プラズミック(株)は13日、都内で記者発表会を開催し、SVG(Scalable Vector Graphics)をベースとしたコンテンツのオーサリングツール『Beatware e-Picture Plazmic Edition』を発表した。同製品と、ダイナミックコンテンツ開発環境『Plazmic Workshop Start』、Java対応携帯電話にダウンロードして使う実行環境『Plazmic Media Engine』について、同日付けで無償配布を開始した。
カナダのRIM社マーケティング担当副社長のデビッド・ウェアザック(David Werezak)氏 |
プラズミックは、2001年5月にカナダのプラズミック社(Plazmic Inc.)の全額出資子会社として設立、2001年11月にカナダのResearch In Motion(RIM)社の全額出資子会社になった。なおカナダのRIMは北米のワイヤレス通信機器ベンダーで、北米、ヨーロッパ、アジアパシフィック地域において、約1万5000の企業が採用している無線電子メール端末『Blackberry』をサービス展開していることで知られている。
カナダのRIM社が提供する製品群 |
プラズミックの代表でマネージングディレクターの依田信久氏は「モバイル環境のリッチなコンテンツというとストリーミング動画などがよく言われるが、重要な情報を効率よく伝えるコンテンツこそがリッチコンテンツであり、表現力がその用途に生かせるかどうかがポイントだ」と述べて、リッチコンテンツにはマルチメディアの適切なバランスが大事だとした。プラズミックのコンテンツ制作・配信ソフトウェアは、ウェブのオープンスタンダード技術ないし次世代のスタンダード技術とされる“XHTML”(※1)“SVG”“SMIL”(※2)に基づいていることが特徴で、今回無償配布を開始したBeatware e-Picture Plazmic Edition、Plazmic Workshop Start、Plazmic Media Engineのほか、コンテンツ配信環境『Plazmic Mobile Services Suite』(有償)の4種類を提供している。
※1 XHTML(eXtensible Hyper Text Markup Language):パソコン、PDA、携帯電話など多様な端末に対応するウェブコンテンツを作成するためのマークアップ言語。※2 SMIL(Synchronized Multimedia Integration Language):マルチメディアに対応したインタラクティブなウェブコンテンツを作成するためのマークアップ言語。アニメーションと音声の同期動作などが記述できる。
プラズミック代表でマネージングディレクターの依田信久氏 |
プラズミックの製品群の位置づけ |
依田氏はプラズミックが提供するツールのメリットとして、特定のコンテンツに依存しない独立したプラットフォームであることや、業界の標準技術を使っていることで既存インフラへの導入しやすいことなどを挙げた。現時点でXHTML、SVG、SMILをベースとしたコンテンツ制作プラットフォームはプラズミックだけが提供しているということだが、これを無償配布することでクリエイターやデザイナーへ広めたいとしている。事業としては、配信環境であるPlazmic Mobile Services Suiteから収入を得るという。
プラズミック製品の今後の方向性 |
今後の展開としては、サポートするSVGタグを強化するほか、Plazmic Workshopでは端末シミュレーター機能を強化しさまざまな画面、デバイスに対応、Plazmic Media Engineでは現在のiモード携帯電話のみから、マルチキャリアーへ対応、Plazmic Mobile Services SuiteではマルチOS対応(現在はWindows NTとSolaris)とマルチアプリケーションサーバー対応を図っていくとしている。
Beatware e-Picture Plazmic Editionの画面。作成したコンテンツは携帯電話のシミュレーター機能で確認できる |