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TransCube 10

TransCube 10

2002年08月21日 00時00分更新

文● culi

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無線LANアクセスは
制限があってもお手軽便利

ルータ設定
図4 Webブラウザベースのルータ設定画面。WAN側の接続方法としては、PPPoEに加えてYahoo! BBなどで使えるDHCPと、固定IP入力の3つをサポートしている。

TransCube設定
チャンネル設定
図5、6 TV視聴に関する設定。TV局情報は、地域を指定すればプリセットが利用できる。時刻合わせは、ビデオデッキと同じTVの時報合わせと、PC的なNTPサーバへの同期のどちらかを選べる。
 TransCubeを他のHDVR機器と大きく差別化しているのは、何と言っても無線LANアクセスポイント(AP)機能だ。TransCubeの無線LANはAP機能だけを持っており、TransCube本体を他のAPに接続すること(無線ブリッジ機能)はできない。
 無線LANの規格はIEEE802.11bで、最高11Mbpsでワイヤレス通信が可能だ。手持ちのノートPCと付属の無線LANアダプタを使って、TransCubeを経由して有線LAN/インターネットへ透過的に接続できる。本体の無線LAN APと有線LANポート間はブリッジ接続になっているので、有線/無線LANのどちらからでも区別なく、TransCube本体は同一のIPアドレスで認識される(図4)。ただし、PC側からは、(1)本体のルータ機能と(2)AVサーバ機能にアクセスするためのIPアドレスは、それぞれ別アドレスに見える(初期値は(1)192.168.0.1と(2)192.168.0.2)。例えばルータ機能の設定は、ブラウザで(1)のアドレスを呼び出し、付属アプリケーション「LIVE MEDIA」で本体のTV環境を設定するときは(2)のアドレスを指定する(図5、6)。DHCPについては、TransCubeのDHCPサーバ機能を有効にする(他機器のDHCPサーバ機能は無効にする)よう指示されているが、TransCubeのDHCPサーバ機能を無効にしても、問題なく無線LAN端末から(他のDHCPサーバが割り当てた)IPアドレスを取得できた。



iCommand関連設定
図7 TV視聴アプリ「LIVE MEDIA TV」。ワンタッチスキップ/リプレイやタイムスリップなども含め、本体+リモコンと同等の操作がリモートで実行できる。表示サイズは3段階(320×240ドット/640×480ドット/全画面)。
録画データリスト
図8 本体が4Mbps/6Mbpsで録画を実行している間だけは、LIVE MEDIA TVではこのようにTVが視聴できなくなる。
 肝心のTV映像受信機能だが、PCでTV視聴アプリ「LIVE MEDIA TV」を起動すると、本体が「PCモード」に切り替わる(図7)。このPCモードと先のビデオモードは排他になっており、PCでTV視聴している間は映像出力からは信号が出ない。逆にビデオモードを起動しているとPCでTV関連の機能が使えない。
 TV放送を無線LAN経由でライブ視聴する場合、ビットレート2MbpsのMPEG2データがPCに伝送される。エンコードに時間がかかるので、放送より2秒ほど遅れる(ビデオモードの視聴でも同じ遅れが出る)。6Mbpsや4Mbpsで録画されたタイトルの再生は、自動的に2Mbpsに再エンコードしてからPCに伝送する。では、6Mbps、4Mbpsで録画中の映像はどう見えるか? というと、本体のエンコーダが録画用に占有されるため、無線LAN経由ではこの間、映像が見られない(有線LAN接続であれば録画中もTV視聴可能、図8)。

 TransCubeでは、録画済タイトルをPCに転送するだけでなく、逆にPC上のMPEG2ファイルを本体に転送できる(図9)。もっとも、どんな動画ファイルでもいいわけではなく、元々TransCubeで録画したタイトルか、付属のMPEG編集ソフト「Power Director 2.0(東芝版)」で編集、出力したファイルに限られる。なお、GB単位のタイトルの転送には無線LANでは非常に時間がかかるので、できれば100Base-TX以上の有線LANで転送したほうが効率がいい。



LIVE MEDIA NAVI
図9 本体の録画予約情報と録画済タイトル情報を管理する「LIVE MEDIA NAVI」。PCに転送した映像データも合わせて管理できる。iEPG予約した番組に関しては、番組表の説明もそのまま表示されるので参照時に便利だ。

 画質に関しては、無線LAN経由(2Mbps)の視聴時にはどうしても細かいノイズでざらついてしまうが、内容を見るのに支障はないし、ここは便利さ優先で割り切るべきなのだろう。むしろ、無線(電波)を通しにくい材質の壁を挟むなど、通信自体に障害が生じたとき、画面が崩れてまともに視聴できなくなる。無線LANそのものの運用(TransCube本体を置く場所の見通しなど)には気を付けたいところだ。
 ルータ+80MBのHDVR+無線LAN(AP+カード)の組み合わせで実売12~13万円という価格にはかなり躊躇しそうだが、実際に使ってみれば、専用ソフトウェアの使い勝手もよく練り込まれており、快適お手軽に運用できる。単機能の機器を個別に揃えても、各種設定であれこれ苦労するであろうことを考えれば、オール・イン・ワンのTransCubeは有効な選択肢の一つだ。ただ、無線LANにIEEE802.11bを採用したことは(現在の普及度などを考えれば)理解はできるものの、MPEG2を扱うためには、やはり今後IEEE802.11aへの対応なども検討してもらいたい。

TransCube 10の主なスペック
製品名 TransCube 10
映像記録方式 MPEG2(2/4/6Mbps、VBR)
音声記録方式 MPEG1 Layer2
HDD 80GB
通信 Ethernet(10BASE-T/100BASE-TX)&無線LAN(IEEE802.11b)
サイズ 104(W)×319(D)×259(H)mm
重量 約3.1kg

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