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CATV関連イベント“ケーブルテレビ2002”が開幕

2002年06月13日 21時37分更新

文● 編集部 田口敏之

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(社)日本ケーブルテレビ連盟、(社)日本CATV技術協会、ケーブルテレビ番組供給者協議会の3団体は、国内最大のCATVイベント“ケーブルテレビ2002”を12日、東京・池袋のサンシャインシティで開催した。19回目の開催となる本年のテーマは“ブロードバンドケーブルテレビ!――新時代へチャレンジ――”で、展示会のほか、シンポジウムや分科会なども開かれる。展示会は12日から14日までの3日間開かれる。入場は無料。出展者数は172社で、3日間で7万人の来場者を見込んでいる。

展示会は、CATV関連機材を中心に展示したハードウェアゾーンとソフトウェアゾーン、および番組提供者が中心となって展示を行なっているサプライヤーゾーンに大きく分かれている。主にCATV事業者に向けたイベントであるため、放送設備やケーブル機材などといった展示が中心となっているが、本記事では、会場内で多く見られた、VoIP(Voice over IP)などの機能を内蔵するケーブルモデムや、地域に根ざしたインターネットサービス関連の展示を取り上げた。なお、総務省の6月10日付けのデータによると、CATVの加入者数は約1303万世帯で、うちCATVを使ったインターネット接続サービスを利用しているのは約145万6000世帯と、2001年3月末の78万4000世帯に比べ、約2倍となっている

『Terayon TJ 735』
米Terayon社の代理店であるクロスビームネットワークス(株)が出展していた、“DOCSIS 2.0”に準拠するケーブルモデム『Terayon TJ 735』。DOCSISとは、“Data Over Cable Service Interface Specification”の略で、CATVを利用してデータ通信を行なうための技術仕様の規格。DOCSIS 2.0では、S-CDMA (Synchronous Code Division Multiple Access)とA-TDMA (Advanced frequency agile Time Division Multiple Access)という2つの変調方式を採用し、通信速度や耐障害性を高めている。同製品は、北米向けの製品を、日本市場向けに改良したものだという。オプションのアダプターでVoIP機能を追加できる。9月から10月ごろに発売する予定
『Terayon TA102』
同じく米Terayon製の、DOCSIS 2.0に準拠し、VoIP機能を内蔵したケーブルモデム『Terayon TA102』。多重伝送技術である“CDMA”を、CATVシステムに適合させた“S-CDMA”により、S/N比15dB(デシベル)で最大8.192Mbpsの通信速度を確立できるという。国内での販売は未定
SIP Phone
住商マシネックス(株)が展示していた、VoIP機能付きケーブルモデムを内蔵する米Pingtel社製のIP電話機。VoIPの呼制御プロトコルとして“SIP”を採用しており、端末同士で互いに直接コールを行なえる。今年の秋ごろに発売する予定
VoIP機能と告知放送機能を内蔵したケーブルモデム
富士通(株)の、VoIP機能と告知放送機能を内蔵したケーブルモデム。外部スピーカーを備えており、従来、アナログ電話回線やISDN回線を介して受信していた、行政情報や天気予報などといった地域の告知放送を、CATV回線を通じて受信できる。これまでの導入実績として、大分県の自治体に約3500端末を導入しているという
双方向デジタルCATVセットトップボックス
松下電器産業(株)が参考出品していた、DOCSIS1.1に準拠したケーブルモデムを内蔵する双方向デジタルCATVセットトップボックス。BML/HTMLブラウザーを搭載し、データ放送の利用やインターネットブラウジングなどを行なえる。VODやゲーム、インタラクティブサービスなどのアプリケーションを、CATV事業者が選択して実装できるため、地域に根ざしたコンテンツにも対応できるという

