「日本のパソコンは,はたして正常な進化をとげているのか」。一見単純なこの問いに対して答えを出すのは容易なことではない。この問題を検証するにあたって,我々が今まで行なってきたサンプルからの分析では,限界があることは明白だった。幸いにもベリサーブという協力者を得て,全体を見渡して方向付けるデータを提供してもらえることとなった。ここにプロジェクトチームを発足し,さまざまな角度からこの問題に取り組んで検証を行なっていく。
しかしパソコンには拡張性という優れた特徴がある。たとえばDVD-R/RWドライブを内蔵していないパソコンでも,USBやIEEE1394インターフェイスがあればドライブを簡単に増設できてしまうのだ。メーカー保証が受けられなくなる可能性もあるが,デスクトップPCのカバーを開けてCPUを交換したり,メモリやHDDを増設することもできる。アプリケーションをバージョンアップしたり新たにインストールすることで,パソコンの拡張性をフルに活かせば,パソコンを買い直さなくても常に新鮮な状態に保っておくことができるのだ。
ただしパソコンの拡張や増設には落とし穴もある。いわゆる互換性や相性と呼ばれているものだ。たとえばメモリを増設したら動作が不安定になったり,ビデオキャプチャカードがマザーボードのチップセットと相性が悪く動作しないこともある。こうした落とし穴を避けるには,メーカーが公表している情報が頼りになる。しかしそうした情報が不足しているときは,個人で対処するのは難しい。
このプロジェクトでは,まず本体の基本特性を明らかにしていき,それとともに互換性について取り組んでいく。
あなたのマシンの起動時間は何秒?
次ページにはデスクトップPCとノートPCを合わせて112機種にも及ぶパソコンの起動時間を掲載した。このデータをベースにして,起動時間についていろいろな角度から分析も行なっているので,今使っているマシンの起動が速いのか遅いのかを判断する材料としてほしい。
Column ― 月刊アスキー・ベリサーブ 共同テストルーム通信
常時100台のパソコンが利用できる 共同テストルーム
こうした検証作業のために,社内には検証用パソコンが常時100台保管されているという。またテストルームもあり,検証用パソコンと一緒に貸し出すサービスも行なわれている。月刊アスキーとベリサーブの共同テストルームも,まさにこの一角に設けられているのだ。
今回起動時間の測定を陣頭指揮した製品検証サービス部の高沢さんに,パソコンを保管している部屋を案内してもらったが,意外にも6畳ほどの小部屋で驚いてしまった。段ボール箱が散乱する雑然として空間をイメージしていたが,実際にはパソコン本体が整然と並ぶ空間であった。これが短期間に多くのパソコンを検証できる秘密なのかもしれない。
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