ディスプレイに映し出されたロボカップ2002 福岡・釜山のロゴ

ロボカップ2002 福岡・釜山の初日となる本日は、メディア向けにロボカップの紹介を行なうプレスプレビューが実施された。ここでは、今回のロボカップの特徴が紹介されたほか、“ヒューマノイドカップ”設置に伴って、本田技研工業(株)のASIMOによるサッカーのデモンストレーションや、2足歩行ロボット全機種紹介などが行なわれた。

morph3
北野共生プロジェクトの『morph 3』

最初に挨拶に立ったのは、ロボカップ主要メンバーである、ロボカップ国際委員会 プレジデントの北野宏明氏、ロボカップ日本委員会会長 浅田稔氏、ロボカップ2002日本委員会代表 松原仁氏の3人。松原氏と浅野氏が大会概要を語った。それによると、今回のロボカップは、その究極の目的である“人間とサッカーできる自律型ロボットの開発”で想定される、人型ロボットによるリーグ=ヒューマノイドカップが開始されたという意味で記念的な開催であり、さらに200チーム1000人が参加する、前代未聞の大規模なものになったとのことだ。

実行委員
左から、北野宏明氏、松原仁氏、浅野稔氏

続いて北野氏が、今回から行なわれることになった最新ロボット・技術展覧会“ROBOTREX 2002”について言及した。ロボット産業が広がるためには、材料やデバイスなどを開発/製作する企業が発展することも重要であり、そうした企業に、技術の習得やビジネスの場を提供するのが、ROBOTREX 2002の開催意図であるという。

さらに北野氏は、ロボカップ2002 福岡・釜山の直後に福岡ドームに隣接されたシーホーク ホテル&リゾートで行なわれる“ロボカップ2002 福岡・釜山 産学交流セミナー”についても紹介した。セミナーのほうは、ロボット関係者が一堂に会する機会を活かし、ロボカップでの技術成果を公開しあうとともに、今年は2050年(自立型ロボットチームが、ワールドカップ優勝チームに挑戦して勝つことを目的としている年)までのマイルストーンも決めるという。

また、スポンサー企業や福岡市との連携についても明確なアピールを行なって謝辞を表わした。特にコンピューターユーザーと関係のあるところでは、たとえば日本SGI(株)がシミュレーション分野やレスキュー分野のビジュアライゼーションに協力している点や、(株)ゼンリンが地図データをロボカップレスキューに提供している点、そしてソニー(株)がAIBOのリーグ(4足歩行リーグ)にテスト機を貸し出している点、日本オラクル(株)がロボカップ2002 福岡・釜山のウェブページを提供している点などを紹介している。特にソニーの場合は、AIBOを提供し、そこから研究者がAIBOをカスタマイズしてリーグに臨み、その研究結果がAIBOの技術向上にまた役立つといった、関係者全員にメリットになる循環が生まれている点を強調した。コンピューターとは関係のないところでは、世界的ヨットレース“アメリカズ・カップ”にトロフィー提供しているルイ・ヴィトンから、“ルイ・ヴィトン ヒューマノイドカップ”の供与を受けたことも紹介した。さらに、地域との協力も進んでいるようで、本日から明後日の21日までに、福岡市内の学校の授業の一環としてロボカップ2002 福岡・釜山見学が盛り込まれ、3万人以上の児童が福岡ドームにやってくるという点にも触れていた。



ASIMO2体が対決!!

続いて(株)本田技術研究所による、ASIMOのデモンストレーションが行なわれた。

片足立ちをしてASIMOはずっと動かない
片足立ちするASIMO

ヒューマノイドカップでは、参加資格競技として“片足立ち”が課せられているほか、競技種目としてはロボットの身長×5倍の距離を折り返しポイントとして往復を行なう“歩行”、各チーム5本のシュートで得点を競う“ペナルティキック”、5分以内のデモンストレーションを行なう“フリースタイル”などが用意されているが、プレスプレビューでは、ASIMOがこれらすべてを実践した。ちなみに、“歩行”ではASIMOの身長1.2m×5=6mの距離を往復し、かかった時間は44秒87であった。



ASIMOのPK
PK合戦を行なうASIMO。さすがにゴールキーパーはほとんど立っているだけだったが、楽しい催し物となった

片足立ちや歩行までは1体のASIMOが登場してスムーズに行なわれた。次に最大の見せ場であるペナルティキックになると、さらにもう1体のASIMOが登場。あらかじめ用意されたゴール前にキーパーとして陣取った。このときには、報道各社が最良のカメラアングルを取ろうとステージ前を全力疾走するなど、雰囲気がたいへん盛り上がった。結果は2対3でキーパーASIMOの勝ち。ボールはご想像のとおりボテボテに転がっていくだけであったが、ロボットがボールを蹴り、それがキーパーの正面だったり少し脇にそれたりと、見ごたえは十分であった。

あい~んアイ~ンするASIMO。ゴールを防いだときと、司会の女性と握手する前にお茶目でアイ~ンを行なった。実はロボットにとって、こうしたバランスを崩すようなポーズが難しいのだそうだ。

その後2体のASIMOが、フリースタイルとして、ヒューマノイドカップ参加チームへの応援の意味を込めて、ゴン・中山選手のマネをした踊りを披露。

ダンス
指も動かしながら、中山選手のマネをして踊る

次に、本田技術研究所の広瀬真人氏がASIMOの基本性能について一通りの説明を行なう。ASIMOならではの特徴として、

  1. 小刻みに歩いたり、ゆっくり大股に歩いたりと、歩調を変えることができる
  2. 斜め方向など、バランスを取りながら止まらずに歩くことができる

などを挙げた。特に、ASIMOのバランス性能については、司会の女性にASIMOの肩を押させてみて、ASIMOが倒れない(傾くと足に力が入って倒れるのを防ぐ)点などを見せた。

倒れないASIMO
司会の女性が押しても倒れない。ASIMOの右足つま先が浮いているのに注目

ASIMOのデモンストレーションが終わったあとは、ヒューマノイドカップ参加チームが壇上に上がり、記念撮影を行なった。特に印象に残るのは、ウプサラ大学の『Murphy』で、2m近い巨体をハンガーに吊されて登場した際は、その名の通りロボコップを彷彿とさせた(名前の由来は不明)。

Murphyウプサラ大学の『Murphy』
LEGO
LEGOで作られたロボット
GuRooクィーンズランド大学の『GuRoo』
Elvisシャルマーズ大学の『Elvis』。
NAGARA岐阜県工業会の『NAGARA』。
全員写真
ASIMOも加えて全員で「ハイ、ポーズ!」。報道陣のカメラがぐるりと囲んでいた。

プレスプレビューは以上で終了した。明日からは一般公開も始まるロボカップ2002 福岡・釜山だが、今までにない大規模な開催、ヒューマノイドカップの新設、ROBOTREX 2002の併設など、見所はまだまだ多くありそうだ。

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