ケーブルモデムなどのほか、遠隔監視システムや、CATVインターネットを利用する、地域に根ざしたネットワークサービスなどの展示も行なわれていた。

“アイ・EYEネット”
(株)関電工の遠隔監視システム“アイ・EYEネット”。『サテライト』という装置に8台までカメラを接続でき、その制御をインターネット回線を通じて遠隔地から、パソコンや携帯電話、PDAなどから行なえる。画像は屋外設置用に熱交換機を内蔵したハウジングと屋外用カメラ。屋内・屋外を問わずに遠隔監視システムを構築できる。4月から販売しており、すでに幼稚園や老人ホームなどにも導入実績があるという
“すこやかねっとi”
日本電気(株)の在宅健康支援システム“すこやかねっとi”の対応端末『すこやかめいとi』。すこやかめいとは、ディスプレー付きの本体と専用台で構成され、本体をタッチパネルで操作して血圧や脈拍などの測定を行なえる。専用台は56kbpsモデムと10BASE-T対応LAN機能を内蔵しており、血圧値や脈拍値などを、地域の保険福祉センターのデータベースに送信できる。また、健康情報や各種サービスのポータルツールとしても利用できるという
在宅ケア支援システム
富士通の在宅ケア支援システム。高齢者などがパソコンを操作して、地域の福祉センターや保険センターと通信を行なうためのシステムで、マイク付きウェブカメラと、パソコンを操作するためにキーを簡略化した卓上操作卓で構成される。オプションの血圧計、体温計、心電計もある。利用者の様子が映像で把握できるため、適切な対応が行なえるほか、適度な距離をおいた健康支援活動により、高齢者などの日常生活動作、社会生活自立度の維持、向上に役立つという
“BattlePlus”サービス専用アダプターとコントローラー
(株)エクサイドのゲーム配信サービス“BattlePlus”の専用アダプターとコントローラー。CATVネットワークを利用して、(株)セガの家庭用ゲーム機『ドリームキャスト』のゲームを一部改変して有料で配信する。ポイント購入制で、ポイントに応じたゲームをダウンロードできる。秋ごろにサービスを開始する予定。専用のアダプターとコントローラーの価格は、1万円台後半を予定している
ワイヤレスタッチパネル情報端末
(株)ブロードネットマックスが展示していた、(株)東芝のワイヤレスタッチパネル情報端末。アクセスポイントをケーブルモデムなどに接続し、インターネットや電子メールなどを利用できる。アクセスポイントと端末は、Bluetoothで接続する。高齢者などに、地域に根ざした行政情報やサービスなどといったコンテンツを手軽に利用してもらうための端末としている。もともとはネット家電を制御するための端末で、冷蔵庫や洗濯機などの制御も行なえるという
“おたっくすFAXホームページシステム”
松下電器産業(株)の“おたっくすFAXホームページシステム”。ファクスの原稿を電子メールで送信する機能を持つ、同社の“Eメールおたっくす”対応端末を利用して、ファクスで送信した原稿やチラシを、そのままウェブサイトとして掲載するサービス。CATVによる、商店街など地域密着型のネットワークでの利用を見込んでいる。大阪府東大阪市の瓢箪山商店街で、3月から4月の2ヵ月間実証実験を行なっていたが、非常に好評だったため、現在も実験は継続中だという
“HelloStage”(株)ブレーンズ・システムが展示していた、番組製作用のリアルタイムCGシステム“HelloStage(ハローステージ)”。コントローラーの操作によってキャラクターを動かし、リアルタイムにTV画面との合成を行なえる。マイクを通した音声に反応してキャラクターの口が動くようになっている。キャラクターは24タイプ用意しており、それぞれ60パターンの動作を行なえる。7月に販売を開始する
イーブック端末
アットホームジャパン(株)が展示していた、(株)イーブックイニシアティブジャパンと東芝、(株)エヌ・ティ・ティ・データによるイーブック端末のコンセプトモデル。秋ごろには、モノクロ液晶のモデルを出荷する予定で、文庫本などと同程度の重さを予定しているという。価格は3万円から5万円になるとしている

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