マニュジスティックス・ジャパン(株)は11日、報道関係者らを集め、東京都千代田区の都市センターホテルにおいて11日と12日の2日間に渡って行なうプライベートカンファレンス“enVISION 2002 TOKYO”の報道関係者向けプレビューを開催し、同社が5月に発表したEPO(Enterprise Profit Optimization:企業利益最大化)ソフトウェア『Manugistics 7』についてのデモンストレーションを行なった。
Manugistics 7は、原材料の供給から製品の販売に至る過程において、意志決定の支援を行なうEPOソフトウェアで、“Manugistics”シリーズの最新バージョン。SCM/PRO/SPM/EPOなどといった20以上の製品を、すべてウェブに統合し、共通のユーザーインターフェースとポータルサイトから操作とアクセスを行なえるようになっている。日本語版は、米国で12月末にリリースする予定のVersion 7.1を受けて、2003年春のリリース予定となっている。
報道関係者向けプレビューでは、製品の需要を予測・管理して、価格を最適化する“Profitable Demand Management”と、環境の変化に応じて生産・販売の調整を行なう“Sales&Operation Planning”、生産計画とスケジューリングの調整を行なう“Manufacturing Planning&Scheduling”といった、Manugistics 7による経営課題に対する解決法のデモンストレーションを行なった。これらは、カンファレンスのデモパビリオンで行なったもので、同社プロダクトマーケティングマネージャーの阿出川智恵子氏によれば、「20以上ある、さまざまな経営課題の解決法の中から、日本の市場に即した、生産販売に関連するものを取り挙げた」という。
Profitable Demand Managementによる価格最適化 |
Profitable Demand Managementについては、食品系の小売業を想定した、販売計画と需要予測のデモンストレーションを行なった。それによると、Manugistics 7では、製品の売り上げ状況をリアルタイムに管理することができ、例えば売り上げが下がってきた場合には、状況に応じた販促プログラムの企画や提案を行なえるという。プログラムごとに、プラス面とマイナス面の分析も可能で、これに基づいて全体の需要予測や価格と収益の最適化を行なえるとしている。これについて阿出川氏は「これまでの需要予測から、確実に利益を生み出すために、能動的に需要をコントロールする方向へ価格を最適化できる」と述べている。
Sales&Operation Planning(S&OP)のサイクル図 |
複数のアルゴリズムによる生産・販売計画の調整を行なえる |
Sales&Operation Planning(S&OP)については、経営環境の変化に基づく、生産・販売計画の調整のデモンストレーションを行なった。例えば、四半期ごとの経営環境の変化で、ビジネスプロセスを変更する必要かどうか、そして必要な場合はビジネス目標の達成を目指しながら、顧客のオーダーや需要計画を満たすために必要な、サプライチェーン全体の在庫レベルや生産量を予測し、需給のバランスを保てるという。これらの分析についても、1つのアルゴリズムだけでなく、“レヴァンドウスキー法”“フーリエ法”“マルチプルリニアリブレッション(MLR)”などといった複数のアルゴリズムを適宜使い分けられる。また、これらの計画変更について、担当者間でウェブベースで情報を共有できるため、計画や予測の精度を高められるとしている。
Manufacturing Planning&Scheduling。サプライヤーネットワークで発生した問題をリアルタイムに近い形で解決できる |
Manufacturing Planning&Schedulingについては、資材が不足している場合や、生産ラインがダウンした場合を想定してデモンストレーションを行なった。Manugistics 7は、これらのトラブルの原因を分析して、最適かつ実行可能な計画を再構築し、サプライヤーやビジネスパートナーなどに即座に情報を発行して、多数の拠点から成る製造、流通などのサプライヤーネットワークで発生した問題を解決できるという。同社のサプライチェーンコンサルティングIIIのマネージャーである竹中秀次氏は、「サプライチェーンにおいては、状況の変化にいかに対応するかが重要。生産計画のバランスは日々崩れていくが、これによってサプライヤーと連動し、リアルタイムに近い形で生産計画を調整できる」と語った。