ティアイエス(株)、エントレージ・ブロードコミュニケーションズ(株)、東京エレクトロン(株)、ブロケードコミュニケーションズシステムズ(株)、ベリタスソフトウェア(株)の5社による、広域ストレージシステムの相互検証プロジェクト“B-cube(ビー・キューブ)プロジェクト”は18日、3月1日から行なっていた異機種混在(ヘテロジニアス)環境における本格検証の第1フェーズを終了し、第2フェーズを7月1日に開始すると発表した。検証作業は、12月末まで行なわれる予定。
B-cubeプロジェクトとは、“SAN(ストレージ・エリア・ネットワーク)”の導入促進のために、相互接続検証サービスと、構築と運用の総合的なコンサルティングを行なうための協同プロジェクト。第1フェーズでは、“MAN(メトロポリタン・エリア・ネットワーク)”を経由したリモートバックアップ、リモートミラーリングなどの広域SANネットワークが、異機種混在の環境で稼働可能かどうかの検証を行なった。結果として、MANを利用したリモートSAN環境と、ローカルなSAN環境では性能差がほとんどなく、広帯域な遠隔SAN環境は、ローカルサイトと同等なSAN環境としても運用可能であることが分かったという。
続く第2フェーズでは、地震や火災などの災害から重要な企業データを保護するための“ディザスタ・リカバリー(DR)”の実証実験を行なう。具体的には、東京都江東区にあるTISのデータセンターと、東京都府中市にある東京エレクトロンのテクノロジーセンターを、100MbpsのEthernetで接続し、遠距離間での広域バックアップ、データ複製、リモート・ストレージ管理などのテストを行なうとしている。
参加企業は、B-cubeプロジェクトを推進している5社に、(株)アドテックス、サン・マイクロシステムズ(株)、日本アイ・ビー・エム(株)、日本電気(株)、日本ヒューレット・パッカード(株)、富士通(株)の6社を加えた合計11社。
長井氏「今回の実験は、今ある技術でどれだけのものが作れるか。またSAN環境を構築して運用を行なった場合、どれくらいコストがかかるかを測る、第1フェーズよりも実用を意識したものとなっている」 |
発表会において、エントレージ・ブロードコミュニケーションズ代表取締役社長の長井正利氏は「昨年9月のテロ事件以来、DRの重要性が注目されている。第2フェーズでは、80km離れたデータセンター間での広域バックアップやデータ複製の実証実験を行なう」と述べ、「今回の実験は、今ある技術でどれだけのものが作れるか。またSAN環境を構築して運用を行なった場合、どれくらいコストがかかるかを測る、第1フェーズよりも実用を意識したものとなっている」と語った。
同氏に、今回の実験の見通しについて尋ねたところ「今回は100Mbpsの回線を利用するが、バックアップやリモート・ストレージ環境として利用するには不十分。1Gbpsや10Gbpsの回線を利用したいが、高速な回線はまだコストがかかりすぎる。この実験を通して、そういったコストの引き下げが加速するのではないかと考えている」という答えが返ってきた。
そして第3フェーズについて、同氏は「第3フェーズは第2フェーズ終了後、はっきりとは言い切れないが、2003年の1月ぐらいから実施する予定。第3フェーズでは、SANの商用化に際しての問題点の浮き彫りや、適切なアプリケーションの検証、またSANを利用した新しいサービスの模索など、さらに現実的な実証実験を行なう。そして、SANは安全で信頼がおける技術だというメッセージを発信していく」と語った。
グレッグ・レイス氏「日本のCEOも、欧米のCEOと同じ悩みを抱えていることが分かった。これに大して、SANがお役に立てることがおおいにある」 |
また、米ブロケードコミュニケーションズシステムズ社の会長兼CEOであるグレッグ・レイス(Greg Reyes)氏は「IDCジャパンが発行した、日本の経営者が気にかけていることのランキングを読んだところ、上位にディスクリカバリーやコストの削減などが上がっていて驚いた。日本ならではの、もっとユニークな懸案があると思っていたのだが、欧米のCEOと同じ悩みを抱えているということが分かった。こうした悩みに対して、SANがお役に立てることがおおいにある。B-cubeプロジェクトの実証実験は、きっとCEOの助けになるだろう」と語った。