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NECインフロンティア、オフィス向けに電話とデータ通信をIPベースで統合したシステムを発表

2002年06月18日 11時10分更新

文● 編集部 佐々木千之

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NECインフロンティア(株)は17日、都内で記者発表会を開催し、オフィスの内/外線音声通信網と有線/無線LANをフルIPベースで統合したコミュニケーションゲートウェイシステム『Aspire(アスパイア)』を発表した。価格は、ISDN6回線、IP多機能電話機32台という構成で約350万円(工事費別)。8月2日に出荷開始予定。同社が多くの顧客を持つ中小事業所をターゲットに、現行のキーテレフォンシステム(※1)の置き換えを狙うという。

※1 キーテレフォンシステム:主に事業所で使用される、電話回線(外線)と内線をボタンによって切り替えて使用可能な多機能電話システム。

NECインフロンティア執行役員で第一事業本部長の喜多敏雄氏
NECインフロンティア執行役員で第一事業本部長の喜多敏雄氏

Aspireの狙いと機能について説明した、NECインフロンティア執行役員で第一事業本部長の喜多敏雄氏によると、現状のIP電話システムには、

  • キーテレフォンと比較して電話サービス機能が少ない
  • システム構成が高価
  • 機器間の接続・切り分けが複雑
  • 電源を必要とする機器が多く停電対策が難しい
  • 無線LANでは音声品質保証ができない
    • ネットワーク負荷時の音声の途切れ
    • 音声品質を確保したローミングができない
    • ファイアウォールにより、ホットスポットなどから通話できない
  • 電話端末の種類が少ない

といった課題がある。Aspireはこの課題を解決し、従来のキーテレフォンシステムが持つ、豊富な電話サービス、安価なシステム構成、高い音声品質と信頼性と、IPシステムが持つ、データ系との高い親和性、VoIPベースのネットワーク構築、オープンで多様な環境といった、両システムの優位点を兼ね備えたシステムだという。

『Aspire』の本体。筐体内に見えるのが各機能をもったボード『Aspire』の本体。筐体内に見えるのが各機能をもったボード(前面パネルは取り外してある)
IP電話『IPterm100』
IP電話『IPterm100』

Aspireは1つの筐体の中に、キーテレフォンシステム、Hub、VoIPゲートウェイ、ウェブサーバー、ルーター、ファイアーウォールといったハードウェアをボード化して内蔵し、この主装置だけでネットワーク構築が可能。別々のコンポーネントとして提供している従来型のIP電話システムと比較して、導入コストは3分の2に抑えたという。また、ボードの構成もフルIPベースのシステム、従来のキーテレフォンシステム、両方を併存したシステムというように柔軟に対応でき、オフィスの事情に合わせた段階的な導入も可能としている。

Aspireでは各種機能をボードとして1つの筐体内に収めた
Aspireでは各種機能をボードとして1つの筐体内に収めた

待機時電力は従来製品の55%(外線8、内線16の場合)に抑えたとしている。本体のサイズは幅418×奥行き280×高さ397mmで、重さは約25kg。消費電力は最大360W(待機時176W)となっている。

HubはEthernetケーブル経由で給電可能で、バッテリーバックアップ機能を備えている。Aspire本体もバックアップ電源を持っているため、停電時でもすべてのVoIP機能を保証する。パソコンに電話機能を追加する“ソフトフォン”アプリケーション『WebDial』、ActiveX対応ウェブブラウザーを使ってAspireのウェブサーバーにアクセスすることで、パソコンやPocket PCに電話機能を追加する『Web Phone』も用意している。

Aspire1台で、多様な機器に対応できる
Aspire1台で、多様な機器に対応できる

発表会では、無線LAN経由での音声電話(VoIP)品質のデモンストレーションが行なわれた。従来型のQoS機能のない場合は、一般的なネットワーク負荷5%でも音声がとぎれがちで聞きづらくなったが、Aspireでは35%という高負荷状態でもはっきりと聞き取れる高音質となっていた。このQoS機能はNECインフロンティアの独自技術によるものという。技術の詳細について尋ねたが、特許出願予定ということで、詳細は明らかにしなかった。こうした無線LAN経由のVoIP機能はホットスポットやアクセスポイント間のローミングにも対応しているという。このほか無線LANのセキュリティー機能に関しても同社独自の機能によって強化し、企業ユースに耐えうるセキュリティーを確保したとしている。

NECインフロンティア代表取締役社長の登家正夫氏
NECインフロンティア代表取締役社長の登家正夫氏

NECインフロンティア代表取締役社長の登家正夫氏は「Aspireのような製品は、ノーテルネットワークス、シスコシステムズ、沖電気工業なども手がけており、ないわけではないがまだメジャーではなく、これからの分野だと考えている。日本にはまだ莫大な数のレガシーシステムを使っている事業所があり、それらをAspireに置き換えていく」とした。同社では今後1年間に3万セットの販売を目標としている。

Aspireが狙うのは中小事業所。その多くは内線数で20~80回線の規模だという
Aspireが狙うのは中小事業所。その多くは内線数で20~80回線の規模だという
2004年に、国内、北米、オーストラリアで現在よりも1つ上の位置を目指すという
2004年に、国内、北米、オーストラリアで現在よりも1つ上の位置を目指すという

なお、Aspireは7月3~5日に千葉・日本コンベンションセンター(幕張メッセ)で開催される“NetWorld+Interop 2002 Tokyo”の同社ブースに出展の予定。

同社の今後の開発戦略
同社の今後の開発戦略。Aspireは年内に海外でも発売の予定としている

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